舌長姥
したながうば
会津地方の怪談奇話を集めた書籍『老媼茶話』に記載される妖怪。
概要
舌長婆とも表記される南陸奥の芦野原街道の諏訪千本の松原に出現したとされる老婆の妖怪。
一見すると普通のお婆さんだが、その実態は舌が五尺(約1.5m)もある妖婆で、人間の肉を好むらしく、眠っている人間をその長い舌で舐めまわして肉を刮ぎ取って喰らってしまうとされる。
また、諏訪地方の朱の盆とは協力関係であるらしく、自身の住み家へと迷い込んできた2人の旅人の内の1人を気配を感じて目を覚ました1人が朱の盆に気を取られている隙に寝入っていたもう1人を掻っ攫って食い殺している。
創作での扱い
泉鏡花の戯曲。
朱の盤坊と共に、猪苗代城の女怪・亀姫の眷属として、主人公・富姫が住まう姫路城を訪れる。「古びて黄ばめる練衣、褪せたる紅の袴にて従い来たる」と表される。
亀姫が土産に持参した血まみれの男の生首(猪苗代城の城主)が血まみれだった為、「こぼれた羹は、埃溜の汁でござるわの、お塩梅には寄りませぬ。汚穢や、見た目に、汚穢や。どれどれ掃除して参らしょうぞ」として、三尺もある長い舌で血を舐め取る。途中で慌てて朱の盤坊が止めた為、むくんでいた生首が幾ばくか細くなるに留まった。また朱の盤坊とは「ばあさん」「憎まれ山伏」と軽口を叩き合う仲で、人間から鉄砲を撃ちかけられた時も、朱の盤坊と共に主を庇った。