作者は주호민(チュ・ホミン)氏。
主人公は韓国の冥府神である『冥界の三使者(저승삼사자 ジョスンサムサジャ)』であるが、閻魔大王や十王、家宅神など韓国の伝説の神々が多く登場する。
冥界の三使者とはカンリムドリョン、ヘ・ウォンメク、イ・トッチュンの三人を指す。
この三人の中でカンリムドリョンがリーダーである。
冥界の三使者は韓国の言い伝えで死者を迎えに行くとされる。
(ただし、名前があるのはカンリムドリョンのみで後の二人は作者がつけた名前である)
韓国の言い伝えにのっとって描かれているが、作中ではすでに冥界や地獄はデジタル化されている世界である。
そのためホテルやコーヒーショップなども存在し、登場人物たちも現代風の格好をしている。
また事務作業にパソコンやプリンターを使うなど現代人の生活と大差ない。
ただ、裁きや地獄の刑罰などは言い伝え通りで、『現世での悪行が重なれば地獄に落ちる』など道徳的な意味合いを込めた作品だと言える。
三途の川、閻魔大王の鏡、奪衣婆、懸衣翁等お馴染みの地獄の住人も登場する。
話は冥界編・現世編・天界編に分かれており、冥界の三使者以外は登場人物が異なる。
以下は各編の解説である。(ネタバレも含むので注意)
冥界編
キム・ジャホンというサラリーマンの男性が死ぬ所から話は始まる。
キム・ジャホンは冥界の使者に冥界に連れて行かれ(地下鉄で)そこで弁護士チン・ギハンに迎えられる。
死者は弁護士とともに四十九日の間に各十王の裁判受けねばならず、途中で有罪になればその地獄に落とされる。
また、地獄に落ちずに済んだとしても最後の道で転生か畜生になるかなどが別れる。
キム・ジャホンが裁判を受けているのと同時に、冥界の使者たちは脱走した怨鬼(怨みや思いが強すぎて冥界に行けない魂)を追いかけていた。
なぜ、怨鬼は怨鬼になってしまったのか。キム・ジャホンは無事に転生できるのか。
二つの話はこの世とあの世の人間関係が絡み合って進んでいくのであった。
現世編
舞台は現世の韓国になる。古い家が並ぶ集落に、再開発の話が持ち上がっていた。
その中で暮らす祖父と小学生のキム・ドヒョン。
ドヒョンの家は父親が死んだ後、母親が逃げ出し、祖母は死に、祖父が貧しいながらも働いてなんとか暮らしていた。
その二人の元にある日三人の人間がやってくる。
彼らはドヒョンたちを助けてくれ、食事などの世話をしてくれるボランティアだと名乗った。
実は彼らの正体は家宅神という家の神様たちで家を守ってくれる存在だったのだ。
彼らのおかげで暮らしは楽になっていくが、そんな中集落の取り壊しのために地上げ屋が暴れだし、住民たちは一人また一人といなくなっていく。
同じ頃、冥界では冥界の三使者たちが死者のリストを眺めていた。
そのリストの中にはドヒョンの祖父の名前があったのだった。