イラストタグとしては、命蓮寺の外装や内装が背景に描かれた風景絵のほか、
東方星蓮船全てのボスキャラや一部の東方神霊廟のボスキャラが集合したり単独でいる時にたまに付けてあるタグである。早い話がこのタグは、命蓮寺に所属するキャラクター達のグループ名としても機能している。所属メンバー内訳は後述。
※ただし、星蓮船の2面ボスだった多々良小傘は、(墓に来る人は脅かしやすいので)命蓮寺に足しげく通っており、聖白蓮からも門徒として認識されてはいるものの、小傘自身が信者である事を否定しているため、正式なメンバーからは除外される。
概要
住職(?)は聖白蓮。本尊に毘沙門天を祀っている。だが寺にいるのは本物ではなく偶像になった妖怪の寅丸星。
ほか、入門して修業する僧や、在家の僧に居候、ただ遊びに来る者などがいるがそれらは全員妖怪である。何故か古典的な妖怪が多く集まっている。
建立
幻想郷には長い間、人のいる寺院は存在しなかった。それが第124季の春、魔界に封印されていた仏教徒、聖白蓮の復活と共に幻想郷の寺ひいては宗教事情が大きく動くことになる。
魔界から帰還した聖輦船は人間の里近くに着陸し元の穀倉に戻った後、人(ほとんど妖怪やら神様やらだが)の手によって改装。寺へと姿を変えた。名は白蓮の弟である命蓮の名にあやかって「命蓮寺」と名づけられた。白蓮自身は妖怪たちを広く受け入れるために寺を建立したのだが、宝船から姿を変えたとあって縁起がよいと人間からの信仰も集めた。それを見た博麗神社の巫女博麗霊夢は非常に悔しがり、守矢神社の主神の一柱八坂神奈子は警戒してる様である。
また、命蓮寺を建立する際の手伝いを募集するために配られた、恐らく白蓮の手書きと思われるチラシを一部のエンディングで見ることができる。少女らしい字体に、ハートマークや白蓮自身のイラストがあしらわれており、とても可愛らしくお茶目さを感じられる内容となっている。
命蓮寺の現在
こうして出来たばかりの命蓮寺だが、早くも原住民の妖怪たちに向けて様々な接し方をしており、それを受けて寺に通いに来る妖怪が増えている(もっともその理由は、純粋に仏教行事に参加する者、そうではなく聖の力が目当ての者、墓参りの人間が目当ての者など多種多様)。
だからと言って妖怪だけしか受け付けないのではなく、人間の参拝客も多く来るようだ。それは本尊の寅丸星が財宝を集める縁起の良い力を持つため、それにあやかろうとするからである。東方三月精では(魔理沙曰わく)命蓮寺で縁日が行われ、人妖で賑わい出店が出るほどの盛況である事が伺える。
また参拝以外が目的の人間の訪問客も結構いるようで、求聞口授によると、命蓮寺では人間の墓の管理、葬式、住職が弟子や一般人へ仏法を説く事、逆に人間の話を聞く事や、月一の「夜通し読経ライブ」もおこなっている。特に墓に関しては、比較的裕福な人間は妖怪に荒らされることの多かった従来の共同墓地より、より管理の行き届いた命蓮寺の墓地に好んで埋葬してもらうようになったという。
これらのことを考えると、住職の「人妖の平等」という理想はとりあえず命蓮寺の中という限定的な範囲においてではあるが達成できたとも考えられる。博麗・守矢の両神社は後述の立地条件に加え、参道の安全が確立されていないことから参拝者が事実上特定の妖怪寄りに限られてしまっている事とは対照的である。
新たな信者、居候の増加
成立当初のメンバーは白蓮と、そして彼女を慕う妖怪やその仲間の6人だけであった命蓮寺だったが。
東方星蓮船の終了後である東方非想天則で封獣ぬえが入門したと語られている。星蓮船の次作東方神霊廟の2面とエクストラにて命蓮寺の参道が舞台となった際は、2面のボスとして新登場した幽谷響子は既に命蓮寺の一員で、エクストラボスである二ッ岩マミゾウも外の世界から幻想郷にやってきたばかりだったが直後に命蓮寺の居候に加わっている。
東方求聞口授では、古明地こいしの無意識の状態を『空』の境地に近付いているのではと考え、彼女を命蓮寺に誘い、在家の信者とした。そのうえ、たまに寺や墓に遊びに来ていただけの多々良小傘がいつの間にか白蓮によって命蓮寺の一員扱いされていたり。
……という具合に、東方の勢力の中でもただでさえ元から人数が多かったのに、初登場から時間が経ってからもなお続々と所属メンバーを増やしている異例の大勢力となっている。ただ、妖怪で入門希望者だからと言って誰でも受け入れている訳では無い。
土地
人間の里の外れ。
作中に登場する神社仏閣等の宗教施設としては最も里に近く行きやすい。(これも神奈子が命蓮寺を警戒する理由の1つである。)
実は白蓮が寺の建立をこの土地に選んだのには、人集めよりも重要なとある理由があった。それは神霊廟や求聞口授などで明らかになる。
デザイン
外装
元が倉だったり船だったりするが、改装後は普通の寺となった。
門の前には多くの地蔵が置かれ、石畳の参道があり、本堂や鐘などが置かれている。また元からあったのか後で出来たのか、墓場もちゃんと完備されているようだ。
霊夢たちが侵入しても気づかれないあたり、それなりに広いと思われる。
内装
寺に変形してからの内装は未登場。だが元が聖輦船だったため、内装もそう変わらないはず。
星蓮船で確認できる聖輦船の内部(4面ステージ)は、板張りの廊下に襖で部屋を区切った純和風。ただし永遠亭のような煌びやかさはなく、全体的に質素である。
活動内容
修業
白蓮の下で修業をする僧侶は皆妖怪なので、普通の仏道修業とは内容や意味が違っている。
修業する妖怪たちが目指す道は、人々に忘れ去られても消えない存在になること、そして最終的に神や仏などの上位の存在になること。求聞口授によると「六波羅蜜」を行っていることが白蓮によって語られた。その内容なのだろうか、毎日の庭掃除、結跏趺坐などつらい修業をやっていると響子はこぼしている。
真面目に取り組んでいる者もいるようであるが、僧侶妖怪たちの普段の振る舞いは、他者を攻撃し、宴会で酒や獣肉を飲食する……とあまり戒律を守れているように見えない。ところが、それらの戒律破りはどうやら皆住職に隠れておこなっているようで、彼女はそれを把握しきっていない。
本尊の星も酒を呑むようである。白蓮はきっちりと不飲酒戒を厳守している。
法会
白蓮が幻想郷で暮らす普通の妖怪たちに向けて般若心経の読経をおこなった(求聞口授-文々。新聞)。般若心経などの仏の経典は人間の心の魔を追い払う。なので、魔そのものである妖怪にとっては恐怖の念を感じる物であるらしく、夏の肝試しの怪談大会として別の方向でウケていた。
宗派(推定)
作中では語られていないが、命蓮寺の宗派は真言宗またはその中の信貴山真言宗であると目される。(退魔ものでおなじみの「比叡山」・「高野山」の高野山サイド)。
その理由は、
- 聖白蓮とその弟命蓮の元ネタとなる「信貴山縁起」という絵巻が信貴山真言宗の朝護孫子寺に所蔵されていること
- その寺の本尊が毘沙門天であること
- また、その寺に伝わる毘沙門天奉安の起源が「寅の年、寅の日、寅の刻に聖徳太子の前に現れた毘沙門天の伝説」である事から、虎が寺のモチーフになっていること(寺は聖徳太子が自ら建てて毘沙門天を安置し、山に「信貴山」の名を付けたと伝承されている)
- 幽谷響子が特に習わずにその一節を覚える(ぎゃーてー)ほど般若心経が多読されていると考えられること(実際に白蓮が法会で般若心経を読経している)
- 寅丸星の設定モデルとなったと思われる「宝塔を失った兜跋毘沙門天像」も、真言宗の寺院である教王護国寺に所蔵されている(外部リンク)
……など、実在する真言宗の歴史や文化と合致する点が非常に多いからである。
※そもそも千年前=10世紀頃にはもう既に出家・得度していた白蓮の立場からは、若返ったあと以降に成立した浄土宗・浄土真宗や日蓮宗(法華宗)、禅宗などいわゆる「鎌倉仏教」は、新興勢力として当時はしばしば弾圧されていた上に、加持祈祷の類に重きを置かず妖力を集めるのに向いていないことから宗旨替えする理由はないと言える。
経典
しばしば「お経と言えば南無阿弥陀仏」(浄土宗)と言う安直な考えや、お寺の名称が日蓮の名を連想させることから「南無妙法蓮華経」(日蓮宗など)と言った具合に念仏やお題目が唱えられている描写があったり、これらに由来する言葉をメンバーのオリジナルスペルカード名として採用していることが見受けられるが、真言宗ではそれらは通常用いられない。
なので命蓮寺のキャラクターに経を読ませるとしたら、原作にしばしば一節が登場している「般若心経」が無難であろう。それ以外ならば、大師宝号「南無大師遍照金剛」や、光明真言「おんあぼきゃべいろしゃのうまかぼだらまにはんどまじんばらはらばりたやうん」、あるいはその場に合わせた他の真言(マントラ)を使うべきである。
どうでもいい話
神奈川県横浜市港北区には妙蓮寺というお寺があるが、この命蓮寺と妙蓮寺の関連性は全くないので悪しからず······。
別に妙蓮寺行ってもいいけど食べるところ少ないから注意してね(KFC.中華料理屋)。
構成メンバー
- 信仰対象/毘沙門天(代理)
- 住職
- 居候