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勲章

くんしょう

勲章とは、通常、国に対して傑出した貢献をした者に対して国が与える褒賞制度の一つである。
目次 [非表示]

概要

勲章とは、主に国家元首政府によって功績や業績を残した個人又は団体を表彰するために与える栄典のうち、章飾の授与を伴うものを指す。あるいはその栄誉を示す章飾そのもののこと。


対象や貢献の度合いなどにより様々な種類の勲章が存在するのが一般的で、この他当人の社会的地位を表す一種の身分証として授与されることもある。

他に、外国から来たVIPに対して友好の証として授与する例がある。その場合は当人が授与している最高勲章の一級上を授与するのが礼儀とされる。

また、王室関係者など特別な身分にある者に対して授与する勲章もある。例えば日本の最高位勲章である大勲位菊花章頸飾は外国人の場合原則として君主以外に授与されることが無い。

アメリカ大統領すら、アイゼンハワーただ一人を除いて全て一階級下の大勲位菊花大綬章のみが授与されている。


勲章にはその国の歴史的、文化的背景などが色濃く繁栄され独特の美しさを持つことからそれを収集するマニアも少なくなく、その希少性から高値で取引されることも珍しくない。

だが、勲章は大抵の場合金銭での売買が法律によって禁止されており、本来ならマニア間での売買は慎むべき行為である。しかし、基本的に罰則が存在しないため日本に限らず世界的に勲章の金銭による売買が横行しているのが現状である。

かつて、日本の某デパートで勲章の見本市が催されたときイギリス最高の勲章であるガーター勲章が売買の対象として陳列されていたことが判明し、しかも鑑定の結果本物だったことからガーター勲章がイギリス最高の勲章であることや、ガーター勲章は授与者が亡くなると本国に返還しなければならないこと、ガーター勲章の歴史的経緯やその地位に鑑み事態は外交問題にまで発展した。

そして何故本来返還されねばならないはずのガーター勲章がデパートの見本市に出てくるのか、その出所を巡ってイギリス政府からそのデパートに対して説明を求める騒ぎとなり、更には日本政府をも巻込む一大事件となった。


尚、勲章によっては授与者が亡くなると同時に国に返還せねばならなかったり、一方で授与者の死後も所持することが認められ、遺族が授与者の生前の功績を偲ぶことができる国もある。日本は後者に入る。


今後もこのタグを付けたイラストが増えんことを願わんばかりである。



様式

勲章はその等級によって形状が異なっているが、基本的に様々なモチーフを象った章本体と、それらを人体(服)に着用するための留め具によって構成される。

概ね、装着様式によって以下に分けられる。


頸飾

豪華な装飾の大きな首掛け勲章、国家の最高勲章または特定の勲章グループの最上位に位置づけられることが多い。章本体から首元の距離は大きめに取られ、首飾り部分は両肩内側辺りに乗るほど。そのため、一部の中綬章と併用も容易である。


大綬章

肩掛けの太いリボン状の布帯(サッシュ)に本体が備え付けられたもの。肩から斜め掛けをする。後述する星章と同形態の副章がセットとなることが多く、それらを腹部辺りに装着することが正当なスタイルである。大綬章を複数擁する場合、正章を掛けるのは最上位のもの一つだけで、残りは副章のみを装備する。胸元から腹部にかけて大きな勲章をたくさんつけている偉い軍人や貴族などによく見られるスタイルである。


星章

腹部辺りに装備するもの。日本では旭日章の星章から「重光章」と呼ばれることもある。

小綬章あるいは中綬章に類する副章が加わり、共に装着することが正当なスタイルである。


中綬章

リボン状の布帯による首掛け、概ね頸飾より首元との距離が近く、装飾は簡素である。五輪メダルに近いスタイルだが、章は下腹部辺りまで垂れさがることはまずなく、胸元辺りに留まる。小綬章状の副章がつく場合もある。


小綬章

胸元(大抵は左側)に装備する小さなもの。小柄な綬(布部分)がつくのが正当。たくさんつける場合は数段に分かれたり、重ね掛けする例も多々見られる。上位の勲章の副章としても多用される他、ブラックタイ(タキシード)の場合は小綬章を更に小型化したような「ミニチュアメダル」と呼ばれる縮小模型を着用する。


概ね頸飾>大綬章>星章>中綬章>小綬章のランク付けがあり、更に勲章によって同一の形態ながら細かく等級が分かれることがある。例えば日本の旭日章の場合、上位から大綬章・星章・中綬章・小綬章・小綬章・小綬章の形態である。


この他に綬の存在しないバッジタイプの勲章があるが、これらは場合によっては勲章に含まないことがある。



日本の勲章

概要

日本では現在6種22個の勲章が運用されている。日本で運用される「勲章」はこの22タイプのもののみであり、また全てがオーダー(騎士団)勲章である。

では日本においてメダル勲章が一切無いのかというと些か様相が異なり、他に「褒章」と呼ばれる6種の栄典が別個存在している。


日本の勲章は主として永年の功績に応じて授与されることが多く、殆どの場合初授が70代になってからと極めて遅い(一部危険業務に従事する公務員、つまり警察官自衛官などは55歳から授与)。これは戦後になってからが顕著であり、殆どの人は一生に一度貰えればいいほどで、外国人を除けば若い内に勲章を授かるのは皇族だけである。

対する褒章もかつては50歳以上を中心に運用されており、現在でも多くの場合はこの傾向が強いものの、紺綬褒章など公共団体への寄付を元にその寄付日付けで授与されるものの他、人命救助により授与される紅綬褒章やオリンピックや世界大会での優勝時に紫綬褒章が授与されるなど、必ずしもその限りではない(褒章授与の最少年齢はなんと13歳である)。

これは褒章本来の「飛びぬけた功績に対して授与する」という方針が、2002年の栄典制度改正後より運用にあたって意識したことも背景にある。これにより、勲章以上に褒章の存在が日本国民にとってもポピュラーになりつつある。


なお、こうした状況に勲章がなったのは、戦後20年近く生存者への勲章授与が途絶えたことも背景にある。加えて、主たる叙勲対象であった軍が一度解体されたことも理由にある。民間人への授与は諸外国でも積極的になったのは近年の話であるが、日本は特にその傾向が遅く、また行われても高齢になってから、というのが定着していることも一つ。

現在の自衛隊においては、自衛官が諸外国の叙勲された将校に見劣りしないように、勲章に代えて防衛省発行の栄章の一つである防衛功労章・防衛記念章を授けることで均衡を図っている。この他、国の団体が発行する栄章は警察消防などに存在する。これらの多くはバッジ形式で諸外国の勲章のように綬(勲章本体のメダル部分に対し、リボン状の布部分)がつかなかったが、防衛功労章・防衛記念章の部隊功績貢献章においては綬を付与し改善されている。


日本における勲章・褒章・栄章やその他のものを合わせ概ね徽章(記章)と呼ぶが、一般にはまとめて勲章と呼ぶことが殆どである。特に勲章・褒章においてはその褫奪(取り上げ)の取り決めは後述するように「勲章褫奪令」によって運用されるなど、栄典の代表格としては勲章の名が使われることが多い。


日本の勲章に対する評価は非常に高く、日本の勲章は勲章というより芸術品とも言われ、そのデザインの美しさは世界でも一二を争う。

尚、授与者以外の者が勲章を身に着けて正式な場に出ることは世界共通で禁止されている。また、制度廃止により着用禁止となった勲章も存在する(例:金鵄勲章-現在は佩用禁止は解除)。


以下に日本で授与される勲章・褒章・栄章その他徽章を記す。


勲章(全てオーダー(騎士団)勲章)

  • 菊花章 - 大勲位菊花章頸飾・大勲位菊花大綬章・大勲位菊花章(※運用実績無し、後に廃止)
  • 桐花章 - 桐花大綬章(※旧勲一等旭日桐花大綬章)
  • 旭日章 - 旭日大綬章・旭日重光章・旭日中綬章・旭日小綬章・旭日双光章・旭日単光章(以上、旧勲一等~勲六等)、勲七等青色桐葉章・勲八等白色桐葉章(勲七・八等は廃止)
  • 宝冠章 - 宝冠大綬章・宝冠牡丹章・宝冠白蝶章・宝冠藤花章・宝冠杏葉章・宝冠波光章(旧勲一等~勲六等、勲七等、勲八等は廃止)
  • 瑞宝章 - 瑞宝大綬章・瑞宝重光章・瑞宝中綬章・瑞宝小綬章・瑞宝双光章・瑞宝単光章(旧勲一等~勲六等、勲七等、勲八等は廃止)
  • 金鵄勲章 - 功一級~功七級(廃止)
  • 文化勲章

褒章(全てメダル勲章)

紅綬褒章・緑綬褒章・黄綬褒章・紫綬褒章・藍綬褒章・紺綬褒章


栄章・徽章(政府発行では無いものを含む、概ねデコレーションかメダル勲章、またはバッジ)

防衛功労章・防衛記念章の一部は他国との兼ね合いから綬のついたメダル化に改善したが、他の団体では現在もバッジ形式の授与が続いている。

  • 防衛功労章 - 特別防衛功労章・第1級防衛功労章・第2級防衛功労章・第3級防衛功労章・第4級防衛功労章・第5級防衛功労章
  • 防衛記念章 - 部隊功績貢献章(メダル授与)、他(略綬様式の徽章)
  • 海上保安庁の各栄章 - 海上保安勲功章・海上保安功績章・海上保安発明考案章 - バッジタイプ
  • 警察の各栄章 - 警察勲功章、警察功労章、警察功績章、警察協力章 - 同上
  • 消防の各栄章 - 消防庁長官表彰功労章・消防庁長官表彰特別功労章・消防庁長官表彰顕功章・消防庁長官表彰功績章・消防庁長官表彰永年勤続功労章・消防庁長官表彰国際協力功労章 - 同上
  • ベスト消費者サポーター章 - 中綬に近いがどちらかというと五輪メダルのような形状である

  • 日本赤十字社 - 金色有功章・銀色有功章・特別社員章
  • 日本水難救済会 - 名誉総裁章・名誉有功章・特別有功章・救助特別功労章・救助功労章・救助出動回数功労章・勤続功労章・金色名誉有功章・銀色名誉有功章
  • 大日本農会 - 紫白綬有功章・紅白綬有功章・緑白綬有功章

など


勲章褫奪令

日本における勲章の類は、明治41年に発された勅令勲章褫奪令」によって褫奪(官位等において剥奪に同義)の対象となる。同令第六条では勲章と共に褒章・記章や外国勲章においても同様の扱いを準用するとしている。

勅令自体はその有用性を失効していると見做される場合が多いが、本令のように代替法案の存在しない令においてはその運用が慣例的に継続されている。


勲章褫奪令における褫奪等の基準は以下の通り。

  • 死刑懲役刑や3年以上の禁錮に処せられたものは情状に拠らず直ちに勲章を褫奪される。
  • 3年未満の禁錮、執行猶予、また会社等による懲戒免職や「帯勲者たる面目を汚したる者(即ち犯罪と認められなくても社会的に問題のあるような場合)」は情状に拠って勲章を褫奪することが出来るとする。
    • 上記のうち、3年未満の禁錮や執行猶予、懲戒免職においては勲章が褫奪されるか否かの沙汰が下るまでの間勲章を公の場で装着出来ない。
  • 逮捕拘禁されたり、労役場等(保護室も含む?)に留置、また執行猶予や仮釈放が成された場合はその期間が終了するまでの間勲章を公の場で装着出来ない。

直近の例では、2014年に準強姦事件を起こして実刑判決を受けた元柔道選手が紫綬褒章を、2021年には自動車運転過失致死傷を起こして実刑判決を受けた元通商産業省技官が瑞宝重光章をそれぞれ褫奪されている。


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メダルオブオナー

マース勲章 シリウス勲章

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