概要
ロボットの反乱によって人類が衰退したと伝えられる、ポストアポカリプスな世界が舞台。
コロニーを渡り歩いては物語を聞かせる語り部を生業とする少年が、旅の途中で少女型アンドロイドと戦闘になり、負傷して拘束される。
アイビスと名乗るそのアンドロイドは、語り部の少年の傷が癒えるまでの間、いくつかの物語を語って聞かせる。
それはAIやロボットを主題とする6つのフィクションと、彼女自身が体験した真実の物語。
収録作
・宇宙をぼくの手の上に・・・・・・・『SFジャパン』 2003年冬号
・ときめきの仮想空間・・・・・・・・『ゲームクエスト』1997年5月号
・ミラーガール・・・・・・・・・・・『SFオンライン』1999年3月29日号
・ブラックホール・ダイバー・・・・・『ザ・スニーカー』2004年10月号
・正義が正義である世界・・・・・・・『ザ・スニーカー』2005年6月号
・詩音が来た日 ・・・・・・・・・・・単行本書下ろし
・アイの物語 ・・・・・・・・・・・・単行本書下ろし
構成
7つの短編と、間に挟まれるインターミッションによって構成される短編集。
プロローグ、インターミッション、エピローグは、アンドロイドのアイビスと「僕」の対話を描き、短編部分はアイビスが「僕」に語り聞かせた物語という入れ子構造になっている。
当初は通常の短編集として発表するつもりだったが、その時点で発表されていた3篇において、
・人工知能や仮想現実を主題としている
・女性の一人称で語られている
という共通点があったことから、ブラッドベリの『火星年代記』のような長編にできないかと考えた。
しかし同一の歴史上に並べようとすると、年代や技術の発達速度にあきらかな矛盾が生まれるため、おなじくブラッドベリのブラッドベリの『刺青の男』のような入れ子構造をとることとなった。