概要
六朝時代(3~6世紀)に成立した博物誌『玄中記』によると、姑獲鳥は妊婦が死した後変じたもので、その恨みから人間の子供を攫っては自分の子として育てる。また、干してある子供の衣服を汚して病気にしてしまう。
夜間に空を飛び、子供の声のような鳴き声を持つ怪鳥である。
羽毛を脱ぐと人間の女性の姿になるとされ、この特徴には羽衣伝説との関連が伺える。
羽衣伝説にはゲルマン系の「白鳥処女伝説」とインド系の「天人伝説」があるが、姑獲鳥にはその成り立ちにこの両者の影響が見られる。
『玄中記』では、姑獲鳥に繋がる伝承として以下のような記述がある。
- ある男が数人の娘が田で休んでいるのを見て、その正体を鳥と知らず、1羽の羽毛を奪って妻とした。3人の娘も得たが、妻は娘たちに羽毛のありかを父から聞きだすよう命じ、首尾よく探し出すといずこかへと飛び去った。その後娘たちも、母鳥が持ってきた羽毛を身につけて去ってしまったという。この妖怪は鬼車(きしゃ)と呼ばれている。
また、中国戦国時代の楚地方に伝わる詩を集めた書物『楚辞(そじ)』の一つには、人の子供を攫ってわが子とする「女岐(じょき)」という天人の話がある。中国の姑獲鳥は、こうしたいくつかの伝承が入り混じって生まれた妖怪だと考えられている。
日本の姑獲鳥は、この中国の伝承が仏教僧などによって持ち込まれたもので、やがて産女と結びついて変化していった。
茨城県に伝わる妖怪「ウバメトリ」がその例で、姿・鳴き声ともにカモメに似た鳥で、地上に降りて赤子を連れた女性に化け、人に遭うと「子供を負ってくれ」と頼み、逃げる者は祟りによって悪寒と高熱に侵され、死に至ることもあるという。
関連タグ
フィクションでの扱い
ウルトラマンダイナの姑獲鳥(コカクチョウ)
第19話「夢幻の鳥」に登場。詳しくはこちらを参照。
ゲゲゲの鬼太郎の姑獲鳥
上記の概要のとおりの妖怪だが、子供を赤ちゃんに変えたり、3期ではおねしょをした子供を自分の子として連れ去ってしまうという事件を起こした。水木しげるによって耳のある怪鳥として描かれたが、この姿はバリ島のカエルを食べる神話的な鳥の彫刻がモチーフとなっている。
女神転生の姑獲鳥(コカクチョウ)
初出は『真・女神転生』で種族は”妖鳥”。この頃は人面鳥姿の”凶鳥”フリアイの色違いだった。また『ラストバイブル2』では天使であるラファエルと同じ姿。
独自の姿は『ソウルハッカーズ』からで、鳥に変化途中の美尻姿である。
大神の姑獲鳥
『大神』に登場する唐傘を持つ鳥妖怪。対処法は「疾風」を使い防御時の唐傘を吹き飛ばすことである。
陰陽師(ゲーム)の姑獲鳥
中華人民共和国のソーシャルゲーム『陰陽師(阴阳师)』に登場するSRの式神。赤ん坊が大好きな妖怪。刀の代わりに傘を使って敵を突き刺す。
→姑获鸟
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仮面ライダー響鬼の姑獲鳥
彼岸島の姑獲鳥
ほとんどが力に耐えきれずに破裂して死に至るが、低確率で異形の姿になるが強大な力を得る吸血鬼の混血種(アマルガム)。その中でもさらに強力な「雅の息子」と呼ばれる者の一人である。
身体に孔雀のような羽根と複数の眼を持ち、頭部はオオハシのようで嘴の中にはたくさんの牙が生えている。
幽霊画廊の姑獲鳥
相蘇敬介氏が作成した造形物。
海外で人食い怪物「MOMO」の設定が付けられ都市伝説化(Creepypasta)した。
地獄先生ぬ〜べ〜
「#53子育て幽霊の巻」に登場する「子育て幽霊」は、施設の子供をわざわざ誘拐して子育てをするという、「産女」と「姑獲鳥」を合わせたような性質を持っている。