解説
軍隊に詳しくない人に一言でいうなら「将軍」のこと。
「将官」とは、近代軍隊の士官（将校）の階級区分の一つである。
「佐官」の上で、この上には元帥があるのみとなる。
階級の区分の仕方は、国、軍の種類や時代によって異なるが主に大将、中将、少将、准将からなり、准将を置かない軍隊では、大将の上に上級大将を置く事もあるが、これは准将を置く軍隊の大将と同格に相当すると見做される。
また「代将」という階級も存在するが、こちらは大佐を臨時に将官として扱うための称号となり、厳密には「佐官」扱いとなる。
あるいは上級中将、二等中将、一等中将など、あげればキリがない。
（海軍では提督という敬称があるが、これは大佐からであり将官でなくとも提督と呼ばれる。）
自衛隊では、将、将補の二つがあり、それぞれ中将と少将に相当する。
大将に当たるのは、各自衛隊の幕僚長と統合幕僚長で、この階級にある将たちは、階級は同じでも４つ桜の階級章を着けることができる。
役職と階級
軍隊に詳しくない人には、判然としないが軍隊には役職と階級という二通りのシステムが存在する。
まず階級は、その名の通り、身分を示す等級。次に役職は、部長とか課長のように任されている部署を表している。普通の会社などでは、これらは一つになってるが軍隊では別けて扱われている。
このために軍隊では階級は、絶対といわれる訳である。また同じ階級の場合、先任（先に昇進した方）だとか指揮官と参謀なら指揮官が偉いという取り決めがあったりする。
何のためにこれを解説したのかというと、前述した「上級大将は、大将に相当する」というのは、これらの階級が就ける役職、権限など、そして肩の線と星の数が同じであるという点から来ている。
それをわざわざ上級大将と書くのは、現地の言葉を日本語に訳した場合、そうなるというだけのことである。
将軍のランク
自衛隊の場合、最高位の将は中将に相当し、大将に相当する階級がない。
何故、一番偉い階級である将軍がこれだけ分かれているのか。これは、軍隊の制度が発達する歴史の中で将軍の中にも等級が着けられたことに理由がある。
将軍は、軍隊で一番、偉い人を指す言葉である。
しかし一つの国に幾つもの場所に軍団が置かれ、役割の違う陸軍、海軍などが作られ、それらを総合的に運用・管理するシステムを作る必要が迫って来た。
そこで役職にはどちらが偉いかという性質がない、誰が一番偉いのかを明確にするために階級がある。
そのため将軍の中で誰の意見を最優先するべきか普段からハッキリさせるには、将軍の中にも上下の階級を着けた方が良いという考えから長い歴史の中で軍隊の最高位だった将軍に上下のランクが作られて行った。
もともと一つの軍隊を掌握する長官が将軍だったが、時代が進むと軍隊は、どんどん人数が増えていき、それをまとめる役職も増やさなければならなくなった。このため将軍に将軍補佐（ルテナント・ジェネラル＝中将）や副提督（ヴァイス・アドミラル）が着き、さらに大将軍（フル・ジェネラル＝大将）、主要な将軍（メイジャー・ジェネラル＝少将 准将に対して、より上の将軍という意味）など将軍の中にも上下が作られていった。
こうして将官・佐官・尉官・下士官・兵という階級、師団長から分隊長などの役職という二通りのシステムが別に作られ、現代の軍隊の基本的な制度になっていった。
これが最終的にアメリカ合衆国の場合、大元帥・元帥・大将・中将・少将・准将の６段階豪華盛り合わせになってしまった。しかし第２次世界大戦以降、世界の戦争の様相が代わり、最高位も大将ぐらいで間に合う様になっていった。
同じように自衛隊は、規模や運用の違いから中将と少将に相当する階級しかなく、またそれでも十分に機能する。またフランス軍には階級としては将軍しかなく、大将や元帥は将軍に与えられる称号ということになる。
初代大統領ジョージ・ワシントン
アメリカ合衆国の階級の変遷は、初代大統領ワシントンと共にあった。
ワシントンが生きていた時代、将軍（将官）は中将が最高位だったため、長くアメリカ軍の最高位は少将だったが上記の通り、組織が複雑化するに連れ、「うちも将軍がもっと欲しい！」となってきた。
だが初代大統領の階級を上回ることは、畏れ多いという事になって戦時のみ大将が設置されたり、中将がなくなったりを繰り返した。最終的な解決策として死んだワシントンを昇進させることが決まり、ワシントンは最高位の合衆国陸軍大元帥にまで昇進した。
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