1944年(昭和19年/皇紀2604年)に制式採用された。
南方の孤島に物資を輸送するために考案した水防式の無限軌道付きの内火艇で、潜水艦に積んで近くまで行き水中を自力で走行し上陸する目的で設計された。
基本設計は呉海軍工廠の造船実験部堀元美海軍技術少佐。
上陸作戦用の大発動艇(大発)が波打ち際での揚陸作業中に攻撃を受けて度々被害を出していたことへの対策として発案された『上陸能力を与えられた運貨艇』で、アメリカ軍のLVTの情報を参考としていた。
貨物の積載能力は4 t で、LVTと同じく車体自体に浮力を持たせており、他の特型内火艇のような着脱式の舟形フロートは不要である。車体サイズには余裕がありこれが魚雷を搭載した攻撃兵器に転用された理由だと思われる。
潜水艦に搭載されることも考慮されていたため主要部は耐圧構造となっていた。
しかし
- 潜水艦からの発進には20分前後を必要とするためレーダーの目を逃れることはできなかった。
- 長時間海中を運ばれてくる本車のエンジンが始動するか疑問だった。
- 潜航時のプロペラシャフト接合部からの油の漏洩が改善でき無かった。
- 特二式内火艇から流用された無限軌道は岩礁に踏み込むと破損しやすく、空冷ディーゼルエンジンは騒音が激しく隠密性も低かった。
などの欠点があった。
本車は18輛が生産されたが、唯一現存する一両が、カリフォルニア州のバーストー米海兵隊補給廠(Marine Corps Logistics Base Barstow)に展示されている。