F-15S/MTD
えふじゅうごえすえむてぃーびー
F-15B試作1号機を改造し、次世代機技術開発のための実験機としたもの。STOL性能向上のため数々の改修を行っており、現在はNASAで数々の実験を続けている。
よく「F-15」と「S/MTD」の間は詰めて表記されるが、本当は「F-15 S/MTD」と間を空けるのが正しいようだ。
『アジャイル・イーグル・プロジェクト』
この計画は来たるべき次世代戦闘機開発のためのデータ収集を目的にしており、とくに『戦闘能力を保ったまま、どれだけ高いSTOL性能を確保できるか』という課題には重点を置いていた。
1984年、マクドネル・ダグラス社は納品したF-15Bを改めて自社に戻し(=空軍から借用し)、STOL性能を高めるための改造・実験機を製作することになった。
1986年、製作が開始される。1988年には完成し、初飛行を行った。
完成した機は『F-15 S/MTD』と命名された。
これは「短距離離着陸/機動技術デモンストレーター」の略で、そのためにカナード(F/A-18の尾翼を流用)や2次元式推力偏向ノズルが採用されている。ただこの時点で推力偏向ノズルは装備されていない。
ACTIVE:先進制御技術統合航空機
2次元式推力偏向ノズルが装備されたのは1989年で、これによってF-15S/MTDは真の姿となった。
実験は以降も続けられ、1993年以降はNASAに移管されている。
移管と同時に名称も『F-15 ACTIVE』と変更された。
今度は「先進制御技術統合航空機」の略で、もちろんコンピュータを用いた飛行制御の実験に使われている。1996年からは推力偏向ノズルが3次元型に変更され、さらに左右への噴射も可能になった。
IFCS:知的飛行制御システム
1999年からは『機体の不具合に対してコンピュータが瞬時に対応、操縦性を調整してパイロットへの負担を減らす』というIFCS実験を行っている。(F-15 IFCS)
この技術が実用化されれば、例えば損傷した機体の生還率が高まるなどの効果が期待されている。