コチラハAERN-BBC、「後遺症ラジオ」デス。チューニングノ必要ハ………………アリマセン。
概要
「不安の種」に続く中山昌克のホラー。
不安の種は各エピソードが独立したオムニバス形式になっていたが、本作では謎の土着神「おぐし様」を中心に据えた、相互に関連性があるともないとも知れない不可思議な物語が連作短編の形でつづられている。そして、やはりものすごく不気味。
全てのエピソードで世界観は共有しているが、主人公がエピソードごとに異なるのは不安の種と同じ。また時間軸も大きく前後を繰り返しており、現代のエピソードがあったかと思えば終戦直後、あるいは高度経済成長期、果ては江戸時代にまで時間が何度も飛ぶのが特徴。
大半のエピソードでは「髪の毛」がキーアイテムとして登場している。そして、「おぐし様」もまた髪の毛に関連する神であることが触れられている(「おぐし」とは「御髪」、つまり髪の毛のことだと思われる)。
余談だが、本作の単行本の目次は一見新聞のラジオ放送欄にしか見えないが、さりげなく書かれている内容を見ると妙に変な番組が多いことがわかる。普通は読み飛ばしてしまいがちな場所だが、改めて読んでみると本作の「味」をより一層堪能できるだろう。
おぐし様
本作のメインキャラクター(?)。
とある村にて信仰されていた土着神……らしい。
「善も悪もない神」とされているが、村の開発のために神像を破壊され、祟り神となったかのような描写がある。
また、それ以前にも藁人形の呪いを行うために使われていたりと、「善も悪もない」故に都合よく扱われていた痕跡がある。
なお、おぐし様そのものは3巻までの作中には一切登場しておらず、依代と思われる神像と御使いと思われるカラスたち、そして無数の怪奇現象だけがその存在を示している。