見えざる世界が世界を食べる存在
ワイルドアームズ2の前半ラスボスがヴィンスフェルト・ラダマンテュスならば後半のラスボスがこの侵食異世界カイバーベルトとなる。
名前の元ネタはエッジワース・カイパーベルトから。
↓↓ネタバレになるので下に書きます。
カイバーベルトとは別名通り『侵食異世界』のことである。
つまり異なる別次元に存在する世界が、アシュレーたちのいる世界(ファルガイア)を蝕む存在、または概念だと言われている。
これを聞くと、かなり曖昧な書き方をすると思われるが物質的に存在するというわけではなく「そういったモノがある」という人の目に姿が見えなくても確かにそこにいるというものである。
例えで言うと「星が未知のウィルスに罹ってしまう」ようなものであり、このウィルスというのが「侵食異世界カイバーベルト」だと思って欲しい。このウィルスがいる限り大地は瘦せ干せ荒野化が進み、モンスターの増殖や空が歪み、まるで喰われるような現象(通称【パラダイム汚染】)を引き起こす。
過去にも侵食された世界が存在しており、作中で語られたのはドラゴン次元(ロンバルディアの故郷)となっていて既に消滅している。
この存在に、今よりも過去にいち早く気づいたのがアーヴィング・フォルド・ヴァレリアであり、またその対処方法を考えたのも彼である。
対処方法
しかし、この対処方法というのが実に厄介なものであった。
カイバーベルトは『概念世界』と言う存在である為、上で述べた通りいかなる物理攻撃、超常(魔法)攻撃も無意味と作中でも言われている。ましてや目視も出来ず、徐々に肥大化していき世界規模、果ては宇宙規模までと、どうやっても人の手によって倒すことなどは到底不可能だと考えられていた。
もっとも確実に対処出来る唯一の方法で上げられたのが、同じ人智を超越した概念存在の守護獣(ガーディアン)である。しかし、侵食異世界のほうが遥かに巨大、また強大であるがために、これを真っ向から戦えばファルガイアそのものが崩壊してしまう恐れがあるので、この方法を取ることは出来なかった。
例えこの方法を仮に行えても【侵食異世界】は、泥のガーディアン【グラブ・ル・ガブル】に根を張り無尽蔵のエネルギー供給をしており倒し切ることは出来ないとされている。
次に考えられたのが概念存在へ唯一、人の手で攻撃出来るとされる【ガーディアンブレード】だった。
剣の聖女アナスタシア・ルン・ヴァレリアが残して久しく、誰の手にも抜くことが出来なかった大地に突き刺さった剣。
聖女の生家ヴァレリアの末裔であるアーヴィングやアルテイシアですら抜くことが出来ず、この方法も断念せざるをえなかった。
次の方法もまた難があった。
【レイライン】と呼ばれるファルガイアの地脈、その溜まり場である【レイポイント】を解放し膨れ上がったマナで『檻』を形成し展開することで【侵食異世界】を閉じ込める方法がある。
しかし、これらを行うには三つの国の領空、領地を侵入した上、マナ不足に陥ってしまうという侵害行為にあたるため、互いに手を取り合おうとしない三国に協力を求めるなど不可能に近かった。
各国に説明したところで、姿無き概念存在の侵食異世界など信じてはくれない。
だが、アーヴィングはこれに対する解決策を思いつく。
それは姿の見えない概念存在の侵食異世界というのものではなく、目に見える上にわかりやすい脅威、つまり『世界共通の敵』を作ってしまうことだった。
それがテロ組織『オデッサ』であり、それと同時に対抗し得る英雄という存在が必要だった。それが『ARMS』である。
これらを合わせることにより全国の思いを一つにまとめ上げるという大胆な計画をアーヴィングは立てることにした。
結果として
共通の敵を得た各国は一つにまとまり、テロ組織『オデッサ』を壊滅させる。
そして、真の目的であるカイバーベルト対策へと計画は移行する。
紆余曲折を経て計画通り『ARMS』の活躍によって【レイポイント】の解放させ侵食異世界カイバーベルトをマナの牢獄【トラペゾヘドロン】へと閉じ込めることに成功。
さらに内部に突入しカイバーベルト【ラルヴァ】を撃破する。
しかし……。
カイバーベルト【ラルヴァ】は、ほんの一部に過ぎず、トカゲの尻尾のように切り離しただけで本体は未だに存在していた。
さらにファルガイアに残っていたマナも少なくなり二度目の牢獄を作ることも不可能になってしまっため、事実上作戦は失敗どころかファルガイアの命運は潰えたかのように思えたが……。
思い詰めたアーヴィングは、ついに最終手段を取ることに決める。
ファルガイアの中核、泥のガーディアンへ
その最終手段とは――
『器』を持たない概念存在であるなら『器』を持たせることだった。
しかし、そうするためには誰かが犠牲にならなければいけない。
この計画を最終手段にしたのは、明らかな『生け贄』または『人柱』が必要であり、それを真っ先に選んだのは、計画を立案した自分アーヴィングであると考えていた。
ヴァレリア家の英雄の血を残すアーヴィングと妹のアルテイシアは、自らを犠牲にし『カイバーベルトの器』になることを選らんだのだった。
『ARMS』アシュレーたちにアーヴィングがしたこと(オデッサを密かに操っていたことなど)を全て明かし、謝罪して【グラブ・ル・ガブル】へと妹共に旅立った。
アシュレーたちはアーヴィングたちを追いかけ、彼が望んだ未来を受け取り「共に戦おう」と言い、『器』を得たカイバーベルト・コアと戦うことになる。
その後――。
カイバーベルトは『器』となったアーヴィング、アルテイシアと共に完全に消滅し、ファルガイアは崩壊寸前まで追い込まれるも世界は存続することに成功した。
アシュレーたちは、アーヴィング、アルテイシアという二人の英雄がいたことを胸に抱き【グラブ・ル・ガブル】をあとにする。
これで、すべてが解決した――――
容姿
カイバーベルト自体には、概念存在であるため姿という形は存在しないが、【トラペゾヘドロン】で捕らえた【生体】とエネルギー供給のための【根】は実体化している。
生体の【ラルヴァ】は、二足歩行で青色の身体に、全身を黄色い毛細血管が張り巡らされている。縦に割れた部位:口から『アビリティバインド』を吐くなどをしてくる。
根の【ルート】は翼のような手を開き、虫の脚を思わせる姿をしている。ファースト、セカンド、サードと共に色違いではあるが使ってくる技(ハイペリオンインフェルノ、大気圏突入など)は共通である。
器を得た【カイバーベルト・コア】は、赤い体色に胎児のような姿をしており四本の触手を持つ。中央の水球にアーヴィングかアルテイシアかは不明だが人間の頭蓋骨が見えている。
余談
侵食異世界【カイバーベルト】は、例えで言ったように世界の『病原菌(ウィルス)』みたいな存在であるためか、「アルカンシエル」などの状態異常を必要以上に仕掛けてくる。
それでも毒状態や混乱、マヒ、眠り、病気、忘却、沈黙といったジワジワとダメージを負うようなもので行動も出来ないためか、対策をしていないと危険とは言わず長期戦になるのは必至。【トラペゾヘドロン】などへ行く前に出来るだけパーソナルスキルなどで状態異常耐性を埋めることをお勧めする。
また本体であるカイバーベルト・コアへ到達出来るのは三名のみ。
残りのパーティ三名は、一人ずつエネルギー供給をする三本のカイバーベルトの根【ルート】を断つために一対一で戦うことになるので慎重に選んだほうが良い。
特にマリアベルは術技を敵スキルから覚えなくてはいけないので、それがないと攻撃手段が通常とフォースアビリティしかない場合、これもまた時間が掛かってしまう恐れがあるので注意。