題名の通り、できない子のことを歌っている。
きくお氏らしい明るいポップな曲調と悲しい歌詞はよく耳に残る。
この歌は、「できない子」より、上の立場の人物(母親?)である「わたし」の視点から語られている。
「わたし」は終始、「できない子」を、悪口で罵っている。
「できない子」は、勉強も運動も人との会話も上手くできない、
貧乏でのろまで汚い子であるらしい。
自分の名前すら言う事ができない、とにかく駄目な子である。
「ヨダレにハナクソ フケ クソ ショウベン
バイキン ナキムシ ヨワムシ」と、「できない子」は虐められ、無視されていた。
不登校にまで、なってしまっている。
「わたし」はその「できない子」に対し、
「この世で いちばん できない子」「わたしがいなけりゃ 死んでる子」「かなしい かなしい できそこない」と、
あらん限りの壮絶な言葉を、ぶつけている。
「できない子」は、ずっと黙ったままである。
そんな「できない子」も成長し、身体も「わたし」より大きくなる。
しかし、中身まで変わったわけではない。
相変わらず、何もできない「寂しい子」である。
「わたし」は一見、ただ「できない子」を虐待しているように見えるが、
言葉の端々で、「かわいい子」「私が一生 守るから」と言っている。
また、「私と一緒」と言っている事から、彼女も「できない子」と似たような境遇を抱えていた事が、垣間見える。
「わたし」は、「できない子」の傍にずっといて、いつまでも一緒に踊っていたい、と思っていた。
だがある日、「できない子」は、「わたし」の元から旅立った。
傷だらけになりながらも、彼女の前から、いなくなった。
何も出来なかったはずの「できない子」はいなくなり、「わたし」は一人、取り残された。
果たして、
本当に「できない子」は、誰だったのだろうか・・・?
もしも、時間を戻せたら・・・。