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戦闘妖精・雪風

せんとうようせいゆきかぜ

神林長平による長編SF小説、あるいはそれを原作とした漫画・アニメ・ゲーム作品。
目次 [非表示]

概要編集

地球に突如として襲来した謎の異星体「ジャム」。人類はジャムとの交戦の末、南極に据えられた超空間通路の向こう側へと前線を押し返す。通路の向こうにあったのは、二つの太陽が輝く謎の惑星。ジャムの地球侵攻を食い止めるべく、フェアリィと名付けられた異星に設置されたフェアリィ空軍(FAF)には、やがてひとつの部隊が生まれた。

戦術戦闘航空団 特殊戦第五飛行戦隊――通称・ブーメラン戦隊。大型戦闘機スーパーシルフの武装のすべてを自機の防衛にのみ使い、友軍を支援することもなく、ジャムとの戦闘記録を確実に持ち帰ることを至上命令とする部隊である。

その任務を非情とも思わない機械のように冷徹な、特殊戦パイロットの一人、深井零中尉と、彼がこの世で唯一信じる愛機、超高性能コンピュータを搭載した戦術戦闘電子偵察機「雪風」を中心に、人間性・機械知性を正体不明の異星体ジャムに投影するかのような形で描き出す、空戦SFエンターテイメント小説。


作品編集

小説編集

第1巻 『戦闘妖精・雪風』(文庫)/『戦闘妖精・雪風〈改〉』(文庫)/『戦闘妖精・雪風〈改〉 愛蔵版』(単行本)

※無印と改でタイトルと一部設定が変更されているがストーリーは同一。愛蔵版にはインタビューと番外編2作も収録

第2巻 『グッドラック 戦闘妖精・雪風』(単行本・文庫)

第3巻 『アンブロークン アロー 戦闘妖精・雪風』(単行本・文庫)

第4巻 『アグレッサーズ 戦闘妖精・雪風』(単行本)


番外編1『ぼくの、マシン』(『 戦闘妖精・雪風〈改〉 愛蔵版』および『いま集合的無意識を、』に収録。第2巻の時系列)

番外編2『被書空間』(『敵は海賊・短編版』に収録。同作者の敵は海賊シリーズとのコラボ作品)

番外編3『棘を抜く者 エピソード零』(『 戦闘妖精・雪風〈改〉 愛蔵版』に収録。第1巻より前の時系列)


S-Fマガジン2022年4月号より第5部連載中。


アニメ(OVA)編集

アニメーション(OVA)は全5巻がGONZOにより製作されている。タイトルはナカグロ(・)を省略した『戦闘妖精雪風』。FAFとジャムの戦いという大筋はそのままに、ビジュアル面を中心として各所にアレンジが加えられている。

発売から20年が経った2022年11月1日よりdアニメストアやプライムビデオなどで見放題配信が開始された。

『 戦闘妖精雪風 』公式HP


ゲーム編集

OVAを題材に、フライトシミュレーションゲーム『戦闘妖精雪風 ~妖精の舞う空~』が、アクアシステムからXBOX版が、システムソフトからWindows版がそれぞれ発売された。


登場人物編集

深井零(中尉→大尉)

排他的で他者に無関心な主人公。何かしらの犯罪行為をはたらいてフェアリィ送りになった、特殊戦3番機・スーパーシルフ「雪風」のパイロット。主役のくせに謎の多い日本出身の青年。

雪風に尋常ならざる愛着・執着を抱き、この世で信じられるのは雪風だけらしい。一度は雪風に捨てられたが、関係を再構築していく中で前人未到の領域へ足を踏み入れる。


ジェイムズ・ブッカー(少佐)

愛称はジャックイギリス出身の特殊戦指揮官で、元戦闘機乗り。零の唯一の友人にして、「雪風」の名付け親。やたらと日本通で、OVAでは雪風の機首に見事な達筆ペイントを施している。無神論者で、ジャムと空軍の機械達の戦いに深い考察を見せる。ブーメラン作りが趣味。

もう一人の主人公ともいえるキャラクター。


リディア・クーリィ(准将)

特殊戦の副指令だが、実質的な司令官。一部隊だった特殊戦を一個の軍団レベルにまで育てた辣腕の持ち主。零の反抗的ともいえる態度は悩みの種。零やジャックからは「しわしわ婆さん」 「スーパー婆さん」と呼ばれている。


リン・ジャクスン

地球に暮らすジャーナリスト。幼少期にジャムの地球侵攻を目の当たりにしており、作中で幾度も言及のある書物『ジ・インベーダー』を著した人物。ともすればジャムの危機を忘れかけている地球側において、その脅威について警鐘を鳴らし続けている。

零のような特殊戦パイロットたちのあまりに機械的なパーソナリティに危惧を覚えると同時に、零やジャックの良き理解者でもある。


雪風

ブーメラン戦隊の3番機。零の愛機にして片想いの相手でもある。雪風というパーソナルネームは当時少尉だった深井零により命名。大日本帝国海軍の、陽炎型駆逐艦の8番艦と同名なのは偶然の一致。位置とサイズは違うものの、機体に書かれた「雪風」は、小説アニメ共にブッカー少佐の筆によるもの。

実体は機体そのものではなく、搭載されている戦闘コンピュータープログラムの方。

生物でいうところの生存本能(自己保存本能)が非常に強く、自身を守るために必要と判断すれば搭乗員の安全さえ度外視する。劇中でも大破した機体と共に消滅する事を避けるため、データリンクした試験機・メイヴに自身のプログラムを丸ごとコピーして乗っ取り、零と元の機体を捨てた事や、相手側に自分や零を無傷で確保したいという欲がある事を見抜いた際には自身と零に向けてミサイルを放った(自身と零を相手に対する人質として扱った)事がある。

オートマニューバ(自動制御)モードで、しょっちゅう零や他の人間の思惑を超える「行動」を取る。


異星体「ジャム」編集

ジャムは機械生命体(コンピュータ知性)と推測されるが、人類の前に出現する個体がジャムそのものであるか、それともジャムが操っている末端であるかすら不明。

数少ない対話においても、人類の精神構造との著しい乖離によって意思疎通はほとんど成立せず、コミュニケーション不全状態であることから事態の解決の糸口すら見いだせてはいない。


近年にはジャムがコピー人間を造り上げ、人類に接触を図っている事から、初めて「人類が真の敵である」と認識された可能性が指摘されていると同時に、それまでは人類の創りだした人工知能機械群に対してのみ行動していた旨が示唆されている。

ジャム個体は視認識別が困難な姿をしているが、その戦力レベルは人類が投入する兵器と歩調を合わせており、それらの行為そのものがジャムなりのコミュニケーションであるとすら疑われている。


現在の所、目的・存在の詳細は不明。

OVA版などでは惑星フェアリィそのものを一変させてしまう力を見せつけた事から、神に近い超常的な存在として描かれている。


登場メカニック編集

実在するステルス戦闘機を発展させた形状と思われるが、OVAのメカニカルデザインがだいぶはっちゃけているため、OVAから小説に手を出す層はイメージの修正に苦労するかもしれない。

OVA版 戦闘妖精雪風 機体解説


スーパーシルフ(FFR-31MR/D SUPER SYLPH)

雪風

超高性能コンピュータと大推力エンジンを搭載した戦闘戦術偵察機

優れた機体性能はすべて自己保存のために使われ、友軍機を援護することはない。

OVA版のMR/D型は通常のMR型とは外見が大きく異なり、MR型が機体後部のエンジン間にブレードアンテナの通るスペースがあるのに対し、 MR/D型ではそのスペースがなく、TARPSポッドのブレードアンテナが下方のみへと展開するようになっている。


シルフィード(FFR-31 SYLPHIDE)

スーパーシルフのベースとなった双発の大型一撃離脱戦闘機

フェアリィ空軍の誇る主力の新鋭機。スーパーシルフに対して「ノーマルシルフ」と呼ばれる。


ファーン(FA-1 FERN)

小型の格闘戦闘機。旧式化している。


バンシー

BANSHEE

超大型の空中空母。全長687m、全幅1,400m、自重9,650tという移動空中基地といった様相の、超々巨大機である。

バンシーⅠは原子力エンジンと機体の飛行性能テスト機。バンシーⅡは着艦訓練用の地上設置モデル。それらを経て開発されたバンシーⅢとバンシーⅣの2機が、通路の周囲を旋回しながら防空網を構成している。

OVAではエンジンつきの外殻を気球で吊り上げた後に滑空させ、空中で儀装を行うという特異な工法で完成されている。地表へのランディングは考慮されておらず、半永久にフェアリイ星防衛圏外縁を一定の軌道で飛び続ける。


メイヴ(FRX-00 MAEVE)

妖精の舞う空

自機の危険を察知した雪風がプログラムを転送し、大破したシルフ雪風に代わる新たなハードウェアとした機体。いわば2代目・雪風である。無人機・レイフと並行して開発された戦術偵察機で、高度な自動操縦もお手の物。特殊戦で運用される最初のメイヴであるため、1番機(B-501)として運用される。パイロットは引き続き深井零。

OVAでは特異な機体形状も然ることながら、持ち前の性能とやんちゃなパイロットの性格を遺憾なく発揮した単機航空ショーも見所のひとつ。また、こちらでは並行開発ではなく、雪風が転送されたレイフを有人仕様に改造したものとなっている。エアブレーキなどを兼ねた回転軸と折り畳み軸を持つ前進翼を持つが、高速飛行モードでは主翼の一部を反転させることで後退翼となる。

OVAでは1番機ではなく3番機(B-503)のままであり、当初の形式番号はFRX-00であったが、第4巻にてリンに「FFR-41MR」と呼ばれており、キャンピー部にも同じ番号が記されている。


レイフ(FRX-99 RAFE)

メイヴのベースとなった無人戦術偵察機。搭乗員の安全を確保する必要がないため、機体性能を極限まで発揮することで機動性が飛躍的に上昇した。


フリップナイト・システム

レーザーガンを搭載した格闘戦タイプの無人機を、母機からコントロールするシステム。完全自律制御でも高い判断能力を持ち、複数機を同時に制御することが可能。

OVAではレイフの機首部に核弾頭を搭載した「ハンマーヘッド」と呼ばれる機体がフリップナイトと呼ばれており、他の無人化した機は呼ばれていない。


関連イベント編集

【企画】SFマガジン×pixivイラストコンテスト


ファンアート編集

遊びをせんとや雪風世界

ブラッディーロード小説版 スーパーシルフ


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