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概要

黒澤 明(1910年3月23日 - 1998年9月6日)は、日本映画監督

ダイナミックかつ芸術性の高い映像表現とヒューマニズムに徹した作風を評価され、日本人監督ながらアカデミー賞を3度獲得し、世界三大映画祭も制覇。小津安二郎溝口健二成瀬巳喜男らと並んで世界的にその名前が知られた日本映画の巨匠の一人である。日本では「世界のクロサワ」と呼ばれた。


娯楽性と文学性の高さを両立させた稀有な監督として知られ、その作風は洋の東西を問わず後続の映画人達にも多大な影響を与えた。

演出手法だけでも、パクられ…もといオマージュ模倣された例は今となっては数知れず、スティーブン・スピルバーグジョージ・ルーカスフランシス・フォード・コッポラといった海外の巨匠達もその影響を公言している他、ハリウッドリメイクされた作品も多数存在する。


経歴

少年時代には洋画家を志望し、洋画家・岡本唐貴(白土三平の実父)に絵を習う。

その後映画監督志望に転向してP.C.L.映画製作所(後に東宝と合併)に入社し、1943年の『姿三四郎』でデビュー。

以降、ヒット作を次々と飛ばし、『羅生門』を期に世界で名が知られるようになる。


主演俳優として三船敏郎を起用していた時代が黒澤映画の最盛期と言われる。彼とのタッグは1948年の『酔いどれ天使』を皮切りに、『七人の侍』『用心棒』、前述の『羅生門』といくつもの傑作を世に送り出した。

“黒澤映画”の高評価とは、黒澤の天才的手腕と、三船の存在感・演技力がセットになったものであると言っても良いかもしれない。

これらの作品は大ヒット続きで、国内のみならず世界的に高い評価を得た。


しかし、異常な完ぺき主義による予算超過が嫌われ、映画会社からは徐々に敬遠されるようになっていった。

1965年の『赤ひげ』を最後に三船も使わなくなり、2人の関係は様々に取り沙汰された。

このあたりが、黒澤の全盛期が終わりを迎えた時期と言われる。これ以降の作品は、黒澤のフィルモグラフィーの中では比較的低い評価のものばかりとなる。


ただしそれでも、1975年の『デルス・ウザーラ』ではアカデミー賞外国語映画賞、1985年の『乱』では全米映画批評家協会最優秀作品賞を射止め、1980年の『影武者』では当時の日本映画の興行収入記録を塗り替えるなど、三船を起用しなくなった後も賞レース・興行の両面で成功を収め続けた。


1993年の『まあだだよ』を遺作として、1998年に没した。

晩年はマクドネル・ダグラス(MD-90)のデザイン担当、松下電器(現:Panasonic)のCMに出演するなど様々な活動をしていた。

没後国民栄誉賞を受けた。


人物

身長183cmという、明治生まれとしては珍しい堂々たる長身であった。


映画のこととなると、一切の妥協を許さない完璧主義で知られる。

巨大なロケセットを丸ごと作ったり、映像に全く映らない小物類まで細部に拘って作り込んで用意させるなんていうのは序の口で、映画撮影時に撮影の邪魔になるからと民家を立ち退かせようとしたエピソードや、『蜘蛛巣城』の撮影で主役を演じる三船めがけて本物の弓矢を射掛けさせて三船を激怒させたというエピソードは有名である。

おかげで黒澤映画はしばしばとんでもない額の予算がかかっており、大ヒットしたからこそよかったものの、そうでなければ制作元・配給元が一気に傾きかねない、非常にリスキーな製作体制が少なくなかった。


食通・健啖家で知られ、料理をとりわけ好んだ。殊にコーヒーにはこだわりをもち、自宅ではわざわざ海外から取り寄せた豆でブレンドした特注品を淹れていたという。

一方こうした食事の費用は高くついた。黒澤家の食卓での代表料理は牛肉料理だったのだが、牛肉代だけで1カ月に100万円以上が費やされたことがあり、税務署に疑われたこともあったという。


現在も血縁者が東京で和食料理店「黒澤」を経営しており、水炊きやしゃぶしゃぶ蕎麦など氏が好んだ料理を堪能することができる。


作品

姿三四郎

一番美しく

續姿三四郎

虎の尾を踏む男達

明日を創る人々

わが青春に悔なし

素晴らしき日曜日

醉いどれ天使

静かなる決闘

野良犬

醜聞

羅生門

白痴

生きる

七人の侍

生きものの記録

蜘蛛巣城

どん底

隠し砦の三悪人

悪い奴ほどよく眠る

用心棒

椿三十郎

天国と地獄

赤ひげ

どですかでん

デルス・ウザーラ

影武者

八月の狂詩曲

まあだだよ:遺作となった。


関連タグ

アカデミー賞 三船敏郎 本多猪四郎

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