ニコラス・ブラウン
にこらすぶらうん
概要
相棒であるウォリック・アルカンジェロと共に便利屋を営む男。
「黄昏種(トワイライツ)」という、過去に起こった戦争で使用された
薬物の影響で身体能力が異常発達した人間を先祖に持つ人種のひとり。
その能力を活かし、便利屋における対黄昏種との戦闘など、荒事を得意としている。
外見
アジア系らしく、黒い髪に黒い瞳をしている。物語の舞台であるエルガストルムにおいて、特に黄昏種の中ではかなり珍しい人種のようで、「アジア系の黄昏種」ということで黄昏種の間では有名らしい。作者曰く「中華系タイ人とアメリカ人のハーフ」がイメージらしい。
また日本人男性の平均程度の身長しかなく、作中の登場人物の中でもかなり低身長。背が低い登場人物が「ニコラスさんよりは高い」というなど、背が低い代名詞のような扱いを受けることもしばしば。初対面の相手からも身長でバカにされることがあるが、凶悪な顔つきと眉間の深い皺、そして不敵に歪んだ笑みにより生み出される凄味は相当なもの。
仕事の際は上下を黒のスーツでそろえており、それ以外は黒いTシャツをよく着ている。Yシャツはウォリックの私物を無断で拝借したり、逆に自分のものをウォリックに無断で拝借されたりしている。また背中にはウォリックとお揃いのトライバル(刺青)を入れており、全身のいたるところに傷がある。
おそらく街で唯一帯刀している人物で、幼少の頃より肌身離さず持ち歩いている。
黄昏種の証である黄昏種認識票(ドッグタグ)は首につけているがつ、時々ポケットに入れている。
人物・特徴
聾者(聴覚性の構音障害)。
「黄昏種」の多くは短命であることに加え、その身体能力と引き換えに何らかの「代償(障害)」があり、ニコラスは「聴覚」が機能していない。その代わり視力が異常に優れており、3階建て以上のビルの屋上からでも地上の人間の唇の動きなどが視認できる。
そのため、周囲とは読唇や手話を駆使して意思の疎通を行っている。手話は片手で行うことが多い。一応しゃべることもできるが、その障害ゆえに非常にたどたどしいものであり、また本人も「疲れるから」といってあまりやりたがらない。
基本的に無口で無愛想、無表情。暇なときは読書をしたり筋トレをしたりしている。炭酸水が好きらしく、よく買って飲んでいる。普段はぶっきらぼうな面倒臭がり屋であり、依頼の話や日常生活でもあまり感情を表に出さない。相手を驚かせたり挑発したりと、いたずら好きな子供のような面がある。かつて所属していたモンローファミリーの弟分からは「ニコ兄」と慕われており、時々彼らに手を貸している。子供や動物(特に猫)にはなつかれやすいらしく、特に普段世話になっているテオ医院の看護婦・ニナからは好意的に接されている。依頼に来る彼女に毎回飲み物を買うなど、彼自身まんざらでもない様子。ただしよくいじって遊んでいる。
戦闘や殺しの際には非常に好戦的になり、特に強い黄昏種を相手にすると気分が高揚している。拷問等では敵の恐怖心を煽るなどドSな行動を取る事が多い。相手の悲鳴や命乞いすら聞こえないためそこには一切の躊躇も同情もない。意外にも周囲の様子は見えているほうであり、味方をかばいフォローする場面も多くみられる。
戦闘能力
戦闘時には日本刀を使用し、容易に人間の首や胴体を切断する。
黄昏種において「上級黄昏種(ハイカテゴリ)」と呼ばれるA/0級というランクであり、圧倒的な戦闘能力を誇る。前述した視力に加え、3階建て以上のビルを垂直に飛び越える跳躍力、一蹴りでパトカーの車体を歪ませ傾かせる脚力、パワー型の黄昏種と互角に渡り合う腕力、銃弾を日本刀ではじき返す反応速度など、黄昏種の中でも突出している。
ただしこれは薬物の使用による強引な身体強化によるもの。本来黄昏種の生命維持に不可欠な投与剤「セレブレ」のうち、身体機能を爆発的に高める「促進剤(アッパー)」の「過剰摂取(オーバードース)」を日常的に行っている。彼のランクはこの状態で格上の黄昏種を強引に倒して得たものであり、本来の彼のランクはB/5級ほど。そのためそれを知っているものからは「偽物(フェイカー)」と呼ばれている。また、彼の生来の性質である「自信を顧みない性格」に加え、過剰摂取による「痛覚の麻痺」により、戦闘の際には常に傷が絶えない。ナイフなどの相手の得物を躊躇なく素手でつかむなど、恐怖すら麻痺しているかのような描写も。
逆に活性化した身体機能を鎮静化させて負担を減らす「抑制剤(ダウナー)」には弱く、たった一発打ち込んだだけで動けなくなってしまう。
尚、薬物を使わない状態でも前述した跳躍力などは健在であり、元々がそこまで弱いというわけではない。そうでもしなければ敵わない存在が彼らの住むエルガストルムには多いという話である。戦闘中は熱くなることが多いものの、自身の実力はわきまえており、強い相手には倒すことよりも時間稼ぎを優先するなど冷静な一面もある。
少年時代、ウォリックに傷を負わせたモンローファミリーへの報復のために単身ファミリーに乗り込み、黄昏種を擁する彼らに大きな痛手を与えたが、それが過剰摂取によるものかは不明。
人物関係
友人であり契約主。少年時代からの付き合いであり、ともに便利屋を営んでいる。普段は横柄な態度で接しているが、彼の発する契約主としての「命令」には素直に従う。かつての複雑な過去を共有しており、あまり単純には言い表せない関係な模様。
同じ便利屋の電話番。当初はぶっきらぼうに接していたが、過去のトラウマなどで錯乱状態に陥った彼女を気遣うなど、彼なりの優しさを見せている。アレックスの方も最初は黄昏種のことをよく知らなかったため恐れていたが、徐々に理解を示している。
黄昏種を差別しない唯一の医者。ニコラス用のセレブレを処方してもらうついでによく依頼を受けている。治療の際に暴れたり医院を壊したりしてよく怒られている。
テオ医院で看護婦をしている少女。ニコになついており、彼に手話を習うことを口実によく遊びに来ている。彼と他人の通訳を手話を用いてよく行っている。ニコラスはよく彼女をいじめて遊ぶことも多いが、手をつないで彼女を医院まで送ったり、毎回飲み物を買ってあげたり、彼女を抱えてビルを跳び回り喜ばせるなど、優しさも見せている。彼女の献身的な姿勢で精神的にフォローされることもよくある。
かつて所属していたファミリーのボス。ニコラスの実力を今でも買っている。ニコラスは彼に対しては明確な敬意を表しており、わざわざ口を開いて言葉で意思を伝えている。
街の中央署・捜査一課の警部。便利屋の荒事の後始末をしてもらっており、依頼もよく受けている。ニコラスとウォリックの過去を知る数少ない人物。