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陽炎型駆逐艦

かげろうがたくちくかん

第二次世界大戦で活躍した大日本帝国海軍の艦隊型駆逐艦群のひとつ。
目次 [非表示]

艦隊これくしょん』のキャラクター群については→「陽炎型」。

アズールレーン』のキャラクター群については→「陽炎型(アズールレーン)」。


概要編集

朝潮型駆逐艦の後継艦として大日本帝国海軍が建造、量産した駆逐艦である。

本型は朝潮型の船体を基本としているが、第四艦隊事件の教訓から船体強度と軽量化を考慮した設計が施されている。船体構造の改良で復原性能・凌波性能・船体強度に関して申し分のない艦型に仕上がっており、武装面でも予備魚雷の被弾時の誘爆を防ぐため分散化などの改良を施し、機動力でも海軍設計陣の要求をある程度満たしている事から本型は艦隊型駆逐艦の集大成といえる代物に仕上がっていた。


電源は試験的に交流電源が用いられていた朝潮型とは異なり、白露型駆逐艦までと同じ直流電源に戻されたが、最終19番艦の『秋雲』の進水とほぼ同時期に建造がはじめられた次級の夕雲型駆逐艦が交流電源を本格的に採用したこともあり、この陽炎型が、旧海軍の戦闘艦全体を通して直流電源が用いられた最後の艦級になっている。


戦歴編集

艦隊型駆逐艦の集大成として建造された陽炎型駆逐艦は、乗員の練度とあわせ、当時最高レベルの高性能艦であったことは間違いない。しかし、実戦においては、その実力を十分に発揮できたとはいえない。


第二次世界大戦における駆逐艦の役割は艦隊決戦ではなく、哨戒・護衛・輸送が主なものだった。このため駆逐艦は対空戦闘に活用できる両用砲を主砲にし、多数の爆雷を搭載し、対空レーダーや対潜音響兵器を重点的に装備する必要があった。


開戦後、本型も建造意図になかった空母機動艦隊や輸送船団の護衛従事する事となったのだが、艦隊決戦を目的に建造された本型の対空・対潜能力が優れているとはいえなかった。


航空機や潜水艦の攻撃で損耗する駆逐艦の損耗率は非常に高く、建造された同型艦19隻のうち終戦まで生き残ったのは『雪風』ただ1隻のみで、その他は全て戦没している。


日本海軍の他の艦にも言えることだが、駆逐艦としては高価で強力な艦として建造された陽炎型駆逐艦は、本来の想定とは異なる使い方をされ、悪化する戦況のなかで(雪風を除き)それぞれに悲劇的な最期を迎えたのである。


同型艦編集

陽炎型駆逐艦『陽炎』以下、建造された同型艦は19隻である。

また、マル3計画では第32号艦、第33号艦、第34号艦の三隻が計画されていたが、これは大和型戦艦2隻(大和、武蔵)の建造予算調達の為にダミーとして計上された物で実際に建造される予定は無かった。


陽炎(かげろう/かげろふ)

不知火(しらぬい/しらぬひ)

黒潮(くろしお/くろしほ)

雪風(ゆきかぜ)

初風(はつかぜ)

親潮(おやしお/おやしほ)

夏潮(なつしお/なつしほ)

早潮(はやしお/はやしほ)

天津風(あまつかぜ)

磯風(いそかぜ)

時津風(ときつかぜ)

浦風(うらかぜ)

浜風(はまかぜ)

(あらし)

萩風(はぎかぜ)

谷風(たにかぜ)

野分(のわき)

舞風(まいかぜ/まひかぜ)

秋雲(あきぐも)


上記の内、生き残ったのは先述したとおりに『雪風』のみであった。『雪風』は終戦後は復員輸送に従事していたが、1947年7月6日に賠償艦として中華民国海軍へ引き渡され駆逐艦『丹陽』(DD-102)として中華民国海軍の艦隊旗艦を務めた後に、1966年に退役して練習艦となる。日本への返還も予定されていたが、1971年までに台風による損傷により断念、その後解体された。


性能【新造時】編集

[pixivimage:38061603-1]

全長118m
全幅10.8m
排水量2000t
最大速度35kt
巡航速度18kt
航続距離5000海里
装甲--mm
武装12.7cm×50口径連装砲×3 25mm連装機銃×2 61cm四連装魚雷発射基×2 爆雷36発

艦名が海上自衛隊に受け継がれた艦編集

また上記のうち、後継組織でもある海上自衛隊の護衛艦あるいは潜水艦の艦名に受け継がれた名称は以下の通りである(太字が2023年4月1日時点で現役。その他は過去に在籍していた艦);

・不知火→3代目:「あさひ」(Ⅲ)型護衛艦「しらぬい

・黒潮→2代目:「くろしお」型潜水艦(同型艦なし。前身は米国海軍潜水艦ミンゴ)、3代目:「うずしお」型潜水艦「くろしお」、4代目:新「おやしお」型潜水艦「くろしお」

・親潮→2代目:旧「おやしお」型潜水艦(同型艦なし)、3代目:新「おやしお」型潜水艦「おやしお

・雪風→「はるかぜ」型護衛艦「ゆきかぜ」

・天津風→「あまつかぜ」型ミサイル護衛艦(同型艦なし)

・秋雲→「やまぐも」型護衛艦「あきぐも」

  • 「ゆきかぜ」の艦番号は偶然にも、先代が中華民国海軍でつけていたDD-102で、現在は「むらさめ」型護衛艦(Ⅲ)の4代目「はるさめ」が使用している。
  • また、夏潮、早潮の艦名も「なつしお」「はやしお」の艦名で潜水艦に用いられたことがある。

関連項目編集

夕雲型駆逐艦:本級の改良型。同じく19隻が建造された。

ハイスクール・フリート(主人公・岬明乃が艦長として乗り組む「晴風」はこれをたたき台としている)

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