作品について
マイク・ミニョーラ(Mike Mignola)脚本・作画。
長編は地獄から召喚され人間に育てられた悪魔ヘルボーイがナチの残党やバーバ・ヤガといった敵や、世界を滅ぼすと予言された自らの運命と戦うという内容。世界の説話やホラー作品、パルプフィクションなどに影響を受けたオカルトテイストの作品である。
長編の舞台は出版年=劇中の年代で現実世界と連動して時間が経過していくが、短編集は世界各地の民話を元に長編より過去のエピソードが描かれる事が多い。
Strange Places(人外魔境)より第二部が開始。
コズミックホラー要素が薄れ、ダークファンタジー色が強まって来ることになった。
最初のミニシリーズ『破滅の種子』("Seed of Destruction")は1994年にDark Horse社から発表され、ミニョーラの特徴的な描画スタイルや独特の世界観によって人気を集める。
"B.P.R.D."などのスピンオフを生み出しつつ、ヘルボーイ本編の刊行はスローペースながら現在も続いているが、ミニョーラ自身の役割はカバーアートや原案などに携わるに留まることが多い。
日本でも人気があり、2009年11月現在においてヘルボーイ本編の単行本既刊は全て邦訳されているが、多くが絶版となっている。
アニメーションや小説などのコミック以外のメディアにも展開しており、ギレルモ・デル・トロによって二度映画化されている。原作と映画ではストーリーやキャラクターの設定に違いがある。
pixivにおいては映画版を元にした作品が比較的多い。
ヘルボーイ(キャラクター)
主人公。身長7フィート(213cm)以上、体重500ポンド(227kg)以上。
1944年12月23日に配色濃厚なナチスドイツが形勢逆転を狙って決行した「ラグナロク計画」によって現世へと召喚された魔物。
父は悪魔アゼザル、母はイングランドの魔女サラ・ヒューズ。
計画阻止に派遣されたブルッテンホルム博士に保護され、博士を父親代わりに育てられた(保護されたときは赤ん坊だったが、数年で成人となった)。
1952年に国連より名誉人類に認定され、博士が局長を務める超常現象調査局(B.P.R.D.)に入局。
以来、エース捜査員として、世界各国で超常現象の解明に従事してきたが、2001年に超常現象調査局を辞去。己の運命を見定めるべく独り旅立った。
見た目は、赤い身体、頭の角(折れた角)、巨大な石の右手、足の蹄、尻尾と悪魔そのものであり、口も悪いが、内面は実にナイーブ。
好きなものは、ジョン・スタックベムとトム・ウェイツの小説と、世界中を旅して事件に首を突っ込むこと。
嫌いなものは、ナチとカニバリズム(人食い)。
「ヘルボーイ」という名とは別に「アヌン・ウン・ラーマ」という真の名を持つ。
映画版の設定
映画板では身体プロフィールや性格など、原作と少々設定が異なる。
1944年10月9日生まれ。身長205cm。体重159kg。髪型はチョンマゲ。
コードネームは「レッド」。
性格は原作よりも子供っぽくなっている。皮肉屋で嫉妬深く、おまけに短気で気難しいが、優しい面も併せ持ち、仲間からの信頼は厚い。
世間に存在を認知されておらず、その姿を一般世間に晒すことは捜査局に禁じられており、超常現象調査防衛局の奥深くの閉鎖された部屋で、十数匹の猫と一緒に暮らしている。
戦闘面では、基本的に悪魔とは一人で戦うことを好む。理由は「一人で戦うことがヒーローらしいから」。戦闘時には専用の大型拳銃サマリタンを使うが、自らも認める射撃下手であり、弾は殆ど当たらない。ヘルボーイ最大の武器は、岩石状の物質でできた巨大な右腕である。また、凄まじい怪力と頑丈な身体の持ち主。
同僚である、パイロキネティック(=人体発火能力)を持つエリザベス=シャーマン(通称:リズ)に恋心を抱き、なかなか想いが告げられずにいる。
好きなものは、リズ、ビール、ピザ、ナチョス、筋トレ、高級葉巻、モノクロ映画を見て号泣すること(特に『街の灯』『逢びき』)、魔物退治……などなど。
嫌いなものは、野菜(特にビート)、牡蠣、パラペーニョ、げっぷするエイブ、自分の生まれについて考えること、またそのことについて新たな事実を知ること、額の角を人にじろじろ見られること、外出なしで四ヶ月以上閉じ込められること、“悪魔”呼ばわりされること。
年表(原作)
※一部を除き短編等は省略
西暦 | エピソード名 | できごと |
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紀元前 | Hellboy他 | 観察者によるオグドル・ヤハドの創造、封印。『右手』を崇拝するハイパーボリアの繁栄と崩壊。 |
1850~60年代 | B.P.R.D. | パンヤの復活。"エイブ・サピエン"の誕生。 |
1880年代 | Witchfinderシリーズ | エドワード卿の活躍。 |
1930年代 | Lobster Johnsonシリーズ | ロブスター・ジョンソンの活躍。 |
1944 | hellboy Seed of Destruction | ヘルボーイが召喚される(12月23日)。/B.P.R.D設立 |
1959 | hellboy Corpse | 5月 アリス、グルアガッハの登場。 |
1964 | hellboy The Baba Yaga | 3月 ヘルボーイがバーバ・ヤガの目を撃ち抜く。 |
1974 | B.P.R.D Hollow Earthなど | リズ・シャーマンの保護。 |
1979 | Abe Sapien versus Scienceなど | 3月 エイブ・サピエンの発見と保護。 |
1994 | Hwllboy Seed of Destruction | 5月 ブルッテンホルム教授の死(9日)。ラスプーチン、サデュ・ヘムとの対決 |
1997 | hellboy Wake the Devil | 3月 女神ヘカテとの初遭遇。 |
2001 | Hellboy Conqueror Worm | ヘルボーイが調査局を辞める。 |
2002 | B.P.R.D. Hollow Earth | ヨハン・クラウスがメンバーに加わる。 |
2004 | B.P.R.D. the Dead | ベンジャミン・ダイミョーがメンバーに加わる。 |
2006 | B.P.R.D. The Black Flame | ホムンクルス・ロジャーの死。 |
2009 | hellboy The Wild hunt | 2月 アリスとの再会と恋。 |
2011?~ | B.P.R.D. Hell on Earth~ | エイブ・サピエンの変化の開始。 |
2011 | hellboy the Storm and The Fury | 8月 ニムエ、『ドラゴン』との対決。 |
2012 | hellboy In Hell | 地獄へ。 |
サブキャラクター
名前 | 解説 | 初めて登場した作品 |
B.P.R.D.の関係者
エイブ・サピエン | ヘルボーイとリズの親友の半魚人。繊細で気難しい所がある。フェニックスに撃たれてから体にある変化が起きている。 | 『Hellboy: Seed of Destruction』 |
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エリザベス・シャーマン | 1962年4月15日カンザス生まれのパイロキネティック能力者。1973年7月家族を含めた32人を焼き殺してしまう。調査局に保護された後はヘルボーイ、エイブらと兄弟のように育った。 | 『Hellboy: Seed of Destruction』 |
トレバー・ブルッテンホルム教授 | 超常現象の世界的権威。ヘルボーイにとっては父のような存在。1994年5月カエルの怪物に襲われ… | 『Hellboy: Seed of Destruction』 |
ケイト・コリガン | 1984年より超常現象捜査局の顧問を勤める。1958年にカリフォルニア州オークランドに生まれる。ヘルボーイとの付合いも長く、信頼されている人物の一人。 | 『Hellboy: The Wolves of Saint August』 |
ロジャー | 1996年に発見されリズの力で目覚めたホムンクルス。弱り切ったリズに力を返し眠りに付くが、三年後エイブによって目覚めさせられる。 | 『Hellboy: Wake the Devil』 |
ヨハン・クラウス | 1946年ドイツのシュトゥットガルトに生まれる。幽体離脱中に肉体を失った霊媒。スーツで物理的な形を保っている。飲食、睡眠、呼吸を必要としない(出来ない)。ダイミョーへの復讐を誓っていたが… | 『B.P.R.D.: Hollow Earth』 |
ベンジャミン・ダイミョー | 死亡確認の三日後に生き返ってきた元米海兵隊の大尉。2004年10月局の指揮官に就任。 | 『B.P.R.D.: The Dead』 |
アンドリュー・デボン | 現代と中世の言語を専門にする元教授。調査局の世界的な危機やエイブへの対応を不満に思っているようだ。現在フェニックスと行動中。 | 『B.P.R.D.: The Universal Machine』 |
パンヤ | 1859年11月に発見されたミイラ化したエジプトの女性。強力なサイキック能力を持っているようだが詳細は不明。目的もはっきりしない。 | 『B.P.R.D.: Garden of Souls』 |
その他のキャラクター
アリス・モナハン | 赤ん坊の時妖精に誘拐されたがヘルボーイに救出されたアイルランドの女性。妖精たちのおかげで1950年代に生まれたにもかかわらずとても若々しい。 | 『Hellboy: The Corpse』 |
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ロブスター・ジョンソン | 1930年代に活動していた自警団。殺した悪人の額に鋏の焼印を押す。現代では架空の人物と思われている。ヘルボーイは彼が活躍する作品のファン。 | 『Lobster Johnson: The Killer in My Skull』 |
Iosif Nichayko | ロシアの特別科学施設の局長。スーツで体を保っているゾンビ。1984年8月に一度エイブと遭遇している。 | 『Abe Sapien: The Abyssal Plain』 |
ダリル | 妻と二人の子供と暮す、ごく普通の男性だったが、ウェンディゴに捕われる。一時は理性を失い徘徊していたがHBとエイブに保護された。WereJaguarと戦った後から登場していない為生死不明。 | 『B.P.R.D.: The Universal Machine』 |
フェニックス | 16歳の少女。この先起こる危険を予知できるらしく、仲間と共に怪物や災害から逃げていた。彼女を保護しようと近付いたエイブに"I know who you are."と言うと何度も彼を撃った。 | 『B.P.R.D. Hell on Earth: Gods』 |
敵対するキャラクター
オグドル・ヤハド | 精霊が作った最初の生命。369の血族を生み出すと精霊達へ戦いを挑んだが、封じられ深淵へと投げられた。この竜を作った精霊は他の精霊によって八裂きにされ炎に焼かれたがその左腕だけは残った。 | 『Hellboy: Seed of Destruction』 |
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グリゴリ・ラスプーチン | 一度死に竜神の声を聞いた怪僧。ヘルボーイを現世へと召喚し何度も竜神の復活を迫った。バーバ・ヤガをお婆様と呼び魂の半分を預けていた。 | 『Hellboy: Seed of Destruction』 |
ヘカテ | 魔女たちの王。ヘカ・エメン・ラァ。知識を盗み出し人々に広めハイパーボリアの王トトによって呪われ、半身が蛇と化す。世界の終わりにヘルボーイの側に居る事になると話しているが… | 『Hellboy: Wake the Devil』 |
バーバ・ヤガ | 鳥足の家に住むロシアの魔女。1964年3月ヘルボーイに左目を撃たれ、そこから彼女の本質が流れこの世から消えてしまった。ラスプーチンは息子のような存在。 | 『Hellboy: Wake the Devil 』 |
ニムエ | 血の女王。アーサー王伝説の湖の乙女、ヴィヴィアン、マーリンを監禁した女。ドラゴンの声を聞き正気を失う。彼女を恐れた魔女たちに毒殺され切り刻まれ箱に押し込まれて地下に封じられていた。魔女たちの新たな王。 | 『Hellboy: The Wild Hunt』 |
グルアガッハ | 1959年アリスをさらい入れ替わった妖精。調査に来たヘルボーイとの戦いで巨人グロムの肉体に囚われた。元は変化の術を使い巨人を20人倒す程のエルフの戦士だったが、人間の娘と恋に落ち… | 『Hellboy: The Corpse』 |
Memnan Saa | 元は19世紀半ばの大英博物館の学芸員だった。念動力や幽体離脱など様々な力を持つ。肉体を失ってからもリズに恐ろしいビジョンを見せ、何度も接触してきている。 | 『B.P.R.D.: The Black Flame』 |
Black Flame | ブラックフレイムと呼ばれる存在は複数存在し、1930年代にロブスター・ジョンソンと戦ったもの、Zinco社に保存されているもの(1930年と同一人物?)、Zinco社の最高経営責任者ランディス・ポープ、そしてReturn of the Masterで登場した一体が確認されている。 | 『B.P.R.D.: The Black Flame』 |
King of Fear | 左手のしもべ。ハイパーボリアの生き残りが生み出した小さな人。リズの力を利用しようとしていた。後にブラックフレイムと手を組むが… | 『B.P.R.D.: Hollow Earth』 |
カエルの怪物 | オグドル・ヤハドの眷族の影響で人々が変化した怪物。ラスプーチンらいわく人類最後の種。カエルの怪物と人間の姿を使い分けることが出来る。 | 『Hellboy: Seed of Destruction』 |
クロエネン | カール・ルプレクト・クロエネン。ナチスの科学者。 | 『Hellboy: Seed of Destruction』 |
その他の超自然的存在など
エドワード・グレイ | 無機質なマスクとマントで全身を覆い、妖精王ダグダやバーバ・ヤガらとヘルボーイを見守る人物。Hellboy: In Hellにて本人の口から正体が語られる。 | 『Hellboy: Wake the Devil』 |
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アスタロト | 地獄の大公でヘルボーイの叔父。ヘルボーイを見守る一方で世界を破壊すべく杖を持った放浪者の姿で人間や妖精達にも干渉している。 | 『Hellboy: Pancakes/Hellboy: Box Full of Evil』 |
アゼザル | ヘルボーイの父で地獄の公爵。ランカシャー、アボッツベリー、バークスウェル、フェイヴァシャムの魔女達の支配者。ヘルボーイの他にガモン、ラスクという二人の息子と人数や名前は不明だが娘が居る。地獄で氷の中に囚われている。 | 『Hellboy: The Chained Coffin』 |
バーバラ | ロシアの特別科学施設の元局長。1700年代初頭に召喚された3柱の悪魔の一人。普段は愛らしい少女の姿をとる。人間の起こす残虐な行為に魅了され人間達の世界残ることにした。ブルッテンホルム教授とも面識があり、彼の事は気に入っていたようだ。 | 『BPRD: 1946』 |
映画オリジナルキャラクター
ジョン・マイヤーズ | BPRDの新人エージェント。リズが気になる様子だった。2では南極に左遷されてしまった。 | 『Hellboy 』 |
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ヌアラ | エルフの王女でヌアダの妹。エイブと恋に落ちた。 | 『Hellboy II: The Golden Army』 |
ヌアダ | エルフの王子でヌアラの兄。一族が衰退し消えることを望まず人間と戦うべく行動する。 | 『Hellboy II: The Golden Army』 |
映画
『ヘルボーイ』2004年
『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』2008年
スタッフ
監督・脚本 - ギレルモ・デル・トロ
製作 - ローレンス・ゴードン / マイク・リチャードソン / ロイド・レヴィン
製作総指揮 - パトリック・J・パーマー
主演 - ロン・パールマン
音楽 - マルコ・ベルトラミ
撮影 - ギレルモ・ナヴァロ
編集 - ピーター・アマンドソン
製作国 - アメリカ合衆国
言語 - 英語
配給と公開日
アメリカ合衆国 | コロンビア映画 | 2004年4月2日 |
日本 | UIP | 2004年10月1日 |