植物の「キク」
狭義の「菊」はキク科キク属の「キク」という園芸種を指す。非常に多くの品種があり、大輪の「一輪菊」や、多くの小さな花をつける「スプレー菊」など、様々な形態の花を咲かせる。本来は秋に開花するが、初夏に咲く春菊(食用のシュンギクとは別)、盛夏に咲く夏菊、冬に開花する寒菊などの変種もある。
人為的に作り出された品種群であるが、シマカンギク(Chrysanthemum indicum)をはじめとする非常に多数の野生種が交雑した複合体であるため、一定した学名がない(Chrysanthemum × morifolium とかChrysanthemum × grandiflorumなどと表記される)。おびただしい雑種や変種のどこまでを「キク」と捉えるべきかも定説がなく、分類学上はわりと難儀な種である。
他のキク科植物と区別して「イエギク」とされることもあるが、観賞用に栽培されるキク科植物はヤグルマギクやヒナギク(デイジー)やマーガレットなど多岐にわたるので、混乱を招く呼称である。
日本文化における扱い
本種は日本産の野菊から独自に栽培化されたものではなく、中国から伝わったものである(ただし、伝来後に日本産ノジギクなども交配された)。読み方も中国語の読み方(ju2ジュ)を日本語にしたもので、つまりキクは音読みである。
天皇・皇室を表す紋章(十六八重表菊)に由来する日本の(慣習上の)国花として扱われる。パスポートの表紙や50円玉に刻印されている。
日本でも葬儀の際の献花には菊が用いられることが多い。そのため、日本では生きている人(特に病床の入院患者)へ菊の花を贈ることは「死ね」と言っているに等しく、タブーとされている。(あくまでも日本特有のマナーに過ぎない)。
花言葉
「高貴」「高尚」「高潔」「清浄」
「キク」以外の菊
「キク」以外でも、キク科の植物で「○○菊」などとして菊と呼ばれる種類は多い。ヨメナなど野生のキク科植物は「野菊」と総称される。キク科の記事を参照。筒状花と舌状花から成る頭状花序の構造はキク科植物の多くの種に共通しており、「キク」の多様な品種も相まって、写真やイラスト中の花が「キク」であるかその他のキク科植物であるかの判別は困難である。
関連イラスト
『菊』という名前の人物
関連タグ
菊理媛神 / ククリヒメノカミ / ククリヒメノミコト / キクリヒメノミコト
外部リンク
- キク(Wikipedia)