アヌビス(オービタルフレーム)
めたとろんのしょうちょう
概要
コロニー「アンティリア」で製造されたオービタルフレーム。 従来のオービタルフレームと脚部構造が異なり逆関節型になっている。 山犬を模した頭に、六枚の翼を模した巨大なパーツ(ウィスプ)を背部を中心として周囲に浮遊させる形で装備している。また、ウィスプとエネルギーライン(空間に走る光の線)で繋がる背部は脊椎部以外はえぐれるようにくぼんでおり、臀部には尻尾を模したケーブルが装備されている。
シリーズ通して常に最強のオービタルフレームとして君臨し、作品の主役機のジェフティと共に【イレギュラーオービタルフレーム】と分類されている。
基本スペックはジェフティを参照。
劇中では背部のウィスプのないレプリカが作られたものの、本物より性能は大きく劣っていたが、それであっても通常のOFより優れた性能を持っていた。
登場作品全てでノウマンがフレームランナーを務める。実質彼の専用機。
装備
「人の命が軽い世の中だ…アヌビスの一撃で何万もの人が死ぬ」
- ウィスプ(背中)
アヌビス本体に対して翼のような配置で浮遊する6枚の巨大なパーツ。推進器とジェネレーターと兼用しておりベクタートラップ(空間を捻じ曲げる力によって産まれる空間障壁)を利用した攻撃と反射・屈折を行えるほか、機体をまるごとベクタートラップ内に格納することによってステルス行動が可能となっている。
ただし、大出力すぎて常人では持て余すどころか制御すら困難な代物に仕上がってしまった。
高速飛行時やバーストモード、一部攻撃等においては6枚全てが二又に展開され、巨大な赤い光の翼を顕現する。
- ウアスロッド
主力となる近接武器。『Z.O.E』では杖のような形状、『Dolores,i』ではダブルブレード、『ANUBIS』では薙刀のような形状といった具合に作品によってデザインが違う。
『Z.O.E』では常時手にした形で出現していたが、『Dolores,i』『ANUBIS』では普段はベクタートラップ内に格納しており、必要に応じて一瞬で取り出して使う。
使用時は機体本体が黒いオーラを纏いつつ、背中の6枚のウィスプから巨大な赤い光の翼を展開しながら豪快に振り回して襲いかかってくる。
ゲーム的には、実はアヌビスの武器では最も威力が高く、一撃目をかわしても凄まじい突進スピードで追いかけてくる、通常攻撃ですらシールドを破壊してくる等、アヌビスの高い格闘性能を見せつけられる。
- グラブ
ジェフティと同じ掴み投げ。アヌビスの場合、黒いオーラを纏いながら片手で掴みかかる。見た目はさながらダークネスフィンガー。作中でジェフティの頭部を掴んだ際の描写を見る限り、ジェフティ同様にバーストすることで相手を麻痺させることも可能。
周囲の鉄骨等や敵の機体を掴んで、武器として振り回すなどの芸当も当然ジェフティ同様に可能だと思われる。
- VGカノン
通常ショット。赤い光弾を3連射する。地味にジェフティのものより追尾性能がよいらしく、ゲーム中ではかわしたと思いきや視界外から変化球のように曲がってきていきなり被弾する等、サブウェポン「コメット」に近い性質を持つ。
- シールド
背中のウィスプを機体を囲むように移動させて防御態勢を取り、強力な空間障壁を発生させて特に自身にとって危険となる攻撃を防護する。
ゲーム上ではアージェイトのバーストショット「コフィンブラスター」を耐え凌ぐ等、破格の防御力を誇る。
たちの悪いことに射撃無効のシールドそのものは前述の防御態勢をとらずとも常時展開されているせいで、物理・エネルギー問わず射撃攻撃では防ぐ素振りすら必要なしでことごとく無効化。
ならば空間障壁を破ろうとブレード等により攻撃を仕掛けようにも、並の一撃では攻撃した側が空間障壁に囚われてよろめかされ、その隙にウアスロッド等で反撃してくる始末。
『Dolores,i』ではベクタートラップを応用し飛んできた無数のミサイルすべてを受け止めてそのまま跳ね返し、撃ってきた相手に命中させると言う芸当も披露した。
- ウィスプ(両腕)
両腕それぞれに4枚ついている白い板状のパーツ。『ANUBIS』の体験版や発売以前のムービー等ではウアスロッドではなく、こちらの先端からビームサーベルのようなものを発振させて斬りかかっていた。製品版でのウアスロッドの連撃でも、よく見れば背中のウィスプの赤い光の翼と共にこれを展開して攻撃してくることから、格闘戦用の兵装である模様。
- ハウンドスピア
ホーミングレーザー。ジェフティのものとは弾道が異なり、激しく鋭角に屈折しながら追尾する。
猟犬の名を冠するに相応しく、無数のレーザーが執拗に標的に追いすがり、四方八方から串刺しにする。
ジェフティ同様に単体の敵に対する弾幕、或いは無数の敵を纏めて殲滅するマルチロック攻撃の両方を自在に操る。
ゲーム上では下手にガードしようものなら、動きを封じられたところにウアスロッドやグラブによる強襲、または遠距離から犬笛による狙撃と、ゼロシフトの瞬間移動による距離調整&他の武器との組み合わせで更にその驚異度を増す。
- バーストショット
設定画において戌笛と走り書きがある。弾速が異なる二種類の追尾性能を持ったエネルギーショット。ゲーム演出において一瞬で弾着する高速弾、弾速は遅いが文字通りどこまでも追いかけてくる誘導弾の2種類が存在。
赤い粒子を撒き散らす彗星のような見た目の弾を発射し、発射の瞬間には背中のウィスプが放射線状に広がって巨大な赤い光の翼が展開され、アヌビス本体は黒い粒子を纏う圧巻の演出が為される。
その威力は派手な見た目に違わず、まったくの加減をした一撃ですら、衛星軌道上から確認できるほどの巨大なクレーターを地表に穿つ。
最大威力は膨大なメタトロンを利用し超巨大な恒星を消滅させる砲撃が可能の要塞の数%の威力を持ち、後述のゼロシフトを含め、アヌビスとジェフティが如何に別次元のOFであることが分かる。
本機最大の特徴で、大規模施設に備えている大質量の大型船などを高速で射出するでウーレンベックカタパルトの技術を応用した瞬間移動。ウーレンベックカタパルトでは不可能な瞬間移動が可能。
なお、Z.O.Eメカ設定担当の野口登志夫より、ゼロシフトの原理が説明された(リンク参照)。それによれば、ゼロシフトは空間圧縮を応用しているが、ウーレンベック・カタパルトとは違うものである。(ウーレンベックは「高速」でしかないがゼロシフトは亜光速)
さらに、アヌビスのゼロシフトに関しては『Z.O.E』から『Dolores,i』までと、『ANUBIS』ではゼロシフトに関しての設定変更があった模様。
演出としてはアヌビスの場合は機体が陽炎のように揺らぎ、その瞬間には既に別の場所に移動、出現先においても機体がいきなり現れると共に周囲の空間が歪んでいるといった形。これにより極めて素早い高速移動のようなジェフティに対し、正体不明の不気味な瞬間移動としての印象が強い。
- オーバーメガドライバー
アヌビスの尻尾にあたる部分のコードに接続して使用する機器らしい。
詳細不明。
- ミサイル
詳細不明。『Dolores,i』のみで一回だけ使用。基地の防護隔壁を破壊する際に使用された。
後述の「Delphi」の存在を考えると、ジェフティ同様にその気になればサブウェポンを取得し、様々な武器を自在に使用可能。
- サポートAI「Delphi」
ジェフティのADAにとっては姉妹とも言える、アヌビスのサポートAI。搭乗者がメタトロンのフィードバックに侵されるのを防ぐ役割を担うとともに、戦闘面でサポートする。性能も互角であり、人との触れあいで影響を受けて人間的に成長、感情を獲得できると思われる。
ただし、搭乗者のノウマンの卓越した技量や性格を考えると、「Delphi」に頼っていたか、彼女と親密なやり取りをしていたかと言われると微妙なところ。
ノウマンがシリーズ中の時間経過の中でどんどん狂気に飲まれ、理知的な一面を失っていったことを思えば、そもそもサポートAIとして機能していたのか、あるいは搭乗者のように彼女自身も狂気に侵されてしまっていたのか。現時点では描写がない為、真相は不明。
活躍
- ゲーム一作目「Z.O.E -ZONE OF THE ENDERS-」
「アヌビスはいい…想像を絶する…」
「これこそ、目指していたもの…オービタルフレームの究極の姿!
「私を倒すことは不可能だ…」
当初はその存在をバフラム軍の通信の中で幾度か触れられる程度だったが、最終盤にてついにその姿を現す。
主人公レオ・ステンバックの駆るジェフティとノウマンの部下ヴァイオラ・ギュネーの駆るネイトの最後の対決後、突如ジェフティの前に現れる。
ゼロシフトの圧倒的なスピードと桁外れの出力を活かし、ウアスロッドのみでジェフティを終始圧倒し続け、撃墜寸前まで追い詰める。
しかし宇宙船アトランティス号の艦砲射撃により妨害され、ジェフティを仕留めそこねた。性能を鑑みるにその気になれば追撃できたと思われるが、そのまま見逃して撤退している。
- アニメ「Z.O.E -Dolores i-」
「アヌビスは素晴らしい…この力があれば、全てのことが成し遂げられる」
「ナフス、君はメタトロンを魔法の力だと言った…ならばアヌビスこそ、究極の魔法使いだよ…」
「私も力に溺れているのか…?」
物語中盤と終盤に少しだけ登場。
まずはノウマンの旧知の間柄である本作のライバルキャラ、ナフス・プレミンジャーの元へとアヌビスのデータを手土産に、味方の基地に無勧告で高速接近
敵襲と勘違いして慌てて閉じられた基地の防護隔壁を盛大に破壊しながらダイナミックご来場
その後、アヌビスの性能を見せる為の模擬戦に参加
フレームランナーのかつての愛機「セルキス」を一方的に蹂躙して大破させ、そのまま大気圏外に去っていった。
しばらく出番がなかったが、バフラムが地球の軌道エレベーター倒壊作戦を始める直前、ナフスのオービタルフレーム・ハトールの眼前に出現。
終始無言でウアスロッドを構え、ハトールもブレードを構えるところまではいくが、結局戦闘もやりとりもせずにそのまま撤収。姿を消した。
- ゲーム二作目「ANUBIS -ZONE OF THE ENDERS-」
「…その機体を返してもらおう」
「前祝いに丁度いい…相手をしてやる!」
「バシリアがどうした?手始めに火星ごと滅ぼそうじゃないか!」
本 領 発 揮 。
物語序盤から登場。仲間を守るためにバフラム艦内に突入してきた二代目主人公、ディンゴ・イーグリッドの駆るジェフティの前に颯爽と出現。今やアヌビスの代名詞の一つとなった印象的な腕組みポーズもこの時にお披露目となった。
前作では明かされなかった武装を多数使用しながらゼロシフトの圧倒的なスピードでジェフティを翻弄、何をどう足掻こうと決して敵わない絶対的な力の差を見せつけ、一度は拿捕に成功した。
なおこの頃の火星は、ノウマンがアヌビスに搭乗して好き放題したためにそこら中が焼け野原&巨大クレーターだらけとなっていることが語られ、もはや天変地異レベルの被害を火星全土に与えていることが判明。何より恐ろしいのは前述の通り、これでもアヌビスの本来の力からすれば全く全力など出していない、いわば「お遊び程度」でしかないという事実である。
ジェフティとディンゴが脱走した後にも一度交戦。
この時もジェフティを完膚なきまでに蹂躙し、撃墜寸前まで追い詰めるが、ある人物の機転と自己犠牲により、ギリギリのところで逃げられる。
そしてついにゼロシフトを手に入れてスペック上はアヌビスに並んだジェフティと、前作主人公レオ・ステンバックの操るビックバイパーを軍事要塞アーマーンにて迎え撃つ…
「この2機の性能は互角。だが、ジェフティがアヌビスと並ぶ為には、一つかけているものがある。スペックを最大限に引き出す為のプログラムだ」
「勝てるかどうかはランナー次第だ」
希望を運ぶ青い鳥と絶望を振りまく黒犬
最強の名を分かつ2機のオービタルフレームは、境界線の向こう側で世界の存亡をかけた最後の決戦へと挑む
ーCompression Spaceー
JEHUTY vs ANUBIS
- 余談
交戦領域のほとんどがバフラム艦内や研究所内、スフィア内と室内戦闘が多く野外戦闘が起きることがなかった。
完成までの過程
生みの親の新川洋司氏曰く『学生時代の頃にスケッチした時から物語の最強の敵』だが、翼はなかった。脚部の関節構造も人間のもつそれと同じで、頭部形状も異なる。
顔はたまたまできたもので、ジェフティのモデルをプレビューした時にテクスチャーがバグって出てきたものをそのまま利用した。
指は二本だけ起こしているのは、あるメタルバンドのCDジャケットからヒントを得たもの。
当初の設定では、尻尾のケーブルに「オーバーメガドライバー」と呼ばれる武器が接続される予定だったらしい。
関連タグ
※【これより先、物語の結末に触れる内容も含まれているため閲覧には 注意されたし】
アーマーンは、アヌビス(私)を選んだ・・・・
アヌビスと融合することで、アーマーンは初めて真価を出す
見ろ・・・・メタトロンとの完全なる結合・・・・
全てを終わらせるほどの 【破壊】を!!!!
ア ー マ ー ン ・ ア ヌ ビ ス
圧縮空間内での激戦を経て、遂にジェフティに破れ、大破したアヌビス。
しかしノウマンの高笑いと共に巨大軍事要塞アーマーンと融合、完全復活どころか、まさかの超進化&超強化を成し遂げた状態。
デザインの変化は以下の通り
・機体色が黒系が主体だったアヌビスとは反対に、全身が純白に染まっている
・大破した装甲パーツが廃棄されて犬顔の下にある不気味な「顔」も露わとなり、両腕に至っては肩と上腕が存在せず、前腕のみが宙に浮いている
・背部の翼のようなウィスプが複数のメタトロンの集合体に変更。簡単にいえば、大小様々な白い六角形状の板が無数に宙に浮いており、それが本体から広がった翼のように見える
・頭部の犬耳の先には天使の輪のようなエネルギーラインが形成
使用可能装備は変わらないが、火力と速度が爆発的に強化されており バーストショットを放った後にゼロシフトで移動してホーミングレーザーを連続で発射、更にゼロシフトで自分の撃った弾を全部追い越して斬りかかり、弾着の瞬間にはゼロシフトで離脱という離れ業が可能。
また、アーマーンの外壁を剥がしメタトロンを吸収してエネルギーを回復させる芸当もやってのける。
要するに、ただでさえデタラメもいいところに別次元の強さだったアヌビスのステータスが、いろいろ限界突破しすぎてもうめちゃくちゃの極みである
この究極完全体とも言える姿に対し、ジェフティもまた強化され、両者は今度こそ決着をつけるために真の最終決戦へと望む