若様組まいる
わかさまぐみまいる
作品解説
「明治二十三年、ミナこと皆川真次郎は西洋菓子屋を開いた。店には、旧幕臣の「若様組」の面々や、女学校に通うお嬢様・沙羅が甘い菓子と安らぎを求めてやってきた。その少し前―。徳川の世であれば、「若殿様」と呼ばれていたはずの旧幕臣の子息・長瀬達は、暮らしのために巡査になることを決意。今は芝愛宕の巡査教習所で訓練を受けていた。ピストル強盗の噂が絶えない物騒な昨今、教習所でも銃に絡む事件が起きた。若様組の他、薩摩出身者、直参で徳川について静岡に行った士族達、商家の子息達、さまざまな生徒に、何やら胡散臭い所長や教員を巻き込んで、犯人捜しが始まる。」(「BOOK」データベースより)
登場人物
[若様組]
父親達が明治維新後直ぐに、新政府に仕官した為、江戸の昔から住む旗本屋敷がかろうじて残された、似た境遇で育つ幼なじみの八人組。
家督を継ぐ嫡男のみを「若様」と呼び、次男以下は名前に「様」を付けて呼ぶ習わしであった当時の風習から考えて、呼称が途中で変更になったであろう人物も含まれるが、皆元家臣達からは「若」あるいは「若様」と呼ばれている。
本人達は、そのような境遇に僅かな皮肉も含め、自分達を「若様組」と内々で称するに至った。(「アイスクリン強し」(6ページ))
広い家屋敷の庭を耕し畑としているが、そこから得た収入では賄いきれない程の家族と、困窮の末頼ってくる元家臣達を養うため巡査を志す。
長瀬健吾
若様組の頭。20歳。元二千石の若殿様。後述の皆川真次郎、小泉沙羅とは幼なじみ。
福田春之助
23歳。元千石の若殿様。
園山薫
20歳。元三千石の若殿様。
大熊金太
22歳。元三百五十石の若殿様。
高木順之助
23歳。元八百石の若殿様。
平田文太郎
20歳。元二百五十石の若殿様。
小山孝
21歳。元三百石の若殿様。
小沼武一
22歳。元三百石の若殿様。
[薩摩組]
佐久間一義
24歳。元旗本。維新と共に、徳川宗家について、静岡へ行った者の子息。
宮木信成
22歳。士族。静岡より上京。
牧忠之
21歳。元旗本。維新と共に、徳川宗家について、静岡へ行った者の子息。
[士族組]
西岡義久
会津出身。21歳。
[平民組]
姫田新七
21歳。明治に成り上がった商人の息子。妾腹の次男。
土谷元吉
22歳。商人の息子。三男。
岩井清松
25歳。商人の息子。
辻三平
20歳。商人の息子。
[若様組知人]
皆川真次郎
20歳。前述の長瀬健吾、後述の小泉沙羅の幼なじみ。西洋菓子職人志望。
小泉琢磨
小泉商会当主。成金。
小泉沙羅
14歳。小泉琢磨の娘。
北尾百合
17歳。前述、福田春之助の恋人。
[巡査教習所 運営]
田中石之助
所長
有馬将勝
幹事
[教師 教師補]
浜木功
黒田信二
林欽一
[武道師範]
中村友男
羽生実
川畑元雄
下津六郎
伊吹忠一
(「若様組まいる」登場人物一覧参照)
出版社およびブックデータ
作:畠中恵/出版:講談社※講談社創業100周年記念出版/発行年月日:2010年11月4日第1版/挿画:丹地 陽子/装丁:大久保伸子