主に国の司法手続に関与する国家機関。
日本では全国の検察庁で検事などの検察官がその任にあたっている。
検察官は独任制の国家機関と言われ、各々の検察官全員が検察のすべての権限を有しており、一般の行政機関が大臣や長官、知事や市町村長など機関の長が権限を有するのとは大きく異なる。
固有の職務としては、犯罪の捜査や公訴の提起、公判での原告官の役割、裁判の執行の指揮などを行う。
捜査機関として、検察官はいかなる犯罪についても捜査をすることができるとされ(検察庁法6条1項)、警察官や海上保安官などの司法警察員から送致されてきた事件について補充の捜査をするほか、自ら犯罪を認知し捜査することもできる。
捜査を終えると、検察官はその事件について公訴を提起するか(起訴)、提起しない(不起訴)かの処分を行う。
起訴された事件については、裁判所の公判手続で「原告」的な役割を行う。
また、刑事事件で裁判所のする各種裁判(判決、決定、命令)の執行を指揮、監督するのも検察の役割とされている。
このほか、公益の代表者として、一部の民事訴訟(人事訴訟)などにも関与し、例えば相手方死亡後の婚姻無効や親子関係不存在の訴訟で死者の代わりに被告を務めることもある。
なお、よく誤解されるが、日本では検察は法務大臣所管の行政機関であり司法機関ではない。
ただしその職務が司法権と密接に関わるため、その地位や権限、指揮命令系統などで一般の行政機関とは異なる扱いがされている。