アノス構文
あのすこうぶん
アノスがメチャクチャをやる時にしばしば使用される構文であり、「〇〇だからといって、✕✕だと思ったか」が基本形となる。
また、アノスは「時間稼ぎで、俺に勝てると思ったか?」「俺の眼前を、易々と通り抜けられると思ったか?」などとアノス構文以外にも「〜と思ったか?」という口頭をよく口にするため、一種の口癖のようなものだと考えられる。
しかし、本記事は「アノス構文」の定型に則っているもののみ説明することとする。
アノス構文は戦闘中の土壇場に使うことが多い為、多くの場合ネタバレが含まれる。
第一章《魔王学院》編
- 「たかだか心臓を潰したぐらいで俺が死ぬとでも思ったか?」
過去を改竄するためサーシャとミーシャに《時間操作(レバイド)》をかけようとした際、突如襲撃した七魔皇老が一人アイヴィス・ネクロンに対して言い放った台詞。
魔剣ガドルで心臓を貫かれた後、瞬時に魔法にてアイヴィスを磔にした。
- 「殺したぐらいで、俺が死ぬとでも思ったか?」
アノス構文の代名詞ともいえる台詞である。
時の番神エウゴ・ラ・ラヴィアズと融合したアイヴィスがその権能《時神の大鎌》にてアノスに永劫の時間を与え朽ち果てたせた後に、勝ちを確信した彼に対し根源のみの状態での《蘇生(インガル)》にて復活したアノスが言い放った。
- 「時間を止めたぐらいで、俺の歩みを止められるとでも思ったか?」
同じくアイヴィス戦にて、時の番神の権能を用いて万物の動きを停止させる白銀の空間にアノスが閉じ込めた際に言った言葉。
アノスは「万物の動きを永遠に停止させる」効果の大魔法を《破滅の魔眼》にて滅ぼし、歩みを進ませた。
第二章《魔剣大会》編
- 「山脈を両断したぐらいで、俺の頭が割れるとでも思ったか」
大魔剣教練の際、模擬相手を受けた七魔皇老ガイオス・アンゼムに言い放った。
ガイオスは山脈をも一撃で両断する極大魔剣グラジェシオンをアノスの頭に直撃させたが、アノスはかすり傷一つ負わなかった。
- 「俺の腕が切断されたぐらいで動かないとでも思ったか?」
切られた箇所に魔力を通わせないという効果を持つ魔剣イニーティオにて切られたアノスの腕が動いているのを見て訝しんだ七魔皇老メルヘイスに対し放った台詞。
- 「躱した程度で避けられると思ったか」
《四界牆壁(ベノ・イエヴン)》の貯蔵庫であるメルヘイスの《次元牢獄(アゼイシス)》の中で、アノスが振り下ろした理滅剣ヴェヌズドノアを寸前に躱したのにもかかわらず斬撃が当たったことに驚愕したメルヘイスに言い放った言葉。
理滅剣の前では一切の理屈が通らない為、たとえ躱したとしても斬撃が当たるのである。
- 「斬っていなければ、切断されぬとでも思ったか」
上記の直後、メルヘイスが魔法の門を数千門展開した。だが、一瞬のうちに全てが切断されたことに対して再び驚愕したメルヘイスに対して言った言葉。
その直後、メルヘイスの頭に理滅剣を貫き、改竄された記憶を元に戻した。
第三章《勇者学院》編
- 「根源を滅ぼせば、蘇らぬと思ったか」
人間の国アゼシオンとの戦争が起こってる最中、《聖域(アスク)》にて具象化したアゼシオン魔王討伐軍総帥ジェルガに対し、放った台詞。
直前、アノスは勇者カノン————もといレイに霊神人剣にて根源を貫かれて滅んでいた。
ジェルガはその場に居合わせた魔王軍を圧倒し、根源クローンであるゼシアを《根源光滅爆(ガヴエル》にて爆発させようとしたが、寸前にアノスが《根源再生(アグロネムト)》により復活し、この爆発を止めた。
第四章《大精霊》編
- 「魔力を封じれば、俺に勝てると思ったか」
熾死王エールドメードの参謀ジーク・オズマとの知恵比べにて、ジークは局面にて知恵比べの《契約(ゼクト)》を破棄し、配下にアノスを襲わせた。《契約(ゼクト)》のペナルティとしてアノスは五秒間魔力が使えない。だが、それも構わずアノスは一瞬でその配下を殺害し、この台詞をジークに言った。
- 「答えが間違っているからといって、満点が取れないとでも思ったか」
シン等の自らの配下を助けるためにアノスは大精霊の森アハルトヘルンの教育の大樹エニユニエンにて授業の一環として小テストを受けていた。
そこには二千年前の大魔族四邪王族もおり、各々それぞれの方法で正しい答えを導いていた(といっても緋碑王だけは不正を働いていたが)。
一方魔王軍はアノスなどは点を取れていたが他の配下————とくにゼシアは点がいいとはいえなかった。このテストで満点を取らねば配下を救えない。
そこでアノスは《魔王城召喚(デルゾゲート)》を使い、理滅剣にてエニユニエンの「誤答の理屈」を滅ぼし、配下に高得点を与えた。
台詞はそれに気づいた緋碑王が驚愕した際に言い放ったもの。
- 「子供だからと言って、魔王じゃないと思ったか」
大精霊レノとシン・レグリアの間に何があったのか。それを探るため、アノスは《時神の大鎌》と《時間遡航(レヴァロン)》にて、二千年前のアハルトヘルンへと跳んだ。そこは、魔王アノスが死して数日がたった世界、そこにアノスがいたら一大事である。
アノスは《逆成長(クルスラ)》の魔法を使い、五歳ほどの姿で旅芸人アノシュ・ポルティコーロと身分を偽った。台詞は「魔王アノスの真似が得意」とアノス構文ならぬアノシュ構文を披露するところ。また、この台詞は五章でも使われている。
- 「理滅剣を掌握すれば、俺に敵うと思ったか」
偽りの魔王アヴォス・ディルへヴィアとの決戦時、アヴォスはその伝承にて理滅剣を掌握し、勝利を確信した表情でアノスと相対する。アヴォスは《破滅の魔眼》そして理滅剣など、暴虐の魔王の力を多用しアノスに攻撃を仕掛けるが、所詮は噂と伝承。
アノスは《根源死殺(ベブズト)》を彼女の腹に貫き、この台詞を言い放つ。
- 「破壊神ならば、俺を滅ぼせると思ったか」
アノスに敗れたアヴォスは「神の子」として最後の力を振り絞り、天父神ノウスガリアと共に、理滅剣を本来の姿へと変える。破壊神アベルニユーの権能《破滅の太陽》サージルドナーヴェに。ノウスガリアはその力を持ちて、ディルヘイド全体に滅びの光を降り注がせる。
だが、全ての民は無事だった。ただその滅びの力は数多いる民を無視し、偽物の魔王のみに降り注いだ。
その理由はこの遥か先、第九章にて明かされる。
第五章《選定審判》編
- 「子供だからと言って魔王じゃないと思ったか」(二回目)
謎の天才転校生アノシュ・ポルティコーロがアノス・ファンユニオンに「アノス様の真似をしてみて!!」といわれて演じた台詞。どこか既視感がある。
- 「《契約(ゼクト)》を交わしたからといって、俺が守ると思ったか」
魔王再臨が報じられて少し、皇族派は裏で魔王への反逆を企てていた。だが反逆のための武力が不十分である。
そこで下っ端のラモンは天才転校生アノシュに「義兄弟の《契約》」をして、組織に紹介した。組織のトップであるゼルセアスからアノシュはその力を認められ、最重要の秘密である「竜」を彼に見せることになる。
だが、なんと。
彼の正体は暴虐の魔王であった。配置しておいた部下はアノスにより一瞬のうちに蹴散らされ、首謀者のゼルセアスは《羈束首輪夢現(ネドネリアズ)》により無限の夢を見せられる。だがそこでラモンが飛び出し、アノスにディルヘイド焼き尽くせと命ずる。《契約(ゼクト)》によりアノスが自分の命令を聞くと思ったのだ。だが、アノスによりその《契約(ゼクト)》は破棄され、結局ラモンも同じ夢を見ることとなる。
”あまりにも力の差がある場合、《契約(ゼクト)》は効かない“その事実をラモンは知らなかったのだ。
- 「神如きの力が、魔王を上回るとでも思ったか」
勇者学院アルクランイスカとの学園交流時、アノスはある男に目をつけられていた。名を枢機卿アヒデ。彼は自らを八神選定者の一人と称し、アノスのことを神に選ばれた選定者であると言う。彼は《神座天門選定召喚(グアラ・ナーテ・フォルテオス)》を使って、選定神アルカナを呼び出し、アノスに勝負を仕掛ける。だが、アノスはアルカナの力をいとも容易く退ける。
アヒデは「アノスは八神選定者の一人」「神の力には神の力しか対抗できない」という考えのもと、アノスの持つ神を暴こうとする。その最中にアノスが歩を進めながら口にしたのがこの台詞である。
- 「光の速さで駆ければ、俺から逃れられるとでも思ったか」
神代の学府エーベラストアンゼッタを訪れたアノスの態度に不満を持ち、因縁を仕掛けてきた聖者ガゼルとの戦闘で発した言葉。
彼はその身に光の秩序を持つ輝光神ジオッセリアを宿し、穿つ秩序を持つ穿神ベヘウスを神具神槍ベヘテノスに変え、その権能を持ちてアノスに猛攻を繰り出す。
輝光神の秩序を宿した彼は文字通り光となり目にも止まらぬ速さでアノスの周りを疾走した。
だが、アノスはそんなガゼルを《森羅万掌(イ・グネアス)》でつかみ、地面に叩き落とす。
第六章《神竜の国ジオルダル》編
- 「即興で作ったからといって、一瞬で生まれたと思ったか」
アノスが痕跡の大地を踏み潰すために作った深化魔法《涅槃七歩征服(ギリエリアム・ナヴィエム)》を使用した際に放った言葉。
痕跡神リバールシュネッドの神域「痕跡の大地」が刻むミリティア世界七百億年分の痕跡、その全てを《涅槃七歩征服(ギリエリアム・ナヴィエム)》により滅ぼされ、八神選定者の一人、教皇ゴルロアナ・デロ・ジオルダルはアノスに〝先人たちの古い知恵より、アノス自らが考えた新しい知恵が勝るのか〟と驚愕を漏らす。だが、アノスはこの台詞を述べ、次のように答えた。
「過去は固執するものではない。積み重ねていくものだ。過去の積み重ねが、その数多の痕跡が、俺に新たな一歩を踏み出させ、《涅槃七歩征服》が生まれた」
「お前がただ祈り続ける限り、リーバルシュネッドの力はただの痕跡、過去の遺物だ。先人たちが積み重ねてきた数多の答えから導き出す、より正しい解には辿り着けぬ」
- 「魔王だからといって、過ちを犯さぬとでも思ったか」
こちらは魔王学院Ⅱ24話にて放送されたアニメオリジナルの台詞。
己を許してくれたアノスに涙するアルカナの様子を見ていたイザベラとグスタがまたもや盛大に勘違いし騒いに騒いだ。
それを見たアルカナが、また過ち犯してしまったのかと疑問に思うと、その言葉にも二人は反応を示しめすが、それに対してアノスが笑みを浮かばせながら言った台詞がこちら。
第七章《アガハの預言》編
- 「首だけだからといって、殴り合えぬと思ったか」
地底の崩壊から全てを救おうとするアノスの前に立ち塞がった剣帝ディードリッヒと未来神ナフタに対して言い放った台詞。激しい戦闘の最中、ナフタの権能とディードリッヒの力量により、「魔王の血が流れないギリギリの強さ」でアノスの首を刎ねた。だがアノスは「これで二対二だぞ」と言い自らの髪を伸ばしながら《根源死殺(ベブズド)》を纏わせ、先端を針のように鋭くしてディードリッヒを貫いた。
- 「未来が見えぬからといって、これを予測できぬと思ったか」
ディードリッヒは戦いが始まる前、「アノスを倒す時間」を「一分一一秒後」であると預言した。しかしそれは彼がついた嘘であり、真実は「一分一二秒後」であった。油断したアノスの隙をつけると考えたからだ。そしてその預言通り、彼は一分一二秒に未来世大剣カンダクイゾルテを《剣翼竜撃双破斬(ダブロメントアロイヤ)》にて振りかざし、アノスの根源に直撃させた。
とどめとばかりに大剣を彼は振りかざす。だが、瞬間アノスの魔力が増幅し、その大剣を片手で受け止め、ぐしゃりと潰した。
全ての根源は灯滅せんとて力をまし、その力を持って灯滅を克す。アノスはディードリッヒの考えを予測した上で、あえてその剣戟を受けたのだ。
- 「地底を滅ぼす天蓋だからといって、俺に支えられぬと思ったか」
地底の三国の王に向かって言い放った言葉。
天柱支剣ヴェレヴィムが消え、地底の崩壊はすぐそこまで迫っていた。ミーシャやアルカナがそれぞれの力を持ちて、再びその剣を創造しようとするが、それも無駄に終わった。天蓋が落ちれば、地底のみならず地上さえもが跡形もなく消え去る。
己の望みが叶い、高笑いする覇王ヴィアフレア・ウィプス・ガデイシオラ。地底の崩壊が始まった———
しかし、
ひどく静かだった。地底は、滅びていない。
アノスが頭上に手をのばし、自らの膨大な魔力を放出し続けることにより一時凌ぎにすぎないが、物理的に天蓋を支えたのだ。
第八章《魔王の父》編
- 「時空を歪ませたぐらいで、俺の歩みを曲げられると思ったか」
紫電の悪魔セリス・ヴォルディゴードの命令で創星エリアルを守護する冥王イージェスとの戦いで言った台詞。
イージェスは紅血魔槍ディヒッドアテムの秘奥が肆《血界門》にて自らの血を使い、アノスの行方を阻む。《血界門》は全ての次元を隔てる壁。決して中を通り、その先へ行くことはできない。しかし、アノスは《破滅の魔眼》を使い、《血界門》の効果を無効化しながら歩みを進ませ、この台詞を言い放った。
- 「完璧程度のことで、失敗せぬと思ったか?」
こちらは書籍版オリジナルの台詞であり、『なろう』では「不可能だという点に目をつむればな」となっている。二千年前のミッドヘイズ領を治めていた魔導王ボミラス・ヘロスを魔王学院の生徒たちと共に追い詰めた際に言い放った台詞。
ボミラスは今際の際に「真の平和」の為として、アノスに征服神ゲヘドビッチを溶かした《魔導の分水嶺》に飲ました。しかし、この真の目的はアノスの根源の力を奪い「暴虐の魔導王」となる為だった。この魔法は二千年前の名もなき亡霊の時から彼らの一族の力を奪うために研究を重ねていたものだった。
ボミラスは勝利を確信し高笑いをするが、アノスには効くことはなく、魔王学院の生徒達により滅ぼされる。結局はアノスの滅びの根源を征服することは叶わなかった。
- 「転生させたからといって、大人しく生まれ変わると思ったか」
アノスと同じく不適合者であるグラハムとの戦いで言い放った言葉。
グラハムは「改竄」の権能を有する狂乱神アガンゾンを魔法具に変えた乱竄神鎌ベフェヌグズドグマにてアノスの首を斬り、首から下を絶命させた。その上でグラハムはアノスに《母胎転生(ギジェリカ)》かけ、アガンゾンの胎内で永遠に産まれることのない胎児にしようとした。
しかし、グラハムの上に影がよぎる。魔王城デルゾゲードだ。そこから落ちてきたのは理滅剣ヴェヌズドノア、それが《母胎転生(ギジェリカ)》の術式、そして狂乱神を滅ぼし、アノスはこの台詞を述べた。
- 「無秩序の刃ならば、理滅剣を改竄できると思ったか」
前記の後、アノスとグラハムはそれぞれ理滅剣、乱竄神鎌を用い、互いに剣戟を交えて火花を散らした。乱竄神鎌の改竄により、神鎌の破損と引き換えにアノスの根源に傷が入り、魔王の血が溢れ出した。グラハムは神鎌を虚空に振って神鎌を修復する。しかし、瞬間、グラハムの根源が斬り裂かれ、夥しい量の緋電紅雷が溢れ出る。ここでアノスはこの台詞を言い放った。
- 「虚無だからといって滅ぼせぬと思ったか」
数多の剣戟を繰り広げた後、アノスはグラハムの根源奥深くに理滅剣を突き立てる。理滅剣の前ではあらゆる理が意味を成さないがために、グラハムの「虚無の理」でさえも滅ぼせると踏んだ。
彼の根源は完全に滅び去ったが、後ろから声が響いた。
そこにいたにはグラハム。《波身蓋然顕現(ヴェネジアラ)》にて、可能性の体として生き延びていたのだ。
第九章《魔王城の深奥》編
- 「体と魔力を縛ったぐらいで、俺の自由を縛れると思ったか?」
生誕神ウェンゼルを守るマザコ……緊縛神ウェズネーラとの戦いで言い放った言葉。
彼が扱う魔法《緊縛檻鎖縄牢獄(エゲルツ・エングドメラ)》の効果は対象の「魔力・体・五感・思考」を縛るというもの。アノス達はこの鎖に絡まれてしまい、それぞれを封じられ、檻に閉じ込められてしまう。しかしアノスは《滅紫の魔眼》を使ってその権能を無効化し、鎖に縛られながらも悠然と歩みを進めた。
- 「五感を縛ったからといって、お前を知覚できぬと思ったか?」
同じく緊縛神戦にて、アノスが自らの檻を破壊したことで、緊縛神は逃げの一手を繰り出す。しかし、そんな彼の手首をアノスが掴む。そこで「五感が縛られている筈」と驚いたウェズネーラに対し、この言葉を言い放った。
- 「神だからといって、殴り殺されぬとでも思っているのではあるまいな?」
堕胎神アンデルクとの戦いで言い放った言葉。堕胎神の秩序は万物の堕胎を司っており、その能力の一つとして「相手の魔法を堕胎し、消滅させる」というものがある。
アノスが牽制に繰り出した《四界牆壁(ベノ・イエヴン)》や《焦死焼滅燦火焚炎(アヴィアスタン・ジアラ)》も例外なく堕胎され、無効化されてしまった。
ならばとアノスが行ったのは「軽く魔力を込めた物理攻撃」。アノスが魔力を込めた拳や蹴りはアンデルクの魔法障壁をいとも容易く打ち破り、彼女を遥か後方に吹き飛ばした。
- 『胎児だからといって、臍帯を切れば滅びると思ったか?』
同じく堕胎神戦にて言い放った言葉。アンデルクは自身の権能の一つ蛇堕胎子壷を使い、自身を母胎、アノスを胎児として蛇の臍帯に繋いだ。母から与えられるものを赤子は受け入れるのみ。アンデルクはアノス様の肉体年齢を赤子に戻し、その臍帯を蛇堕胎鉗子エグリャホンヌで切断した。
アノスに死を与えるためである。
アンデルクは勝ちを確信して高笑いする。
しかし、禍々しい膨大な魔力がアノスの体から発せられ、爪と牙を持つ、黒き魔人の如き姿となった。その状態でアノスはアンデルクを追い詰め、この台詞を放つ。
因みにアノスのこの姿はある滅びの獣の影響なのではないかといわれている。
- 「創造の神の創った世界とて、俺を閉じ込めておけると思ったか?」
ミーシャ—————創造神が滅びゆく世界を憂慮して七億年の後辿り着いた答えは「自らが世界そのものとなり、アノスやサーシャに世界の希望を託すこと。」
彼女が選んだ結末だが、自らが世界となるという事は、「ミーシャ・ネクロン」がいなくなるという事を意味する。当然アノスやサーシャはその行為を止めるよう説得しようとするが、ミリティアはそれをいなし、拒否する。
その説得の一環として、「自分の滅びの力」に耐えれる世界を作れるかという意味でこの言葉を言った。
- 「一人で考え抜いたたった七億年の答えが、俺たちの七ヶ月に敵うと思ったか?」
上記の説得の一環としてアノスは「どちらが氷の世界を作り変えれるか」という勝負を持ちかけた。
勝負の局面、《極獄界滅灰燼魔砲(エギル・グローネ・アングドロア)》でさえ耐えうるその世界にアノスは理滅剣にて数多の影絵を浮かばせる。その影絵は———アノスと出会った七ヶ月間の思い出だった。
アノスは優しく語りかける。
「お前はもう創造神ではない。ただの学生であり、俺の友だ。俺だけではないぞ。ここにはいない学友たちに、一言も告げることなく、ただ消えて、彼らが笑顔でいられると思ったか」
と、
次いでエレオノールやゼシア、そしてサーシャが思い出と共に「帰ってきて」と言葉を叫ぶ。
アノスは創造魔法にて影絵を広げる。だが、ミリティアはそれをどうしようともしなかった。創造神の秩序がそれを創り変えることができようとも、彼女の心はこれを————愛しい思い出を、消すことができないからだ。アノスは理滅剣を手放しこの台詞を言う。
そして影絵の世界が砕け、回転し——芽宮神都の空となる。
そこには、瞳に涙を溜めたミーシャがいた。
「おかえり、ミーシャ。もう放さないわ」
涙の雫が頬を伝ってこぼれ落ちる。
掠れそうな声で彼女は言った。
「……ただいま……」
第十章《神々の蒼穹》編
- 「足がないからといって、蹴れないとでも思ったか?」
神々の蒼穹、その深部「樹理廻庭園ダ・ク・カダーテ」を訪れたアノスは、アノスが火露を盗んだと勘違いした終焉神アナヘムと交戦となる。
死闘の最中、アノスは終焉神へのフェイントとして自ら足首を《獄炎殲滅砲(ジオ・グレイズ)》にて焼き切っていた。終焉神は自身の神域でその権能「枯焉砂地獄」を使用し、アノスを終焉へ没させようと試みる。彼はアノスとがっぷりと組み合って、その隙に砂漠の砂を操作してアノスを引き摺り込もうとする。しかし、先刻の《獄炎殲滅砲(ジオ・グレイズ)》が魔法陣を構築し、アノスの両足に《焦死焼滅燦火焚炎(アヴィアスタン・ジアラ)》を纏わせ、そのままアナヘムに蹴りを入れた。
- 「矛盾も飲めぬ杓子定規な歯車が、俺の運命を勝手に定められると思ったか」
世界の意志を名乗るエクエスに対し言った言葉。
秩序の歯車を制したサーシャとミーシャはアノスが全力を出せる遊び場、三面世界《魔王庭園》を構築する。世界の滅びの元凶たるエクエスにはアノスでさえも冷たい怒りを露わにしていた。
エクエスは自身の歯車の魔法を使い対抗するが、それの悉くをアノスに蹂躙される。されどエクエスは余裕の表情である大魔法を使う。
その名も《世界のために運命は回る(ベルド・ラーゼ・フェンブレム)》。
対象の運命を定めるその効果により《魔王庭園》の秩序を滅ぼそうとしたのだ。
しかし、その望みはアノスにより打ち砕かれる。彼の有する闇十字を宿す魔眼《混滅の魔眼》の効果—————相手と自分の行動が矛盾すれば自身が一方的に打ち勝つ—————により完全に無効化されたからだ。
第十一章《銀水聖海》編
- 「手が塞がっているなら、与し易いとでも思ったか?」
世界の意思エクエスは水車に成り果て、ディルヘイドに平和が訪れていた時、『太陽の風』にある男が訪れていた。くたびれた幽鬼のような顔をした男である。
彼はイザベラと軽い問答を交わした後、なんと持ち合わせていた赤い爪でイザベラを襲った。当然アノスがそれを防ぎ、戦闘に移行する。軽い戦いの後、彼はエクエス釜の中に閉じ込められる。
アノスが一息つこうとした瞬間、遥か黒穹にいた少女が『太陽の風』に攻撃を仕掛け、崩壊させた。アノスはイザベラを抱き抱えて退くが、エクエス釜から出てきた男に《根源戮殺(ザガデス)》にて攻撃を仕掛けられる。しかし、アノスはそれを難なく避け、逆に男に蹴りを入れた。その時に言いはなった言葉が上記である。
- 「井戸が狭いからといって、蛙が巨大でないとでも思ったか」
アノス、シン、レイは五聖爵が一人伯爵バルツァロンドの船に密偵し、銀水聖海の存在を知るが、バルツァロンドに見つかってしまう。彼はつい先刻、ミリティア世界にて霊神人剣エヴァンスマナをレイから手に入れた者だった。アノスは挑発しながらも相手の出方を伺うが、バルツァロンドは想定以上に愚直な男でありアノスの交渉に応じてくれた。しかし、先程の刺客から奪った赤い爪を見せてやれば彼や部下の目は警戒に変わる。さながら獣を狩る狩人のように。そのまま話の通じぬまま戦闘に移行した。
何かがおかしかった。
自身の魔法の出力が極端に弱く、逆に彼らの魔法、膂力、速さ、そのどれもが優れているのだ。アノスは銀海に出たばかりであり、まだ銀水聖海の理を知らない。バルツァロンドはアノスを蹴り飛ばし、彼を「井戸の中の蛙」と称し、投降を命ずる。
しかし、アノスは笑みを湛え、魔力を込めて帆船の甲板を蹴りつけた。轟音が鳴り響く。その衝撃で銀水船ネフェウスが崩壊し、木っ端微塵に弾け飛ぶ。慌てふためく彼らを見て、アノスは不敵に笑い、この台詞を放った。
第十二章《災淵世界》編
- 「正しく使ったからといって、貴様に使いこなせると思ったか」
銀水学院パブロヘタラにて洗礼を受けたアノスは順調に聖道三学院を打ち破り、残すはイザベラを襲った少女—————コーストリア・アーツェノンのみとなった。
洗礼の魔法としてアノスが選んだのは《理滅剣(ヴェヌズドノア)》。
コーストリアは術式の効果、その深淵へと沈むうちに《理滅剣(ヴェヌズドノア)》の影の魔法陣に飲み込まれてしまう。体の全てが呑み込まれた瞬間、彼女は術式に理解を示し、影が反転したように彼女の姿が露わになる。
そのまま《理滅剣(ヴェヌズドノア)》を使用してみせた。
彼女は得意げに笑ってみせるが、次の瞬間、理滅剣が彼女の胸に突き刺さっていた。
間違えていないのに、間違えた。理滅剣の効果による為である。
- 「契約を破棄すれば、守らなくてもよいと思ったか」
勝負の前に二人は《契約(ゼクト)》を交わしていた。その内容は「もし自分が勝てば災禍の淵姫について教えること」。
アノスは勝利したため、コーストリアに災禍の淵姫について問う。しかし彼女は嗜虐的に笑って見せ、自らの根源と引き換えに《契約(ゼクト)》を破棄しようとした。
彼女の渇望は他者への羨望。それは自己嫌悪に繋がっている。その為、自らの命を欠片も惜しまないのだ。
コーストリアは一矢報いたとばかりに微笑むが、アノスはそんな彼女に《根源再生(アグロネムト)》を使い、根源を再生させた。
- 「両手両足が塞がっていたぐらいで、《掌握魔手(レイオン)》が使えぬと思ったか」
場所は《渇望の災淵》その深部、幻獣塔。
重度のシスコ………人形皇子パリントンは自らの渇望「姉への独占欲」に従い、イザベラにルナ・アーツェノンの記憶を上書きしようとし、それを阻むアノスと戦闘になった。
パリントンは傀儡王ベズの権能《赤糸》、そして獅子縫針ベズエズを用い、アノスの両腕両足を拘束し、そこに終末の火—————《極獄界滅灰燼魔砲(エギル・グローネ・アングドロア)》を撃ち放った。
しかし、その終末の火がアノスの顔面で爆ぜることはなかった。
上下の歯列に《掌握魔手(レイオン)》を纏わせ、《極獄界滅灰燼魔砲(エギル・グローネ・アングドロア)》を掴んだ(?)のだ。そしてその滅びの力を凝縮し、再びパリントンへ投げ返した。
- 「深層世界の血だからといって、優性だとでも思ったか」
戦いが激しくなる中、パリントンは《赤糸》にてアノスにある運命をくくりつける。
《赤糸》の先は《渇望の災淵》の底。そこにはアーツェノンの滅びの獅子がいる。アノス————即ち滅びの獅子の根幹たる破壊衝動を呼び覚まそうとしたのだ。
アノスの母、ルナ・アーツェノンは「滅びの獅子を産む」という運命を拒み、逃れようとした。しかしてセリス・ヴォルディゴードと巡り合い、結婚するのだが、パリントンはそのことを気に食わず、セリスのことを「亡霊などと宣い、世界のためだと息巻いて、姉様を粗雑に扱った男」「二千年前、無情にもルナを捨てて寂しい思いをさせた男」と叫弾していた。
そしてルナがセリスに好意を抱いていたのを理解した上で「自分がその記憶を塗りつぶし、姉様を幸せにする」と息巻き、その為だけに夢想世界フォールフォーラルやルナの両親を滅すなど、一万年に渡って執着し続けた。
此度アノスに《赤糸》を結んだ理由はアノスに滅びの獅子として暴れさせルナに「セリスと作った家庭は所詮虚構であったのだ」と絶望させ、後悔させる為。
彼の思惑通り、アノスの頭の中にもう一人の自分が強く、強く語りかける「この海の全てを滅ぼせ」と。
しかし————
「《掌魔滅尽十紫帯電界刃(ラヴィアズ・ヴェルド・ガルヴァリィズェン)》」
耳を劈く雷鳴が響き、《赤糸》が切れる。アノスはいつもと変わらず悠然とそこに立っていた。
パリントンが理解ができないと叫びながらも、先程手にした《極獄界滅灰燼魔砲(エギル・グローネ・アングドロア)》を《掌握魔手(レイオン)》にて撃ち放つ。
「アーツェノンの滅びの獅子が、狂わぬわけがないのであるっ……!! お前は、そういう生き物なのだ、正体を現せぇぇぇぇっっっ!!」
「確かに俺は滅びの獅子のようだがな」
「我が父の言葉、忘れたわけでもあるまい。母が産んだのはヴォルディゴードの子。我が血族が、滅びの王——」
アノスはパリントンの懐へ飛び込み、二律剣を抜き放つ
—————二千年前、身重になっているルナが己の子が世界を滅ぼす忌み子となるのではと不安の言葉をこぼしていた。
しかし、父セリスは一蹴する。
「ルナが産むのは彼女の子ではなく、ヴォルディゴードの子」なのだと、
「ルナの子が世界を滅ぼす宿命をお仕着せられようとも、ヴォルディゴードの滅びの根源はその宿命すらも滅ぼすだろう」
それはルナに記憶がなくともまぐれもなく自らの宿命を否定してくれた言葉だった———————
剣閃が光る
パリントンの腕がぼとりと落ちた
笑みを讃え、アノスは言う
彼らの愛を背負いながら
「深層世界の血だからといって、優性だとでも思ったか」
第十三章《聖剣世界》編
- 「過去だからといって、可能性がないと思ったか」
災淵世界イーヴェゼイノはまるで獣が如く聖剣世界ハイフォリアに喰らいつき、二つの世界は接触をしていた。その世界の狭間にてパブロヘタラやイーヴェゼイノの幻獣機関、そして魔王軍が三つ巴の戦いをしている中、イーヴェゼイノ、その《渇望の災淵》にてアノスとイザークが戦いを繰り広げていた。
百の手掌を交換し、千の魔法を互いに受けて、彼らは互いにその五体を削り合う。それは災淵世界が軋むほどに。
戦いの最中、イザークの権能《凍獄の災禍》の効果の見当がついたアノスは《涅槃七歩征服(ギリエリアム・ナヴィエム)》を発動し、一歩、二歩、三歩…と、その滅びの力を解放する。四歩目を刻んだ時、イザークの周りに災禍の氷晶が散り、激しく振動していた世界が凍結した。
彼の深層大魔法《氷獄災禍凛令終天凍土(シヴィラ・エビオン・バルムアーデ)》。
その災禍の氷晶に触れたものは、物体のみならず、魔力や時間、秩序、根源さえも凍らせ、万物余さず、あらゆる活動を停止させる。《涅槃七歩征服(ギリエリアム・ナヴィエム)》を発動しているアノスでさえも刻一刻と凍りついていた。
だが————
滅びの雷鳴が轟いた。
《深掌魔灰燼紫滅雷火電界(ラヴィアズ・ギルグ・ガヴェリィズド)》。無限に可能性を広げるその紫電をアノスが《時間操作(レバイド)》で過去に送り、イザークに雷撃を喰らわせた。
第十四章《魔弾世界》編
- 「魔弾だからといって、撃ち抜けると思ったか?」
場所は魔弾世界エレネシア、火山要塞デネヴの深層にて、第二魔王ムトーの力を利用する大提督ジジとアノスは対峙する。
彼は主神たる神魔射手オードゥスの権能《填魔弾倉》を利用し、第二魔王ムトーの力を引き出していた。
ムトーの有する根源刀を魔弾に変えた《魔弾根源刀(ジ・ガヴロン)》の威力は凄まじく、《極獄界灰燼魔砲(エギル・グローネ・アングドロア)》数発を一方的に切り裂くほどだ。それを受ける方法はアノスにして《二律影踏(ダグダラ)》と《掌握魔手(レイオン)》の組み合わせのみしかない。
しかし、闘いの最中、サーシャから剣を投擲される。
理滅剣ヴェヌズドノアである。
二度も同じ手は喰らわぬとジジは、《魔弾根源刀(ジ・ガヴロン)》を影に向かい発射するが、アノスは《二律影踏(ダグダラ)》を使わずにその根源刀を《掌握魔手(レイオン)》で掴んでいた。
アノスは理滅剣にて理を破壊し、《魔弾根源刀(ジ・ガヴロン)》から魔弾の属性を打ち消していた。魔弾の秩序が強くなるこの魔弾世界で、魔弾の属性が失われれば《掌握魔手(レイオン)》のみで掴むことができるのだ。
- 「かわしたぐらいで、避けられると思ったか」
魔弾世界エレネシアにおいて、魔弾以外は致命傷になり得ない。しかし、理滅剣を手にしたアノスは違う。その理すらも滅ぼせるからだ。
魔法障壁を突破し、剣の間合いに到達したアノスは理滅剣を横薙ぎに切り払う。大提督ジジは身を低くしてそれをかわした。しかし、真っ赤な血が首から噴き出され、大提督の首が飛ぶ。いつぞやかメルヘイスにしたように、剣に関する秩序を破壊したのだ。
- 「影を撃たねば傷がつかぬからといって、影があると思ったか?」
首を飛ばされたジジは、それを魔法線で繋ぎ、銀魔銃砲を手にして、それをアノスの影に突きつける。今回使った根源は丸々一つ分。ジジはこの局面まで護りに使っていた力の全てを、その魔弾に変えていく。
しかし、ジジの影とアノスの影は重なっていた。どちらか片方の影だけを撃つのは不可能だ。しかしジジはその銃口を躊躇なく影へ向け、撃ち放った。
その斬滅の魔弾は魔弾世界の大地を十字に分断したが—————アノスは滅びることは無かった。
理滅剣より、「影」に関する理を滅ぼし、影が出ないようにしたのだ。
第十五章《無神大陸》編
- 「限りがないからといって、終わらぬとでも思ったか」
場所は魔眼世界ゴーズヘッド、玉座の間。
二律僭主ノアに扮しているアノスは、大魔王ジニア・シーヴァヘルドと一分間だけ手合わせをすることとなった。
大魔王ジニアは銀海の歴史上始めて深淵魔法に到達したといわれており、銀海中から畏怖と尊敬を集めている。
そんな彼が有する魔眼は《常闇の魔眼》。万物を果てのない闇へと呑み込み、無効化するという力を持つ。世界を滅ぼす魔法であっても然りだ。
手合わせの最中、アノスも例外なく常闇に呑まれ、途方もない圧力で押し潰される。
そこは、ただただ闇が無尽蔵に広がっており、塵一つ視認できない。己の感覚すらも曖昧で、それがみるみる希薄になっていく。
あまりにも深く、昏く、底が見えない常闇の中、アノスがした行動は—————
「面白い」
「この闇の中でなにも知覚することができぬのは、闇しかないからだ」
「あまりにも深く、あまりにも昏い闇に塗りつぶされ、なにもかもが等しくなる。完全に比較対象がなくなるがゆえに、五感が役に立たぬ。ならば、どうするか?」
そっと目を開く。
左眼には滅紫に染まった魔眼があり、その深淵には闇十字が浮かんでいた。
「この闇をかき混ぜ、濃淡をつけてやればよい」
《混滅の魔眼》。《常闇の魔眼》と同じく、無尽蔵に有するその混沌の力で永遠なる闇をぐちゃぐちゃにしていく。そして、ぐにゃりと闇が曲がり、くっきりと濃淡ができる。そこにはジニアが座っていた。
ジニアはそれに感嘆し、アノスは玉座に向かい歩を進ませながらもこの台詞を言い放った。
- 「二律僭主に扮していたからといって、本物でないと思ったか?」
無神大陸は襲撃者により震撼していた。
その大陸に居合わせた無聖者ラグー、戦士アガネ、覚醒者ノーズ、ミーシャ、サーシャ、そしてロンクルス。彼ら彼女らは大三魔王に挑み、そして敗れた。
第三魔王は最後にロンクルスに櫂を突き刺しながら、彼らの主二律僭主ノアを「裸の王様」だと嘲笑するが、ロンクルスは息も絶え絶えにそれを否定する。
しかし、ヒースはそれを無下にし、《流川操魔(メイヴィア)》にてロンクルスを取り込もうとする。その瞬間だった。
彼の身につけていた二律剣が光り輝き、それが人形をなす。
そこにいたには、自由なる風の象徴にして、彼が裸の王様と断じた二律僭主ノアだった。
ノアはロンクルスを引き剥がしながらも、ヒースの得物である櫂を力ずくで奪って彼を殴打し、驚愕しているヒースに対しこの台詞を言った。
そう
アノスの前世は二律僭主ノアであった————
アノス以外にも様々な人物がこの構文を使用しており、彼ら彼女ら(主に彼女ら)の心が読み取れる。
例
アノス・ファンユニオン
- 「キスしたからと言って、つき合ってるとでも思ったか?」
- 「抱いてやったからといって、心まで奪ったと思ったか?」
- 「昼に会いたいからといって、体目的じゃないと思ったか?」
- 「捨てたからといって、俺のものじゃないと思ったか?」
- 「魔族だからといって、愛魔法が使えぬと思ったか」
サーシャ・ネクロン
- 「魔弾世界だからって、槍が刺さらないと思ったかしら?」
アヴォス・ディルへヴィア
- 「《破滅の魔眼》を使えば、防げるとお思いでしたの?」
不適合者グラハム
- 「刃を砕けば、斬り裂かれないと思ったかい?」
- 「首を飛ばされたぐらいじゃ、死なないと思ったかい?」
- 「根源だけになっても、《蘇生(インガル)》が使えると思ったかい?」
- 「滅ぼしたからといって、それが永遠だと思うかい?」
- 「セリス・ヴォルディゴードの首を失ったら、《波身蓋然顕現(ヴェネジアラ)》を使えないと思ったかい?」