ルーン・バロット
るーんばろっと
CV.林原めぐみ
概要
冲方丁のSF小説『マルドゥック・スクランブル』シリーズの主人公であり、ヒロイン。
『バロット』は同名の卵料理(鳥料理?)に因んでつけられた源氏名であり本名は不明。
本当のファミリーネームは『フェニックス』であることだけが語られている。
原作小説版・漫画版・劇場アニメ版のそれぞれでデザインが異なる。
人物
マルドゥック市に暮らす15歳の少女娼婦。
オクトーバー社傘下のカジノを複数経営するやり手のショーギャンブラー、シェル・セプティノスの情婦として虚無感を抱きながら日々を生きていたが、裏取引の一環として突然彼に車ごと焼き殺されかけて重傷を負ったところを、シェルをマークしていた委任事件担当捜査官ドクター・イースターとウフコック・ペンティーノに救出され、人命保護のために禁じられた科学技術の使用を許可するマルドゥック・スクランブル09によって全身に電子干渉機能を持つ金属繊維で作られた人工皮膚を移植されて一命を取り留める。
これにより、電子撹拌能力(スナーク)と超人的な身体能力及び知覚能力を身につけたバロットは、保護証人としてウフコックとイースターらと共にシェルの犯罪を立証・追及すべく事件を追い始める。
港湾労働者の家に生まれるが、母は麻薬中毒者であり、末端神経症で父は失業、唯一まともに働ける兄は致し方無く銃の運び屋に身を窶すなど、恵まれた家庭とは言えなかった。12歳の時、父親に強姦され、それを知った兄が父を重障害者になるほどまでに痛めつけて一家離散。福祉局の児童施設に預けられるが、そこで性的虐待を受けたことで自分の身体を売ることが金になることを知り、仲間たちと脱走して少女娼婦となった。
その後、売れっ子娼婦としてキディ・ポルノのスター女優にまでなるが、警察に在籍していた店を摘発され、行き場を失ったところをシェルに声をかけられて、彼の専属娼婦となった。
ウフコック達と出会った当初は辛い境遇で生きてきたこともあって閉鎖的で虚無的な性格であったが、シェルの犯罪を追っていく中で様々な人々との出会いや語らい、戦いを経験して、時に力を行使することで生まれる快楽と欲望に呑まれそうになりながらも、力を得たことに伴う責任とルール、力とは違う強さと勇気、そして本当に他人を愛することは何かということを身を以って学び、自分が生きていくことの意義を見出していく。
また、過去の経験から、他人を支配して自分の意のままに操ろうとするタイプの人間に対しては酷く嫌悪感を見せる。
身体をタイトに締め付けるタイプの服装を好む。
電子撹拌(スナーク)
バロットがマルドゥック・スクランブル-09の適用によって獲得した能力。
全身に電子干渉機能と代謝機能を持つ金属繊維で作られた人工皮膚を移植したことで、肉体そのものが高レベルな電子情報端末と化し、手を触れることなく自由自在に電子機器の操作・干渉や高度な空間スキャンが可能となった。
また、バロットが幼い頃から辛い目に遭っている時などに自己防衛のために行っていた「自意識を希薄化させる」癖が偶然にも特性として適合、意識と感覚の加速により、飛んでくる銃弾を銃弾で弾き落とす程の超人的な身体能力と知覚能力の獲得にまで至っている。
さらにバロットの肉体が成長期であることを考慮して人工皮膚は各所に敢えて不安定なポイントが残され、彼女自身の無意識下の要求によって金属繊維も成長と進化を続けており、いずれ体表だけでなく脳や内臓にまで金属繊維が広がって能力がさらに進化していくだろうことが作中で語られている。