悪魔とは、宗教用語である。
- 宗教上の悪魔。本項で解説。
- タロットカードの大アルカナの1枚。→悪魔(タロット)
- 心無い発言や行動をとった相手を揶揄する言葉。→鬼、小悪魔等。
- ファンタジー、創作としての悪魔。→ソロモン72柱等。
- 女神転生シリーズの悪魔達。→仲魔参照。
- Wakfu及びDofusの悪魔。→シュシュ(Wakfu)参照。
概要
仏教では「煩悩」や「邪心」など仏道修行を妨げ悪道に誘う魔物。
西洋宗教におけては、力を持った悪の半ば擬人化した概念で、人格と意志を持ち人間を誘惑する。
宗教によってはの神に敵対するものを指し、異教の神々への蔑称でもある。
日本における悪魔
「悪魔」という漢語は本来、漢訳仏典に由来する仏教語であるが、現代日本語では西洋のデビル、デーモンの訳語としても用いられている。
仏教語としての悪魔はサンスクリット語マーラ(殺す者の意)の音訳「魔羅」「魔」と同義である。
「魔」という漢字は、死者を指し超自然的なものを含意する意符「鬼」と、マーラの音を表す音符「麻」とを組み合わせたものである。
数える際の助数詞は「人」「体」「匹」など。
西洋の悪魔は、人間に似た姿でありながら、黒や紺色の肌、赤い目、とがった耳、裂けたような口に尖った歯、尖った爪、コウモリのような羽を持つ存在として描かれることが多い。
創作として悪魔はよく用いられ、極めてメジャーな創作ジャンルでもある。
その際は主に黒、赤、紫などの色がモチーフとして用いられることが多い。
また性格の悪いものや、言葉巧みに人間を堕落させる者のことを蔑む言葉としても使われる。
類似例)吐き気を催す邪悪
キリスト教における悪魔
かつては神に仕える御使いであったとされる。教父たちは天使の罪について論じた。
多くの宗教や文化とキリスト教は異なり、キリスト教神学の見解は、悪魔を悪の擬人化とはとらえず、文字通り、三位一体の神に逆らった人格を有する御使いたちであると認識する。
敬虔主義では神と人間とに敵対するサタン、悪魔の存在が強く意識され、この世界はサタンと神、サタンと神の民の間の戦いの、戦場ととらえられている。
ただし、自由主義神学(リベラル)では悪の擬人化ととらえることがある。
キリスト教の神学においては天使論の中で悪魔論が記述されてきたが、後にそれがわけられるようになった。
天使に関する本よりも、悪魔、悪霊、オカルトについての本が多く出版されていることについて、ビリー・グラハムは、世人が天使よりも堕落した天使である悪魔に注目しているのは奇妙な事であり、中には悪魔と神を等しい地位におく者がいると指摘している。
悪魔のまどわし
キリスト教においては信仰者の信仰心を試す存在として登場する。
聖人の大アントニオスの誘惑の題材が知られる。
悪魔は、一般にデーモンと呼ばれる悪しき天使たちの勢力を指揮している。
旧約聖書には、敵対者であるサタンが登場する。
堕落の教理
キリスト教神学では悪魔はサタン、時にはルシファーの名で呼ばれる。
かれは神に対して謀反を起こした堕天使である。
神学では人間を誘惑して堕落させ、原罪とイエス・キリストのあがないの必要性をもたらした、エデンの園の蛇と同一のものと認識される。
かれはまたヨブの告発者、福音書における誘惑者、黙示録における竜(ドラゴン)とも同一視される。
キリスト教と異教
悪魔とも悪霊とも和訳される西洋語の「デーモン」の語源は、ギリシア語のダイモーン(古希: δαίμων、ラテン翻字 daimon)である。
ギリシア語の旧約および新約聖書では悪霊的存在がダイモーンと記されており、使徒パウロ、アウグスティヌスは異教の神と悪魔を同一のものとして記述している。
ダイモーンのラテン語綴りダエモン(daemon)はキリスト教的文脈においてほぼ悪霊・悪魔の意味で用いられている。
キリスト教の教父アウグスティヌスは『神の国』において新プラトン学派の哲学者ポルピュリオスを批判している。
アウグスティヌスはキリスト教徒はイエス・キリストの再臨によってやがて来る神の国に入れられるが、悪魔の国に属する悪魔の子たちは地獄に落ちると教えている。
カトリック教会
悪魔に命じるアッシジのフランチェスコ。
悪魔を踏みつけるミカエル天主に背いた悪い天使は、地獄の罰を受けたのであり、カトリック教会はこれら悪い天使を悪魔と呼んでいる。
悪魔は、天主をうらみ、人を悪に誘惑するとされ、その根拠の聖書箇所は 「汝等節制して警戒せよ、そは汝等の仇たる悪魔は吼ゆる獅子のごとく食尽くすべきものを探しつつゆきめぐればなり」である。
また、人は自分の力では悪魔の誘惑をふせぐことができず、天主の助けにすがることによってこれに必ずこれに勝つことができるのであり、これは神にいさおしとして認められる。
その聖書箇所は「汝等主に於て叉其の大能のちからに於て気力を得、悪魔の計略に勝つことを得んために、天主の武具を身に着けよ」である。
人祖は悪魔の誘惑に従い、天主のいましめに背いて聖寵を失ったとされ、その聖書箇所はである。
エクソシスム
カトリック教会の認めるイエス・キリストの奇蹟とは、イエス・キリストがただ一言葉で悪魔を追出し、癩病、唖、聾、盲等を癒 し、死人をも蘇らせたことを指して言われる。
その聖書箇所は悪魔を追出し、癩病唖、聾盲を癒し死人をも蘇らせた個所である。
カトリック教会における悪魔憑きは外から語りかけることによって始まり、体内に入り、体を乗っ取る「憑依」によって完成する。
外から語りかける段階…電気製品から、「私を助けて」という子供の声などで話しかける。
憑依する段階…呼吸音・骨のきしむ音・腸をごろごろ鳴らせる音で語りかけてくる。
憑依後…本人の意思とは関係なく、口から完璧な言葉を話し、人に望む行動をとらせるよう働く。
これらの症状は、現代医学の観点からは精神疾患とも考えられるので、医学的見地に従うのがよい。
悪魔観が比較的強い宗教であるローマ・カトリック教会でも、現代ではエクソシストによる悪魔払いの儀式に慎重であり、まずは医師の判断を実行する。
ファティマの聖母による地獄と悪魔
1917年、聖母がポルトガルの子供達に出現し、数々の警告を人類に与えた。
聖母は「火の海の中で、男と女の人間の形をした霊魂達が、燃え、絶望の内に叫び、泣いている」情景を示し警告した。
「多くの霊魂が地獄に行きますから、祈りなさい、沢山祈りなさい。」
「貴方達は罪人達が、悔い改めない時に、行く地獄を見ました。」
「より多くの霊魂達を地獄に導く罪は肉の罪です。」
「彼等はこの総体的な堕落を完成する為に特に子供達に焦点を絞るでしょう。」
21世紀初頭、ヨハネ・パウロ2世は、「ファティマの聖母の言葉は、悪魔の罠に陥らないよう、改心を求めて私達の人間性に訴え掛けている」と述べ、戦争・民族浄化・麻薬汚染・中絶など惨事が悪の犠牲者を多く生み出していること、善と悪の戦いは今日も続いていることから、社会は破壊を免れるために伝統的な価値観に立ち戻る必要がある、と述べている。
地獄
地獄は悪人が天主に棄てられて、悪魔と共に終なく苦しむ場所と定義され、その聖書箇所は 「彼等は外の暗に逐出されん、其処には痛哭と切歯とあらん」
「詛われたる者よ、永遠の火に入れ」である。
プロテスタント
改革派教会の『ウェストミンスター信仰基準』は、全人類が、サタン、悪魔の奴隷であると告白する。
ジャン・カルヴァンは『キリスト教綱要』第一篇10章で「聖書は、いっさいの迷信を矯正するために、真の神ひとりを、異教徒の神々に独占的に対立させている」と述べる。
聖書には「この父である神は、私たちを悪魔の支配する暗闇から救い出して、愛する御子キリストの支配下に移してくださった。」
「私たちは神の子供であり、この世界は悪魔の支配下にあることを知っている。」と書いてある。
神はわがやぐら 『讃美歌』1903年福音派のローザンヌ誓約において霊の戦いが宣言されており、宣教の働きは悪魔にとらわれている人々を救い出すことであると定義され、悪霊追い出しがなされている。
日本に多い異教である仏教や神道にも悪魔、悪霊が働くと認識されている。
日本の福音派の指導者である尾山令仁は、クリスチャンは悪魔の支配下にあった所から、神の側に移されたのであり、クリスチャンを攻撃してくる悪魔、悪霊こそがクリスチャンの共通の敵であると述べている。
比較宗教学によるアブラハムの宗教の悪魔
アブラハムの宗教のシンボルマーク比較宗教学の観点によれば、アブラハムの宗教における悪魔は元来、神とその使いを除く超越的な存在全てであった。
アブラハムの諸教は、さまざまな名で呼ばれる悪魔を、人間をそそのかして罪を犯させたり悪行をはたらいたりするひとりの反逆的な堕天使ないしデーモンとみなしてきた。
それ以外の場合では、信仰の危機、個人主義、自由意志、智慧、啓蒙などを象徴する寓意とみなされることもある。悪魔(ギリシア語:διάβολος (ディアボロス)=中傷者、告発者)は、多くの宗教と文化において、悪の擬人化にして神および人間の敵であるところの、力ある超自然的存在であると信ぜられている。
悪魔は一般に異端者や異教徒などの不信心者に関連づけられる。
その他の多くの宗教にもキリスト教の悪魔に類似したトリックスターないし誘惑者がある。
悪魔についての近代的な観念には、悪魔は人間の下等な本性や罪深さを象徴しているとする考え方もある。
唯一神教であるユダヤ教は、他宗教の神々を悪魔と称して否定した。
その派生であるキリスト教とイスラム教も同様であった。
西方キリスト教世界における悪魔は、地中海世界で信仰されていた古代文明の神々が否定され悪魔とされたものが多く、バアル神やモレク神などは代表的なものである。
これらの神格はユダヤ教の時点で「魔神」シェディムであるとされていた。
ただし、唯一神以外の神々が全て悪魔とされたわけではなく、キリスト教に取り込まれた例もある。
その代表例は、かっては新バビロニア地域の神々、あるいは神の諸側面を表象する存在であったミカエルやガブリエルである。
ユダヤ民族のバビロン捕囚時代以降にペルシアの宗教に影響を受けて、ユダヤ教に天使として取り入れられた。
ミカエルやガブリエルは旧約聖書にも登場し、キリスト教では大天使として継承された。
ヨーロッパ土着の神々が矮小化され妖精伝承となったこともあるらしい。
故に人間に試練を与えるための神の道具であったサタンは旧約聖書において悪魔ではなく、人間の敵ではあっても神の僕であった。
サタンは「大敵」と呼ばれ、異教の神とは区別された。
異教の神々がサタンと結び付けられるのはキリスト教アタナシウス派の影響である。
「イザヤ書」の記述にある「天より落ちた者」ルキフェルはサタンと同一視されるようになり、サタンは神に敵対する者とされ異教の神々は神に対して反乱を起こした天使であるとされるようになった。
一方イスラム教においては悪魔は「シャイターン」と呼ばれる。これはサタンの転訛である。
その頭目は堕天使イブリース(=ルキフェル)であるが、キリスト教とは違いそれ以外の悪魔は単なる人に悪さをするジン(精霊)にすぎない。
デヴィルとデーモンはいずれも、ラテン語で神を意味するデウス(deus)と同様に、サンスクリットで神を意味する語であるデーヴァと同じ印欧祖語の語根 div(輝く)の派生であるという説もある。
参考:Wikipedia
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