ニコラス・ブラウン
にこらすぶらうん
概要
ウォリック・アルカンジェロと共に便利屋を営む男。
「黄昏種(トワイライツ)」という過去の戦争で使用された生体強化薬により身体能力が異常発達した人間を祖先に持つ人種の一人。
その能力を活かし、便利屋では対黄昏種の戦闘など、主に荒事を担当している。
外見
物語の舞台であるエルガストルムにおいて、黄昏種の中では珍しいとされるアジア系の男性。中華系タイ人とアメリカ人のハーフをイメージしてデザインされている(作者談)。
銃やナイフが主流となっている街において、現在唯一日本刀を得物としている。成人男性の登場人物内では下から2番目と比較的低身長であり、時折これを周囲に弄られたり、本人も気にしている様な描写が見られる。
両肩甲骨上部にウォリックと同じモチーフのトライバル(刺青)が見られる。なお、少年時代には「AIB069」という型番のようなものがうなじ下部に彫られていたが、現在は確認できない。全身に大小様々な古傷が見られ、より特徴的なものとして腹部には逆袈裟の大きな傷、右掌に小さな切り傷がある。右掌の傷は、過去の事件(後述)の際に負ったもの。
人物
彼の一番の特徴として、先天性全聾である事が挙げられる。
「黄昏種」の殆どがその身体能力と引き換えに何らかの「代償(障害)」を負っており、ニコラスの場合は聴覚が機能していない。このため周囲とは手話と読唇によりコミュニケーションを取っている。必要に応じて発声する場合もあるものの、疲れを理由に積極的に用いることはない。
この聴力を補うかのように視力が優れており、遠く離れた場所に立つ相手の唇の動きなども視認できる。
馴染みとなっているテオ医院の看護師ニナには「ニコ」、かつてウォリックと共に所属していたモンロー組の若手構成員ヤンからは「ニコ兄」とそれぞれ呼び慕われている。特にニナには大変懐かれており、ニコラスも彼女に手話を教えたり、一緒に遊んだりするなどしている。
なぜか猫に好かれやすく、中でもベティという雌の黒猫は便利屋やテオ医院の近辺を縄張りにしている模様で、彼の膝に乗るなど度々作中に登場している。
基本的に無愛想だが、世話になっている人物や敬意を払っている人物にはそれなりの礼儀を見せる。非常に好戦的でもあり、強敵に喜ぶ。
能力
日本刀を利用した戦闘が主となっている。「上級黄昏種(ハイカテゴリ)」として区別されるその能力は高く、反応速度、跳躍力、火力、どれも健常者や下級の黄昏種とは一線を画している。自身を顧みない闘い方を好み、強敵相手にも突っ込んでいき恐怖や痛みを感じていないかの様な行動をとる事が多い。
手話表現
原作では、発声なしの手話は黒く四角い吹き出し、発声ありの手話は白く四角い吹き出しでそれぞれ描写されており、さらにニコラスが発声する場面では級数が異なる写植により彼の特徴的な構音(調音)も再現されている。
また、本来であれば英語手話(エルガストルムの公用語は英語である)で描かれるべきところを、作者のこだわりによりあえて吹き出し内の言語にあわせ「日本語吹き替え版」として日本語で表現されている。
黄昏種用投与剤「セレブレ」
黄昏種が生きる為に不可欠な薬品。
生命維持に関わる機能を活性化させ身体能力を爆発的に高める「促進剤(アッパー)」と、促進剤により活性化された身体機能を安定させ負担を減らす「抑制剤(ダウナー)」の二種が錠剤や自己注射薬の形状で存在する。
服用による副作用の個体差はそれぞれに異なり、ニコラスの場合は「抑制剤」の副作用が大きくあらわれ、わずか一錠でも寝込んでしまう(ウォリック曰く「ベロベロになる」)。
※ネタバレ注意
偽物(フェイカー)
ニコラスの能力の高さ、そしてそのA/0級というカテゴリは「促進剤」の過剰摂取(オーバードーズ)により無理やり勝ち取ったものであり、本来の彼のカテゴリは精々B/5級程度といわれる。
それ故この事実を知っている者からは「偽物(フェイカー)」と呼ばれている。
過去
元はエルガストルムを囲んでいる市のひとつウエストゲートを拠点とする「ウエストゲート傭兵隊」に所属していた少年兵である。任務としてアルカンジェロ家の次男ウォレス・アルカンジェロ(のちのウォリック・アルカンジェロ)の護衛を任されたのをきっかけに、彼と徐々に打ち解けていったが、後にこのアルカンジェロ邸内で大規模な惨殺事件を起こし、ある命令とともにウォレスと主従の契約を結ぶ事となる。
現在もこの関係は続いており、ウォリックは複雑な心境ながらニコラスを「相棒」「ニック」と呼び、「ダチだと思っている」と語る一方、ニコラスはウォリックの”命令”には絶対服従の姿勢を随所で見せ、従属する者として一定のラインを越える様子がない。契約は二人の間に大きな溝を残している様である。