概要
ニミッツ級空母は、エンタープライズに次ぐ二世代目の米原子力空母であり、フォレスタル級から続く、四世代目のスーパーキャリアでもある。1975年に一番艦ニミッツが就役し、2009年に十番艦であるジョージ・H・W・ブッシュが就役したが、実に30年以上の長きにわたって建造された艦級であるということになる。
満載排水量は10万tに達し、これをもって世界最大の軍艦とされる。
基本設計
設計は基本的にフォレスタル級の発展版といえる。このため、設計面で大きな差異は見受けられないものの、水中防御改善を目的とした区画の配置や、飛行甲板の形状など、直前に建造されたジョン・F・ケネディに基づいた様々な改良が施されている。
また、ベトナム戦争の戦訓から継戦能力に重点が置かれ、航空燃料および航空機弾薬搭載量はエンタープライズを上回っている。
長期間にわたって建造されたことから、改装や設計の変更などによって、各艦ごとに差異が存在するため、ある意味で変化に富んだ艦級といえる。特に九番艦および十番艦においては、改設計された艦橋構造物に、大型になった艦首の膨らみ(シリンドリカル・バウ)など外見でも大きな変化がある。
機関・推進器
本艦級では、ウェスティングハウス社製の加圧水型原子炉であるA4Wを二基搭載している。エンタープライズではより小出力のものが八基搭載されていたが、大出力の原子炉を搭載したことで艦内の空間が節約され、それを前述の搭載量向上に充てたとされる。
一基あたりの公称出力は13万馬力であるから、総出力は26万馬力であるが、資料によっては定格上げにより28万馬力を発揮するともいわれており、詳細は不明である。
なお、燃料棒のウラニウム濃度については、腐食の関係から、90%以上の高濃縮燃料は採用を見送られ、それ未満の濃度のものが装填されていると思われる。
シフト配置を採用しており、弾薬庫を間にはさみ、二つの原子炉区画が配置されている。
また、原子炉の停止などの緊急事態に備え、2000kw級のディーゼルエンジンを四基搭載しており、その出力は10720馬力である。
推進器については、蒸気タービンを四基搭載し、五枚羽根のスクリュープロペラを四基装備する。
プロペラは青銅製で、直径23ft~26ft(資料により異なる)、重量約30tである。
兵装
兵装は、艦による差異はあるが、基本的に自衛用の兵装を搭載している。
中距離の対空・対艦火力としてシースパローまたはESSMがあり、
短距離の対空火力としてはRAMとファランクスCIWSが装備されることがほとんどで、そのほかにはチャフ発射機や電子戦機器、デコイを搭載するくらいである。
近年は、テロ対策の観点から、低速の空中・水上目標に対応するため遠隔操作式のMk38機関砲を装備したり、M2などの重機関銃を搭載したりすることがある。
また、魚雷への対策として、直撃破壊方式の対魚雷システムを搭載することが考えられており、実際に、艦に搭載しての試験が行われている。
性能諸元
満載排水量 | 約10万t |
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軽荷排水量 | 73000t~82000t |
全長 | 1092ft |
全幅 | 252ft |
水線長 | 1040ft |
水線幅 | 134ft |
飛行甲板面積 | 約18200㎡ |
機関出力 | 260000shp |
速度 | 30ノット強 |
搭載機 | 定数67機;最大90機 |
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