概要
2001年9月11日にアメリカ合衆国で発生した同時多発テロの通称。4機の旅客機がハイジャックの後に自爆テロに用いられたテロ事件で、21世紀前半の国際情勢に大きな影響を与えた。実行犯はウサマ・ビンラディン率いる国際テロ組織「アルカイダ」。
標的となったニューヨークのワールドトレードセンターに2機が激突し全壊。ワシントンD.C.近郊にある国防総省ペンタゴンも1機が激突し、一部が破壊された。残る1機は、標的にたどり着く前に乗客が抵抗したことで墜落している。
アメリカ本土が大規模な攻撃を受けたのは旧日本軍による真珠湾攻撃以来の出来事であり、アメリカ国民のみならず世界中に衝撃を与えた。しかも正規軍相手でなく、少人数のテロ攻撃によって象徴的な建造物複数の倒壊と記録的な死者を出すという、史上未曽有の事態であった。
死者は日本人24名を含めた2977人。25000人以上が負傷した。
※事件の詳細は外部リンクを参照
事件の影響
- 一時的に世界中で航空機に対する不信感が増加し、航空業界が経営面で大打撃を受けることとなる。逆に自動車需要は急増したわけだが、交通量の増加に比例して交通事故の死傷者も増加している。この件は航空機の安全性の証明としてしばしば用いられる。
- 自爆兵器として用いられた場合の航空機の恐るべき威力が明らかとなった事件でもあり、近年の念入りな手荷物検査や堅牢なコックピットのドアなど、数々の安全対策はこの事件をきっかけとするものも多い。
- 世界最大の兵力を持ちながらテロを未然に阻止できなかったことで米国がモットーとしてきた「強い」「大きい」「正義」というものが揺らぐこととなり、冷戦下より続いてきた全面核戦争・総力戦という思想の時代の終焉でもあったといえる。
- 「テロとの戦い」を標榜したアメリカは「アフガニスタン侵攻」や「イラク戦争」といった対テロ戦争を展開した。首謀者とされるビンラディンの殺害には成功するも対テロ戦争が泥沼化したことで中東情勢は不安定化。新興国の台頭も重なり、ソ連崩壊より続いてきたアメリカの一極支配体制が弱まる歴史的転換点ともなった。
- 事件後、ワールドトレードセンターを舞台にする予定だった映画やテロを彷彿とさせるシーンなどが脚本変更や製作中止といった影響を受けた。また、地上波ではテロ以前に制作された物でもワールドトレードセンターが映るシーンを可能な範囲でカットして放送された。現在は時が経ったことで、そのまま放送されることが多い。
- この事件に関してもよくある陰謀論が唱えられているが、科学的に説明できない点も多くあり、提唱者の個人的感情が含まれている場合がほとんどである。また情報源などがはっきりしていない場合があるため、絶対に鵜呑みにしてはいけない。
日本の反応
わずか10日前の9月1日に歌舞伎町ビル火災が発生しており、これが原因不明の未解決事件となっていることに加えて、前日から接近していた台風15号・台風16号や日本初の狂牛病報道で、そちらに尽力している最中であった。
日本は9月11日の22時を僅かに回ったところだった。この頃、22時台はNHK『ニュース10』とテレビ朝日『ニュースステーション』がニュースワイドとして覇を争っていた。そして奇しくも、両者ともニューヨークからの生中継で放送を開始した。
ところが、民放であるニュースステーションはオープニングを終えてCMに入ってしまう。その直後に1機目が突入した。NHKニュース10はその瞬間を全国放送することになった。最初は純粋な事故と思われたが、生中継で状況を伝えている最中に2機目が突入。テロであることが判明し、NHKは全局(総合テレビ、教育テレビ(現Eテレ)、BS1、BS2(現BSプレミアム)、BS-Hi(現在は廃止)、ラジオ第1、ラジオ第2、FM)サイマル放送体勢に突入する。
在京キー局で一番切替が遅かったのはあそこだったのは言うまでもない。
関連動画
関連タグ
・テロ
・ISIL
・タリバン