騎士アストルフォ
アストルフォ(Astolfo)は、シャルルマーニュのパラディンであり、イングランド王オットー(シャルルマーニュと同世代に存在したオッファ・オブ・マーシア(en:Offa of Mercia)と推定される)の息子で、ローランやルノー・ド・モルトーバンとは従兄弟同士である。
古くから武勲詩に名前は見られたのだが、名が知られるようになったのは14世紀ころ成立した叙事詩などによる。イタリアの叙事詩では、アストルフォはユーモアのある人物となっており、ルイジ・ブルチの「モルガンテ」、マッテーオ・マリーア・ボイアルドの「恋するオルランド」で活躍し、「狂えるオルランド」では月へ旅行したりもしている。
作中の騎士の中では比較的弱い方で、初登場時の馬上試合にも早速敗北している。
この時の対戦相手であるアルガリア王子(ローランが惚れたアンジェリカ姫の弟)は、突いた相手を必ず落馬させる魔法の槍を持っていたのだが、アストルフォはそうと知らず、折れた自分の槍の代わりにこれを使うようになる(後にはブラダマンテに渡しており、結局最後まで特別な力のある品だと気付かなかった)。
アンジェリカを追いかけていなくなったルノーを捜すため旅に出かけ、一人で敵陣に突っ込んで当たり前のように捕まった。
助けてもらった恩義のあるアンジェリカよりもルノーの味方をすることを優先したり、国へ帰る途中で魔女に捕まって木の姿に変えられたりしている。
その魔女の正直者な妹から生き物の恐怖心を呼び覚ます魔笛や、魔法の攻略法が書かれた魔本を受け取って魔法使いに囚われた勇士たちを助け、魔法使いが飼っていたヒッポグリフに乗ってアフリカまで目的もなく旅行。
エチオピアで暴れていたハルピュイアを追い払うと、聖ヨハネに出会う。
彼からローランが発狂した理由を聞き、ローランを助けるよう頼まれて月まで連れて行かれた。
また、ヨハネの依頼で10万の軍勢を伴って敵軍に奇襲を掛けたりした。
敵軍に囚われていたオリヴィエらを助けていると、そこへ丁度地中海を泳いで渡ってきた素っ裸のローランに遭遇。オリヴィエらに取り押さえてもらって、月で手に入れたローランの理性を取り戻させた。
そんな彼も、最後にはロンスヴォーの戦いで敢え無く戦死した。