概要
「NEXT CHALLENGER」で初登場し、現在も勢力を拡大している。
所属するモンスターは全て地属性・機械族であり、また上位種「アポクリフォート」を除いてペンデュラムモンスターである。
ギミックが単純なのである程度の技量さえあれば扱える使いやすさが魅力で、単純故に強力なカテゴリともいえるが、同時に単純故に戦術がワンパターン化しやすく、手の内が読まれると比較的簡単にメタられてしまうという危うさも内包しているため、完全に扱いこなすには相応の技量とデッキ構築力を要求される。
特にクリフォート以外の特殊召喚に制限を課してしまう共通のデメリットペンデュラム効果によって戦術派生に一手間費やす必要があるのも欠点である。
しかし、後にクリフォートとして扱える罠モンスターの登場などにより、新マスタールール移行後でも多少は戦えるギミックを得られた。そのため、ペンデュラム召喚を忘れてアドバンス召喚などに重点を置けば、新規儀式カテゴリーなどが相手でも渡り合える可能性はある。
詳細
遊戯王OCGのカテゴリの一種で、第九期のノーマルブースター第二弾「NEXT CHALLENGER」にて初登場した。
大きく分けて、通常の「クリフォート」及び上位種「アポクリフォート」の二種類に分類され、全てのモンスターが地属性・機械族である。
遊戯王OCGの基本中の基本と言える「リリース(生け贄)」・「アドバンス召喚(生け贄召喚)」に関する効果を持ち、またそれぞれ特殊召喚に関する制約も持っている。
名称で使用される場合は「クリフォート」もしくは「機殻」の文字があてられる。
生命の樹「セフィロト」に対する邪悪の樹「クリフォト」を構成する「クリファ」に由来するモンスター群で、それぞれが対応する個別の「クリファ」ならびに「悪徳」を持つ。
「クリファ」はセフィロトを構成する「セフィラ」に対応し、各クリフォートモンスターが持つ宝珠状のパーツの色も、対となるセフィラの象徴色となっている。
その対応する番号は以下の通り。なお、クリファのナンバリングの際には、番号に虚数を示す「i」が付く。
番号 | 色 | 悪徳 | クリフォート |
---|---|---|---|
1i | 白 | バチカル(無神論) | アポクリフォート・カーネル |
2i | 灰 | エーイーリー(愚鈍) | クリフォート・エイリアス |
3i | 黒 | シェリダー(拒絶) | クリフォート・シェル |
4i | 青 | アディゼリュス(無感動) | クリフォート・ディスク |
5i | 赤 | アクゼリュス(残酷) | クリフォート・アクセス |
6i | 黄 | カイツール(醜悪) | クリフォート・ツール |
7i | 緑 | ツァーカブ(色欲) | クリフォート・アーカイブ |
8i | 橙 | ケムダー(貪欲) | クリフォート・ゲノム |
9i | 紫 | アィーアツブス(不安定) | クリフォート・アセンブラ |
10i | 虹 | キムラヌート(物質主義) | アポクリフォート・キラー |
各「クリフォート」モンスターの名前は、上記の「クリファ」の対応する悪徳と、PC・プログラム用語とを組み合わせたものになっている。
「邪悪の樹」はこの10の球で構成される図であり、その並びによって各モンスターのレベル・Pスケール・ステータス及びP効果が決定されているようだ。
レベル | 左列 | 中央列 | 右列 |
---|---|---|---|
10 | 10i | ||
5 | 9i | ||
6 | 7i | 8i | |
5 | 6i | ||
7 | 4i | 5i | |
8 | 2i | 3i | |
9 | 1i | ||
Pスケール | 1 | 9 | |
P効果 | 自軍全体強化 | 相手全体弱体化 |
クリフォート
通常の「クリフォート」。レベルは5~8に散在し、全てがペンデュラムモンスターである。
それぞれP効果として①②二つの効果を持っている。
その①は全員共通で、
- 自分は「クリフォート」モンスターしか特殊召喚できない。この効果は無効化されない。
というもの。
これにより、「クリフォート」モンスターをPゾーンにセットすると、自分自身の展開を抑制されてしまう。
また、②の効果として、多くの「クリフォート」が相手モンスターのステータスを弱体化させる効果、あるいは自軍の「クリフォート」モンスターのステータスを強化する効果を持つ。
ただし、通常モンスターである「クリフォート・ツール」及び「クリフォート・アセンブラ」のみはステータス変動効果を持たず、代わりに手札を増強し展開を補助する効果を持つ。
効果モンスターの「クリフォート」モンスターは、さらに共通のモンスター効果として以下の効果を持つ。
- ①このカードはリリースなしで召喚できる。
- ②特殊召喚またはリリースなしで召喚したこのカードのレベルは4になり、元々の攻撃力は1800になる。
- ③通常召喚したこのカードは、このカードのレベルよりも元々のレベルまたはランクが低いモンスターが発動した効果を受けない。
これら三つの効果に加え、④効果としてリリース・アドバンス召喚に関する効果を持つ。
アポクリフォート
最上級「クリフォート」モンスターであり、上位種。
現在「アポクリフォート・キラー」及び「アポクリフォート・カーネル」の二体が存在する。
共通効果として以下の効果を有する。
- このカードは特殊召喚できず、自分フィールド上の「クリフォート」モンスター3体をリリースした場合のみ通常召喚できる。
- ①通常召喚されたこのカードは魔法・罠カードの効果を受けず、このカードのレベルよりも元々のレベルまたはランクが低いモンスターが発動した効果も受けない。
特殊召喚できず、通常召喚にも三体の「クリフォート」を指定するなど非常に重い・・・なんてことはなく、「クリフォート」自体がペンデュラムによる大量展開が可能な上リリースされることで効果を発揮する者が多い為、割合簡単に出せるうえアドバンテージも即回復できる。
そして何より目を引くのが①の効果。あらゆる魔法・罠の効果を受けず、さらに最低でもレベル・ランク9以下のモンスターの効果を受けないという脅威の耐性を有している。
ただ、基本的にそこまでする必要性が低く、特に召喚すると総合火力が下がってしまうため積極的な召喚はあまりされない。
2016年以降はアドバンス召喚サポートの増加、クリフォート専用ダブルコストモンスターの登場により、ある程度は使いやすくなっている。
戦術
優秀なP効果を持つ「ツール」「アセンブラ」を早期にセットし、妥協召喚・P召喚を駆使して「クリフォート」モンスターを大量展開して殴るビートダウンが一般的。
全てが上級モンスターでありながらリリースなしで展開が可能な上、「効果によって」自身のステータスが抑えられるのを利用し、「虚無空間」・「スキルドレイン」などの強力なメタカードをガン積みして一方的に対戦相手を押し潰すことを得意としている。
逆に「ツール」の効果を妨害されると一気に苦しくなる。使用する場合は如何にして「ツール」を守り通しながら仕事させるか、敵対する場合は如何にして「ツール」に仕事をさせないかが肝となる。
ライフコストを要求する効果もあるためガチガチのロックバーンに対しても苦しい展開となる。
ほぼ完全耐性を有する二体の「アポクリフォート」は確かに強力ではあるのだが、正直わざわざ使用するまでもなく決着できる。というか、「カーネル」は効果のシナジーが低い。
その強力無比なデッキパワーから瞬く間に環境を席巻。影霊衣登場後の「遊戯王ネクロスモンスターズ」環境においても一定の結果を出し続けた恐るべきカテゴリである。
2015年1月のリミットレギュレーションより制限される可能性も囁かれたが、影霊衣が暴れ過ぎた為ノータッチというこれまた驚愕の結果となった。
2015年4月には流石に規制が入り、「ツール」が準制限、「機殻の生贄」が制限となっている。
その後、EMの強化、他の汎用カテゴリー増加などがあったためか、2016年10月に「ツール」が制限解除となった。2017年にはペンデュラム以外の召喚方法を得意とする汎用カテゴリーの増加、新マスタールールへの移行などの影響により、「機殻の生贄」も準制限となった。同年10月には無制限となり、11月には、関連リンクモンスターも登場している。
ストーリー
「ナチュルの神星樹」の地下に封印されていた謎のプログラム。
神の写し身との接触、及び彼女が何らかの作用を神星樹に及ぼしたことから封印が解かれ、復活。
世界を「再星」するべく機動を開始する。
その目的は未だ不鮮明ながら、煉獄の悪魔「インフェルノイド」を「殻醒」し、原住のモンスター達を攻撃するなど、明らかに友好的な存在ではないのは確実であるとされる。
…と思われていたがマスターガイドやマスターデュエルのソロモードにてクリフォートは生命システムによって起動・行動する、どちらかと言えば味方寄りの陣営であることが判明。「エルシャドール・シェキナーガ」のイラストでネフィリムがキラーに拘束されているのはそういう背景によるものらしく、生命システムと敵対関係にある破壊システムの尖兵インフェルノイドも「殻醒」させられることなく永久にクリフォートの内部に封印されはずの存在であった。
しかしクリフォート自体が生命システムの波動を持った偽の発行元によって起動させられたことが原因で、彼女を通じてクリフォートの内部システムに「tierra」と呼ばれる者が侵入、その結果、クリフォート達はインフェルノイドの封印を主の命令と勘違いして解放してしまう。その上バグまで起こして「再星」と呼ばれる暴走を開始し、DT世界の全ての生命はクリフォートたちの脅威に晒される羽目になってしまった。
その様子は「クリフォート・ツール」「クリフォート・アセンブラ」のテキストにて描かれている。「tierra」を封印するためにクリフォートを使って2重ロックまで掛けたのに、ミドラーシュのせいでそれすらあっさり利用されてしまった生命システムの心境は如何に…。