有島武郎
ありしまたけお
明治から大正にかけて活躍した文豪の一人。
※『文豪とアルケミスト』の同名人物に関しては、こちらを参照の事。→有島武郎(文豪とアルケミスト)
概要
東京出身。『白樺派』の一人として知られた文豪で、薩摩藩士を祖とする大蔵官僚有島武の実子。若い頃から経済学などに才を発揮しており、農学者を目指し、ハーバード大学留学まで果たしているが、そのときにニーチェなどの社会哲学やウォルト・ホイットマンらの西欧文学に感銘を受けていく。
若い頃に妻と父を亡くすと小説家を志すようになり、志賀直哉、武者小路実篤らと出会ったことがきっかけで『白樺派』の一員となり、その中で『カインの末裔』『或る女』『生れ出づる悩み』などの名作を生み出し、社会的地位を得ていったが、貴族階級の生まれである自分自身と、それとは裏腹に社会主義に傾倒していく自分の中で大きく葛藤を続けていた。
晩年には突如として創作意欲を失い、以後は自分の『有島農場』を解放するなど、牧歌的な暮らしを営んでいた。だが、最終的には人妻にひどく恋心を燃やしていき、不倫相手と軽井沢の別荘にて心中を選択する壮絶な最期を迎える。
その激動の人生に左右されるように、比較的平易な文面ながら、緻密な人物描写、ときに衝動的さも与えるような抒情表現が特色である。
なお、里見弴は彼の弟である。
