概要
耳の不自由な人(ろう者)やその家族、支援者らが使う言語である。
基本的には腕と手を使うが、表情や動作、口元(唇の動き)なども非常に重要な要素である。名詞、動詞、形容詞をひとつの動作で表現し、それを順番に並べるのが基本だが、その文法は口話と全く対応していない。
かつての聾学校では、手話で教育する方式と、口話法という、ろう者に発音を教え、相手の口の形を読み取らせる教育方式の2つがあったが、現在では手話を通じた教育に統一されている。
一つではない手話
「手話は世界共通」だと思っている人、あるいは「手話は各地域の口頭言語を身振り手振りに置き換えたもの」と思っている人がいるが、前者は全く事実ではなく、後者も誤解である。
日本手話、アメリカ手話、フランス手話、中国手話、ベトナム手話など各地域の手話は全く別の言語であり、しかも口話の分布と対応していない。英語圏だからといって「英語手話」などというものがあるわけではなく、アメリカ手話とイギリス手話は全く異なる。一方で、英語圏ではないインドネシアやタイでアメリカ手話が使われていたりする。中国と台湾は同じ中国語圏であるが使う手話は異なり、台湾手話は日本手話に近い。かつては日本国内でも地域によって手話の方言があり、意思疎通に不便なことが多かったが、現在ではほぼ統一されている。
また、ろう者の間では手話とは別に日本語と一対一で対応した「日本語対応手話」や、日本語の一字一字と対応した指文字というものも使われており、日本手話と日本語対応手話を適宜混ぜこぜにして使われていることが多い。日本手話は日本語とは独立した文法を持っているが、その意味では日本語の影響を色濃く受けている。
また、日本手話では「日本語対応手話」や指文字とは異なり、表情も文法や表現の一部となっている。
日本人(または日本で生まれ育った)ろう者の場合、生まれ付き、または、早い時期からろう者だった人は日本手話を、ある程度の年齢になってから聴覚を失なった人は日本語対応手話を使う場合が多い。
先天性のろう者は、手話を習得するのとは別に日本語の習得が必要となることがお分かりいただけるだろう(もちろん、聾学校では日本語の読み書きも学ぶのだが、先天性ろう者にとって日本語は「母語」ではないので苦手な人も多いようである)。
聴覚障害がない人でも、親がろう者の場合は口話より先に手話を覚える人もいる。
手話を使うキャラクター
まかせてイルか!:碧
ハピネスチャージプリキュア!:愛乃めぐみ(ただし劇中で明言されてはいない)
聲の形:西宮硝子・石田将也他。主人公の西宮硝子が聴覚障害者のため、作中で手話が登場する。
GANGSTA.:ニコラス・ブラウン他。主人公のニコラス・ブラウンが先天性全聾のため、作中で手話が登場する。