『素数』を数えて落ちつくんだ・・・
『素数』は1と自分の数でしか割ることのできない孤独な数字・・・・・・
わたしに勇気を与えてくれる
人が敗北する原因は・・・「恥」のためだ
人は「恥」のために死ぬ
「どこへ行かれるのですか(ドミネ・クオ・ヴァディス)?」
おまえは「磔刑」だ───────ッ!!
概要
『ジョジョの奇妙な冒険』第6部「ストーンオーシャン」に登場。連載時は「ロベルト・プッチ」という名前だったことも(洗礼名の可能性がある)。
G.D.st刑務所で教戒師を務める神父。1972年6月5日生まれ。39歳。家族には妹のペルラ・プッチと双子の弟のドメニコ・プッチ(故人)がいる。聖職者らしく普段の物腰は穏やか。何故か動揺すると素数を数える癖がある。
「落ちつくんだ…『素数』を数えて落ちつくんだ…『素数』は1と自分の数でしか割ることのできない孤独な数字…わたしに勇気を与えてくれる。2…3…5…7…11…13…17…19」
このことからpixiv内で「素数」というとプッチ神父を描いた絵も幾つか投稿されている。
正体
過去(第3部が開始する1~2年前)に交友があり、彼を崇敬している。そして、第6部序盤から登場する謎のスタンドホワイトスネイクの本体にして、本作のラスボスである。
目的達成の為なら他人を犠牲にし、行いは全て正しい事であると信じて疑わないので双子の弟であるウェザー・リポートからは「自分が悪だと気づいていない最もドス黒い悪」と評された。その行動や信念は過去に起きたとある事件のトラウマと、その際に「これからは何でもする」と決意したためである。(事件についてはこちら(ネタバレ注意)を参照。)
略歴
かつて修行時代(推定12~15歳頃)にDIOと出会い、彼をかくまったお礼として生まれつき変形していた左足の指(左だと本人は言うのだが、原作にて描写されたのは右足だった。アニメ版では本人の言葉通り左足に修正されている)を元通りに治してくれたことを機に彼の友人となり、「矢」の鏃を受け取る。後にそれがきっかけとなりスタンド能力を得る事となる。
DIOの死後、「人は何故出会うのか?」という答えを得る為にDIOの意思を継ぎ、人の出会いは「運命」によるものであるとして、運命を操作する方法、ならびに全ての人類が幸福になることが出来る方法を探す。承太郎の娘、徐倫を罠に嵌めることで、DIOのノートを読んだ承太郎のDISCを奪う。そして「天国へ行く方法」を知り、それを完遂させようと目論む。
人の記憶とスタンド能力を「DISC」化させて奪い取ったり読んだりすることができ、またDISCを介して人や物を操るスタンド「ホワイトスネイク」を有する。更に「天国へ行く方法」の手順を進める事により、スタンドが進化して重力を操作する「C-MOON」に、最終的に時を加速させる「メイド・イン・ヘブン」へと至る。
その強力な能力によって承太郎や徐倫を全滅させ、とうとう世界の時を加速させ、宇宙に特異点を超えさせた。ここで自らの理想の世界───「天国」を作り上げたかと思われた。
しかし、前の世界で決定した「エンポリオが逃れ切る」という運命を、いずれ成長して自分を倒しに来るという結末を変えるため、最後の仕上げとして完全に世界が一巡する直前で能力を止め、排除しようとした。
しかしながら「人の出会いも重力」。徐倫が託したウェザー・リポートのDISCを差し込んだエンポリオに思わぬ逆襲を受け、それまでの自身の所業によって生じた因縁を切れなかったことが原因となって敗北。「ケーブ・カナベラルに到着した後ならいくらでも命を捧げる」などと命乞いをしたが「正義の道を歩む事こそが運命」と断じられ、かつ「悪は滅びる」運命は変えることはできず、ウェザー・リポートの能力による毒が瞬く間に体内に周る。身動きが取れなくなったところでスタンドの拳で頭部を左の眼球が飛び出すまで押しつぶされ、それでもなおしぶとく「このちっぽけな小僧がああああああああああ」と罵声を浴びせるも、直後顔面の皮をバリバリ剥がされラッシュ攻撃を叩き込まれて最期の最期まで苦しみながら息絶えた(アニメ版では描写的にエグかったためか眼球が飛び出す描写と顔の皮剥がしはカットされ、代わりにもう1発顔面を殴打された後、ラッシュ攻撃を叩き込まれるなど多少マイルドになっている)。
宇宙が完全に一巡する前に死んだことにより、一巡前とは違う運命をたどる新たな世界が完成してしまい、彼の「天国」は瓦解した。
もし彼が、自身が口にしたように「天国の完成」に殉ずる覚悟があったならば、エンポリオを放置して完成を最優先すべきであった。
なのにそうせず、完成前にエンポリオを始末にかかったのは「自分に歯向かう意志のある者は天国の完成前に根絶したい」という、完全なる保身からくるものである。
他人には覚悟による幸福を説く一方で、自分は成長したエンポリオに倒される覚悟が出来ていなかったという矛盾から目を背けたツケが回ってきたと言える。
第7部以降は、この元の世界でも一巡後の世界でもないパラレルワールドが舞台となっている。
名前の由来はファッションブランド「ENRICO COVERI」(または「roberto cavalli」)および「EMILIO PUCCI」。
作者の荒木飛呂彦氏によるとプッチ神父はこれまでのジョジョシリーズのラスボスと違い「悪党の正論」を意識したとのこと。
容姿
服はジョジョのキャラクターとしては比較的普通で、十字架をあしらった服という、聖職者ということがわかりやすいもの。
問題は髪型。上の絵のように妙な剃り込みが入った髪型をしており、端のブロックから伸びるモミアゲはこけた頬のようなラインを描き、残ったブロックのうち真ん中以外からは眉毛とつながる線が出ている。
また、色黒なので黒人に見えるが、実際は両親とも白人種であり、彼は白人に分類される。
緑色の赤ちゃんを手に入れた後の彼は髪型が変わり、元あった剃り込みは消え、線が更に増えている。
上のイラストのように額に星型が出来るような線を描き、流れ星の尾のような剃りこみを左側頭部から3本入れ、襟足を伸ばして4つに束ね、まつ毛をかなり増やしておけばそれっぽくなる。
この状態の通称は、当時の編集担当・嶋智之氏のはっちゃけたアオリ文が由来の「ザ・ニュー神父!」。ゲーム「ASB」では、通常のプッチが14の言葉によって変化する形態(もちろんスタンドもホワイトスネイクからC-MOONに変化)として登場し、EoHにおいてはプッチとは別のキャラクター「新月の時を待つプッチ」として登場した。
スタンド
スタンドの形態を複数持っている人間の一人であるが、広瀬康一のように自由に能力を使い分けられるのかどうかは不明。
形態というよりは進化に近い変化をしているので、変えられない可能性は大きい。コミックスにおけるC-MOONの説明にも『緑色の赤ちゃんとホワイトスネイクは、もう消滅した』とある。
しかし、スタンドが進化してもホワイトスネイクが作り出したDISCが消滅していないことや、それらを操る能力がある点を鑑みるに、能力自体は残っていたとも考えられる。
ホワイトスネイク
【破壊力 - ? / スピード - D / 射程距離 - ? / 持続力 - A / 精密動作性 - ? / 成長性 - ?】
「遠隔操作型」(射程距離20メートル)
(単行本3巻時点のデータのため?が多い)
声優 - 桐本琢也(オールスターバトル)、増谷康紀(ウルトラジャンプCM、アイズオブヘブン)、関智一(TVアニメ版)
人型のスタンド。自発的に喋る様子や、プッチがホワイトスネイクに口頭で命令を下す描写から、自我もそれなりにあることがうかがえる。
生物の記憶とスタンド能力を、CDのような形状の「DISC」にして取り出す事ができる。
このDISCには
- 破壊は不可能、元の人間が死んでもDISCは朽ちない。しかし、DISCが刺さった状態の人間が死ねばそのDISCも朽ち果てる。
- 記憶のDISCの方は誰でも頭に挿して中身を見る事が可能。
- スタンドDISCの方は適応しない人間では弾かれて刺さらない。逆に、適応さえすれば他人が発現させたスタンドでも使える(1人で複数のスタンドを持つことが出来る)。
という特徴がある。
また、空のDISCを作りだす事も可能である。作中では「10m飛んで破裂する」「メサイアを歌う」という命令を込めたDISCを使用していた。そのほか視力だけをDISCとして取り出し、擬似的に失明状態にさせるといったこともできる。さらには相手の頭脳に手を挿し入れ、直接的に命令を書きこむといったヘブンズ・ドアーのような使い方も出来るなど、何かと応用力に富むスタンドである。
初期は相手に幻覚を見せつつその体を溶かしていき、相手の記憶とスタンドのDISCだけを残して跡形もなく消すという、時間はかかるが確実で慎重な方法を用いていた(ホワイトスネイクは近接戦闘ではあまり優秀とは言えないため)。しかし空条徐倫との殴り合いなどからも分かるように、スタンドで触れさえすればふつうにパンチ一発でDISCを取り出すことも可能。遠隔操作のスタンドではあるが本体に近いほど能力が高くなるため、ホワイトスネイクを使用する際はいつもスタンドの近くまで来ていた。
C-MOON
【破壊力 - ゼロ / スピード - B / 射程距離 - ? / 持続力 - ? / 精密動作性 - ? / 成長性 - ?】
「遠隔操作型」(射程距離3km)
ホワイトスネイクと「緑色の赤ちゃん」が融合してできた遠隔操作型スタンド。
半径約3km以内にある物体の重力の方向を、本体のプッチ神父を中心に逆転させる能力を持つ。
破壊力はゼロ表記だが、物体を殴ればそれの重力方向を反転させて「裏返す」ことが可能。
具体的には殴った物体が破壊を伴って「裏返る」という挙動をするため、実際の破壊力はかなりのものがある。C-MOONはその能力を人体に向かって振るうのだから恐ろしい。
メイド・イン・ヘブン
【破壊力 - B / スピード - 無限大 / 射程距離 - C / 持続力 - A / 精密動作性 - C / 成長性 - A】
「近距離パワー型」
後ろ半分が無いケンタウロスのような姿をしている、「天国へ行く方法」の最終条件を満たした事によってC-MOONが進化したスタンド。
全世界の時を加速させる能力を持つ。
時を加速させるとは言っても普通の人間及び生物全般が感じる時間の流れはそのまま(いわば精神と時の部屋状態)で、プッチだけが加速した時の流れについていく動きができるため、他の人から見ればプッチが高速移動しているように見える。またスタンド自体のスピードが無限大であるため、その能力を差し引いてもスピードの高さはとてつもないものがある。
最終的に時を最果て(特異点)まで加速させる事で宇宙が「一巡」し新しい宇宙が生まれ、
「全ての人間がこれから起こる事を全て知っている」世界を作りあげようとした。(前の世界で体験した事を「覚えている」と書いた方が正確かもしれない)
『運命』を『覚悟』できる事は『幸福』か?
余談だが、コミックスに収録される際に名前が変えられてしまった。
ジャンプに連載されていた時のスタンドの名前は「ステアウェイ・トゥ・ヘブン(STAIRWAY TO HEAVEN / 天国への階段)」。
公式的に「最強のスタンド」表記をされるスタープラチナを持つ空条承太郎を筆頭とした敵の面々をことごとく倒したという実績から、最強のスタンド候補に挙げられることがあるが、メイド・イン・ヘブンは「時を加速する」能力よりも「加速後の世界」を生み出すことの方が重要であり、基本的なパワーや精密動作性などは近距離パワー型のスタンドとしては他の最強スタンド候補にやや劣る。それに加え、本体であるプッチ神父もこのスタンドは最強になるためのものではない旨の発言をしている。
台詞集
- 素数を数えて落ち着くんだ
- 承太郎は短命だったな
- 『らせん階段』…!『カブト虫』!『廃墟の街』!『イチジクのタルト』!『カブト虫』!……『ドロローサへの道』!『カブト虫』!『特異点』!『ジョット』!『天使(エンジェル)』!『紫陽花』!『カブト虫』!『特異点』!『秘密の皇帝』!!
- 君は「引力」を信じるか?
- 神を愛するように君のことを愛している
- 安っぽい感情で動いてるんじゃあないッ!
- おまえごときうすっぺらな藁の家が深淵なる目的のわたしとDIOの砦に踏み込んで来るんじゃあないッ!
- 思い出のない人間は死人と同じだ
- 時は加速する
- 「二手」遅れたようだな…
- 君がそこへ行く事は「決定」されている『運命』だからだ!
- このちっぽけな小僧がああああああああああ
ゲーム「Eyes of Heaven」
原作とは行動原理が大きく異なり自身が天国へ行くことにはまるで執着しておらず、並行世界のDIOに付き従っており「DIOを支え、身を任し、すべての重荷から解放される」ことを信念としている。DIOのスタンド能力ならば人類を天国へと導けると考えたのだ。
なお「私が『1988年』のおまえと出会うのはこれで『2回目』」「この『世界』の私が求めていたもの」といった発言から、彼も天国DIOと同じ並行世界から来たと思われる。基本世界のプッチがどうなったかは不明だが、全く登場しないことから天国DIO自身、あるいはその部下によって死亡している可能性が高い。
目的を明かしてからはDIOの副官となり、彼の補佐を担った。終盤ではジョースター邸にて承太郎たちと対決、敗北する。ジョセフのハーミットパープルで頭の中を読まれることを危惧し、最後は自ら二階から飛び降りて慈愛の女神像の串刺しとなり、その生を終えた。
プッチが最期に遺した言葉は、「神を愛するように君のことを愛している」だった。
天国DIOも神父に対して駒ではなく本気で友達だと思っていたらしく、主人公たちと対峙した際には「おまえたちがここへ来たということはプッチを倒したということか」「我が友プッチへの手向けだ」と告げて戦闘を開始している。
小説「JORGE JOESTAR」
なんと宇宙飛行士という設定で登場。ジョセフ・ジョースターによって地球から追放され火星に流れ着いたカーズと接触する。カーズを独占しようとする船長ファニアー・ヴァレンタインの殺戮があったが、ナランチャが倒したことで事なきを得る。
その後、カーズがジオット (探査機)を改修することで即席の宇宙船に変え、一行は地球への帰路につく。
その後、地球に着くなりなぜか1920年のイギリスに飛ばされてしまい、アメリカ大統領ファニー・ヴァレンタインに伴われて現れた「茨の王冠と聖痕のディオ・ブランドー」と出会う。
そしてメイド・イン・ヘブンなるスタンド能力を与えられ、最終盤ではジョルノ・ジョバァーナのゴールド・エクスペリエンス・レクイエムと対決。
死闘の末「相手の意思も行動も全てを無にする」能力によって「どこにも辿り着けない世界」へと追放された。
この時のプッチの状態をジョルノは、
「エンリコ・プッチはここにいようと思ってもいることもできない。どこに行こうとしても行くことはできない。死のうと考えても死ぬことはできない。しかし生きようと思っても生きることすらできない。
生でも死でもない、どこでもない、どこにも辿り着かない場所で反対方向に飛ばされながら彷徨い続けるはずです」
と語っている。
担当声優
2度に渡ってキャスト変更がされている関係で作品によって声質の差がだいぶ激しいキャラクターとなっている。この中でASB版CVの速水奨氏は後にTVアニメ版でDIOの狂信者を演じ、TVアニメ版CVの関智一氏は、プッチと同じ1972年生まれのタメである。
関連タグ
歴代ラスボス