やみのせんし
やみのせんし
概要
ラダトーム地方が闇に覆われた元凶となっている戦士。その姿はエリミネーターやさつじんきなどと同系統の、というかもっと有名なところはカンダタの系列に入る。
終盤になると入れるようになる「やみのとびら」の向こうで待ち構えている。本人はこの世界の王だと思い込んでいるようだが、その肩書きは「偽りの王」。狂った笑いをあげながら、自分の下に足を踏み入れた主人公を無礼者とみなして襲い掛かってくる。重要アイテム「にじのしずく」の材料を手に入れる為に倒さなければならない相手。
攻撃は隙が大きいが威力が高く、HPをある程度減らすと回転斬りまで繰り出してくる他、お供のメーダロードまで呼び出してくる。
撃破すると倒れるとも正気に戻るでもなく、叫び声をあげながらどこかへ逃げていく。その後の彼の行方は不明。
関連タグ
ネタバレ
彼こそ、本作の物語のはじまりをある意味作った人物であり、その正体はDQ1の勇者。それがなぜこんな姿をしているのかというと、竜王の問いに「はい」と答え、「世界の半分をやろう」という誘いに乗ってしまったからである。ルビスからは「闇に囚われた者」と称される。
しかし実際は自分を陥れるための罠に過ぎず結局約束を反故にされ、「セカイノ ハンブン」と書かれた建物に閉じ込められるだけだった。挙句、長期間幽閉されたためか、精神を病んでしまったのである。首から提げているのは、あのローラ姫からもらった「おうじょのあい」というのが生々しく哀しい。
エルの考えでは、今まで真面目に過ごしてきた上、周囲から勇者であることをもてはやされてきたため、自ら自立した意思で行動を選ぶことがなく、自由に自分の道を進むことを知らなかったため、竜王の問いに純粋な好奇心を動かされ、どうなるかを知りたくて選択したのではないか、とのこと。
これはリアリティある話で、現実でも真面目すぎる人がハメを一旦外すと、そのハメの外し方が非常識なものになってしまい、予期せぬトラブルを招くことはある。総じてステレオタイプの英雄像の弱点を突いた解釈と言えようか。
事実、原作ではこの選択を拒否した場合のDQ1の勇者も竜王討伐後は自由に自分の道を進むことを選択しており、「いいえ」と答えたハッピーエンドの場合も竜王の誘惑は勇者のその後の行動に大きな影響を及ぼした事も仄めかされている。
言い方を変えれば自由に自分の道を進んでいるわけではなかったDQ1の冒険はあまり茨の道とは呼べるものではなかったのだ。
FC版にて竜王の勧誘に興味半分で誘いに乗ってバッドエンドの憂き目を味わった人も多かったであろうことを考えると、なんとも感慨深いというか…複雑な話しである。