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ザック・セイバーJr.

ざっくせいばーじゅにあ

ザック・セイバーJr.は、イギリス出身の男性プロレスラーである。公表プロフィールでの身長は186㎝、体重は96㎏
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概要

2024年現在新日本プロレスに所属し、十年以上も日本のマットで戦い続けている、自他ともに認める世界最高峰のTEKKER(テクニシャンの意)。

そのありそうでなかった「グラウンドレスリング特化」という独自のスタイルと、母国のそれを下敷に日本やメキシコなどあらゆるリングのものを融合させた確かな技術で、「英国の若き匠」「サブミッション・マスター」の名を恣にしている。


来歴

1987年7月24日、イギリス・ケント州シェピー島に生を受ける。

2004年に地元のプロレス団体NWA-UKハンマーロックにてデビューし、IPW:UK、wXwなどヨーロッパ各地のリングで活躍。数度のスポット参戦を経て、2013年よりプロレスリング・ノアの常連外国人選手として日本マットに登場する。この頃既に日本人レスラー屈指のテクニシャンと呼び声高かった小川良成の薫陶を受けると共に、のちのチームメイトとなるオリジナルTMDKの二人、マイキー・ニコルスおよびシェイン・ヘイストと道場で同じ釜の飯を食った。

2015年の鈴木軍対ノアの全面対抗戦にもジュニア戦士として参戦。タイチエル・デスペラードら、のちの盟友たちと激闘を繰り広げる。翌2016年にはかのWWE主催のトーナメント戦、クルーザー級クラシックにも出場を果たし、準決勝まで勝ち進む好成績を残した。

2017年、母国イギリスの至宝RPWブリティッシュ・ヘビー級王座を奪取すべく、当時のチャンピオン柴田勝頼に挑戦する形で新日本プロレスのマットに初登場。ところがその試合中、突如鈴木みのるが乱入して柴田をゴッチ式パイルドライバーでノックアウトする。これに混乱するかと思いきや、躊躇いなく追撃のサッカーボールキックをぶち込んで3カウントをゲット。母国の名を冠した王座を初体感するとともに、鈴木軍入りを電撃表明した。またこの時から、ジュニアヘビーからヘビー級へと主戦場を移している。

そして2018年にNEW JAPAN CUPに初出場を果たすと、いきなりの大活躍を開始。初戦で優勝候補の一角と目されていた内藤哲也をギブアップさせ、さらに飯伏幸太SANADA、そして決勝では棚橋弘至からもタップアウトを奪い取り、当時の新日本トップ層を薙ぎ倒して初出場初優勝という快挙を成し遂げた。この後2020年初頭までの間に、前述のブリティッシュ・ヘビー級王座戦線で多数の名勝負を展開。同王座の最多戴冠記録4回を樹立している。

2020年、新型コロナウイルスが全世界規模の危機を引き起こす。当然プロレス界も大打撃を被り、多くの外国人選手が一時帰国を選ぶ中、ザックは一度も帰国することなく日本マットに残留する道を選んだ。そして同門のタイチとのタッグチーム「デンジャラス・テッカーズ」でIWGPタッグ戦線に参入、当時の王者ゴールデン⭐︎エース(棚橋・飯伏組)を破って初戴冠以降、2022年までに三度の戴冠を果たし、プロレス大賞ベストタッグ賞を受賞することとなる名タッグチームとして、声出し禁止のリングを盛り上げた立役者の一人となった。あまりにも仲が良かったためか、相棒のタイチから「俺らもう結婚しよう」というコメントが出たことも(本人は満更でもなさそうだった)。

団体がコロナ禍から段階的な復活を始めた2022年はとりわけその活躍が光っており、史上最多48名がエントリーしたNEW JAPAN CUPを制して自身2度目の優勝、新設されたNJPW認定TV王座の初代王者決定トーナメントで決勝まで勝ち上がるなど、シングルプレイヤーとして確かな存在感を発揮。そしてこの年、ボスである鈴木みのるが鈴木軍の解散を発表したことにより、同年12月をもって「デンジャラス・テッカーズ」も解散となった。

2023年の開幕を告げる、イッテンヨン東京ドーム大会。鈴木軍解散後の去就が注目される中、昨年のトーナメントの決勝戦となるNJPW認定TV王座初代決定戦十五分一本勝負に出場。成田蓮を腕ひしぎ十字固めでギブアップさせ、悲願の新日本マットでの初のシングル王座戴冠を達成。そしてその場で、かつての道場仲間であったマイキーとシェインの勧誘を受けてTMDKへの加入を表明。THE FRONT MANとニックネームを改め、十五分一本勝負という特異な短期決戦のフィールドで破竹の快進撃を開始。なんと翌2024年のイッテンヨンで棚橋に破れるまでの一年間で、新日本のみならずアメリカSTRONG、ROH、AEWまで多岐にわたる団体で連戦を展開、TV王座を16度も防衛するという近年稀に見る連続防衛記録を打ち立てた。参考までに、同じく2023年東京ドーム大会でIWGPジュニアヘビー級王座を戴冠し、2024年のドームで陥落した高橋ヒロムが一年で7度の防衛に留まっている。その対戦相手も、ヤングライオンや新生から大ベテラン、スーパーヘビー級にジュニア戦士、ルチャドールに至るまでありとあらゆるレスラーを相手取っており、その対応力の高さを知らしめることとなった。

2024年には、前年にシングルマッチで敗れたブライアン・ダニエルソンに勝利するなど確実に前進中。今後のザックの活躍に、さらなる期待がかかるところである。


得意技

子供たち「ザック選手の関節技っていくつあるの?」


ザック「そうだな、今は410万と27個くらいかな。大体ね」

証拠映像

ちなみにこちら、「子どもからの質問に答える」という体で全国ネットで放送されている。しかし実際のザックの試合を見ていると、本当にそれぐらいあるのではないかと思えてくるから困るし、魅せられる。


そのスタイルを最も的確に形容したかつての二つ名が「サブミッション・マスター」

読んで字の如く関節技を磨きに磨き抜いており、独創的かつ複雑怪奇なオリジナル・ホールドの数々を売りにしているテクニシャン。目の肥えたプロレスファンや同業者、専門誌の記者から果ては戦った相手までも「一体何がどうなって技が極まっているのか分からない」と評するほど、とにかく関節技の数も入り方のバリエーションも膨大であり、かつ難解。しかもそれでいてどの技も非常にえげつない角度や勢いで極めていくため、熟練の実況陣が思わず悲鳴をあげたり呻いたりすることすらある。当然ながら脱出は困難を極める。

一つの技にこだわってどんな状況からでも必殺の一発へ繋げるというのではなく「対戦相手の動きや自分のコンディション、その場の状況に応じて次から次へとかける技を変化させていく」というザック独自のスタイルは、鍛え抜かれ卓越した身体能力と咄嗟の閃きに富んだ柔軟な思考能力、そして洗練された技能に裏打ちされており、もたつけば一瞬で絡め取られてしまう。その動きはさながら軟体動物か流体のエイリアンのようですらあり、灘神影流でも極めたのかと言いたくなるレベルなこともしばしば。入り方極め方派生に至るまであまりにもパターンが多いため、事前対策は不可能に近いと言える。

母国イギリスの伝統的な「ランカシャースタイル」(イングランド、ランカシャー地方で発展してきたレスリングスタイルのこと。現代アマチュアレスリングの主流となっているグレコローマンスタイルが下半身への攻撃を基本的に禁止とし、ピンフォールでの勝利のみを認めているのに対し、こちらはサブミッションによる勝利が認められている)と、それが発展して生まれた「キャッチ・アズ・キャッチ・キャン」(「どこであろうと掴んでよし」を意味する言葉。上記ランカシャースタイルを源流とする、サブミッションに重きを置いたレスリングスタイル。今でいうところのキャッチレスリングに近い)がこのスタイルの土台となっており、そこに日本マットのスタイルをうまくミックスすることで完成している。


この母国への愛と日本マットへのこだわりによって培われた、頭抜けたグラウンドテクニックをザックが存分に発揮すると、こんなあり得ない挙動も可能。


ハンドスプリングやスワンダイブで飛び込んできた相手を空中でキャッチ。

自分が寝た状態で立った相手の足を取ったかと思いきや、数秒で相手の腕を取っている。

一つの技から次々に派生技に繋いでいき、気がつけば相手の両手両足を極めてダルマ状態に。

試合の動画で、ザックが追い込まれていると思って十秒スキップしたら、何故かザックが勝っていた。


そしてもちろん関節技一辺倒というわけではない。油断した相手を一瞬で丸め込むバリエーション豊かなフォール技の数々も切れ味抜群であり、こだわりを持って使用するヨーロピアン・アッパーカットやサッカーボールキックなどの打撃ももちろん強烈。さらには奥の手の投げ技なども隠し持っており、まさに全方位に対応可能でどこにも死角がない。極悪ヒールユニットであった鈴木軍出身であることから、ラフファイトにも当たり前のように対応しており、ヤングライオンを使った替え玉作戦(しかも二人用意しての二段構え)なんてこともやってのける。

強いて使わない技を挙げるとすれば飛び技ぐらいのものであるが、同じイギリス出身レスラーとして比較されることが多いウィル・オスプレイとの最大の差異がここ。まったく対照的な二人の戦いは、ブリティッシュ・ヘビーやIWGP USヘビーなどの王座戦で多くの観客を沸かせてきた。

以下得意技の数々を紹介するが、咄嗟のひらめきで繰り出される技が数多いザックのスタイル故、一度きりの使用に留まった幻の技、というものが非常に多く、とても紹介しきれない。そのためここでは「フィニッシュ・ホールドとして使用されたことが」「複数回ある」技に限って紹介する。

また今一つの特徴として、とにかく技名が長くて複雑。パッと聞いただけではなんの技だかまるで分からない、謎めいた技名が多数存在しているのもザックならではである。実際にこれらの技名が「長すぎる技名シリーズ」として新日公式からグッズ化されているぐらいであり、実況解説で正しい技名がコールされることはあんまりない。

それでは見ていこう。



クラーキー・キャット

片羽折りとストレート・アームバーを複合させて相手の両腕を極めるサブミッション。ザックの数ある技の中でも、比較的披露される回数が多い。

まず相手の片腕を脇固めで捕らえ、その腕を両足で折り畳んで固定。そこから相手の逆の腕を取り、肩関節が外れそうなほどの勢いで一気に後方へ腕を逸らせてギブアップを迫る。ここからさらに相手の足をも取ることで、エスケープをほぼ不可能にする別バージョンがあり、そちらは「クラーキー・キャット(バッドバルーンリミックス)」という呼称が用いられる。

技名の由来はおそらく、イギリスのテクノユニットFour Legsの楽曲「Clarky Cat」

開発からしばらくの間は「ジム・ブレイクス・アーム・バー」という技名だった。


オリエンテーリング・ウィズ・ナパーム・デス

新日参戦直後ザックの代名詞となっていた、下半身を狙っての三点複合関節技。NEW JAPAN CUP初優勝をもぎ取ったのはこの技である。

相手の片足をマフラーホールドでキャッチ、逆の足を自分の両足で変形のニーロックに固め、さらにその状態で両足を絞り上げることにより、レッグスプレッドで股関節にもダメージを与える。場合によってはさらに相手の手首をクラッチすることも。

イギリスのコメディアンStewart Leeのコメディに同タイトルのものがあるため、これが名の由来の可能性がある。


Hurrah! Another Year, Surely This One Will Be Better Than the Last; The Inexorable March of Progress Will Lead Us All to Happiness

一体何の冗談だと思われるだろうが、これで本当に新日の公式サイトにも決まり手として掲載されている、歴とした正規の技名。脅威の百文字越えであり、恐らく古今のプロレス界を見渡しても史上最長。

技としての詳細は卍固めの派生技であり、空中卍に相手を捕らえた状態から自身の両足を相手の首にずらしていき、同時に左傍に抱えた相手の右腕をアームバーで絞っていく空中での腕ひしぎ。

これだけでも相手にとってはザックの全体重をかけて腕を極められるため厳しいのだが、ここからザックのスペックをフルに発揮することにより、

①そのまま腕を絞り上げて相手を寝かせ、グラウンドで極める。

②もう片腕も取ってダブル・アームバーに移行。

③相手の首に回した両足を絞り、トライアングル・フットチョークへ。

④ロープに逃げる相手の足を取って完全捕獲

エトセトラエトセトラ…といくらでも選択肢が生まれてくるため、一度完全に決まってしまうと逃れることが極めて難しい。

名の由来は、イギリスのオルタナティブバンドYouthmovie Soundtrack Strategiesが2005年に発表した同名のEPかと思われる。


クリメイション・リリー

上記クラーキー・キャットの発展技。過去二度しか披露されていないが、いずれもフィニッシュ・ホールドとして使用されている。

捕らえた両腕を足で挟み込んで極め直したところから、相手の足を取って4の字に固め、そのまま後方へ倒れ込むことで相手の体を折り畳んでいく。

文字通り手も足も出なくなる技で、こうなったらギブアップする以外に選択肢は存在しない。

イギリスの同名アーティストCremation Lilyがその名の由来か。


ザックドライバー

新日本参戦後から使用開始された、ザックの投げ技フィニッシャー。こういう豪快な技も遜色なく繰り出せるのが、さすがザックのクオリティである。

抱え上げた相手を開脚してボディスラム気味に叩きつける変形のみちのくドライバーⅡで、違いは相手の抱え方。マットと完全に水平になるまで担ぎ上げる本家に対し、ザックはエメラルドフロウジョンのようにマットに対して相手が垂直になるように担いで仕掛けている。

オリジナル同様、一瞬でかけられる優れた奇襲性に抜群の威力を併せ持ち、多くの難敵からピンフォールを奪い取ってきた。新日参戦からしばらくの間、オリジナルの開発者であるTAKAみちのくがセコンドについていたことがあるため、おそらく本人からの直伝。それもあってか、ザックの技としては珍しく非常にシンプルなネーミングになっている。

……と思ったら、2022年より大一番でのとっておきとして旋回式ザックドライバーを使用しているのだが、こちらの技名は「セイバードライバー(ユー・スピン・ミー・ラウンド・テクノ・リミックス)」。やっぱりザックだった。


ヨーロピアン・クラッチ

かつて人間風車ことビル・ロビンソンが日本マットに知らしめた丸め込み技。和名では欧州式回転足折り固めと呼ばれ、ザックがとりわけ頻繁に使用している技の一つである。

主にスタンディングの相手に対し、相手の股下を通して両手を掴み、その腕を引くことによって相手をマットに寝かせる。そして両手首のクラッチを離さず、相手が起きあがろうと下半身を持ち上げた瞬間にすかさずブリッジで浴びせるように自分の体を被せ、エビに固めてピンフォールを奪う。

本当に一瞬で固めてしまえる上に、相手の両腕を握っているため通常のエビ固め以上に返しにくくもなっており、気づけば試合に負けていた選手は数知れず。


ジャパニーズ・レッグロール・クラッチ・ホールド

こちらは日本式回転足折り固め。かのアントニオ猪木も使用していた由緒正しい丸め込み技である。

うつ伏せに倒れた相手の両脇に自分の両足を差し込み、そこから反転することによって自身はプッシュアップをするような体勢になり、相手を強引に仰向けにする。そのまま脇に差し込んだ両足を抜かずに後方へブリッジすることによって、相手に覆い被さりつつエビ固めに丸めてしまう技。

ザック以外にも使い手は多数いるのだが、ザックの凄まじいところはレスラーブリッジ(レスラーが首を鍛えるために行う、両腕を抜いて首だけで支えるブリッジ)でこの技をかけられ、しかもスリーカウントを取れるというところである。


この他、瞬き厳禁の腕ひしぎ逆十字や強烈に締め上げるスリーパーホールド、突然繰り出される強烈なスープレックスや厳しい蹴り技、そして何よりも、弓矢固めや鎌固め、インディアンデスロックといった古典的なものから複数の技をミックスしたオリジナルまで、到底紹介しきれないほどの数々のサブミッション。このようにザックの戦法は多彩極まりないため、ぜひ一度シングルマッチを見ていただきたい。息を呑むこと受け合い、必見である。


余談

バックステージでは凄まじく多弁。長い日本生活で語学力も培っているため、バイリンガルでコメントすることもままある彼だが、悪口は日本語英語共に特に雄弁である。「発信力プロレス」などと揶揄されることもある近年のプロレス界でも、ここまで舌鋒鋭いレスラーはそういないだろう。

対戦相手への挑発から団体の将来に対する苦言、自分自身の情報や世界情勢への私見など、使う技同様に話題も実に多種多様。スーパーマーケットへのセルフレジ導入に反対意見を述べたり、母国で保守党のボリス・ジョンソンが優勢であることが調子が出ない要因だと語ったりする一方で、同門の仲間たちとエグい冗談を飛ばしあっていたり、日本マットへの強いこだわりを口にしていたりする。試合直後の興奮状態の最中でここまで話せるのがすごい。


いわゆる菜食主義者であり、動物性タンパク質を摂取していない。それ故自身を「ヴィーガン・テッカーズ」「ソイボーイ・テッカーズ」と称している。仲間内での集まりなどでもこれは貫徹している模様。


日本での生活が長いため、あのケニー・オメガほどではないにしろ日本語を流暢に話せる。2023年に同じく日本が長いウィル・オスプレイの持つUKヘビー級王座への挑戦表明を行った際には、イギリス人同士のタイトルマッチがほぼ全て日本語の会話によって決まるという前代未聞の光景を作り上げてみせた。


前述のNJPW認定TV選手権は、世界への新日本プロレスの発信という王座の方針に基づき、すべての選手権試合がYOUTUBEで無料配信されている。初代王者の軌跡をぜひ辿ってみよう。


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