概要
二千年前の《暴虐の魔王》ことアノス・ヴォルディゴードの名前が、誤って伝えられたことにより生まれた、偽りの魔王の名前である。
「始祖の名前は恐れ多くて口にしてはいけない」とされたことで、二千年後に始祖の名前をすっかり忘れて、間違った名前が語り継がれてしまったから。
影響は名前だけに留まらず、魔王の性格も「冷酷さと博愛を併せ持つ、完璧なる存在。常に魔族のことだけを考え、己の身を省みず戦った。欲はなく、崇高な心を持ち、その暴虐な振る舞いも、余人には計り知れない尊き心からくるものだった」という完璧超人のように思われている。
これが原因で暴虐の魔王を対象とした起源魔法が命がけになっている(起源魔法を使うには、その力を借りてくる存在のことを明確に知っていなければならないため)。
物語での関わり(ネタバレ注意)
第三章
レイ=勇者カノンが転生後のアノスを守るために広めたこと噂であることが明らかとなる。
ジェルガ一派に暗殺された後に彼らの魔族に対する憎しみの連鎖を終わらせるために、自らが偽の魔王アヴォス・ディルヘヴィアとして人間側に討たれることを計画。偽の魔王の言い伝えを二千年の間に広めて計画の準備を整えていた。
第四章
実はミサ・イリオローグがアヴォス・ディルへヴィアの噂と伝承をもつ半霊半魔であることが判明する。
二千年前、天父神ノウスガリアがカノンが広めたアヴォス・ディルへヴィアの噂を利用し、アノスの右腕の臣下であったシンと妻となった大精霊レノの間に受胎したミサをアノスを滅ぼす「神の子」とするべく利用。
アヴォス・ディルへヴィアの伝承を基とした精霊が二人の子として誕生してしまう。レノがミサを二千年後の未来にとばしたことで、計画は二千年後に持ち越される。シンはミサを守るため、偽の暴虐の魔王の伝承を絶やさないように世界に広めるというアノスへの裏切り行為をせざるを得なくなる。
現代にてノウスガリアの策略によって
ミサの人格を乗っ取り、アヴォス・ディルヘヴィアとしての真体が覚醒。
皇族派の噂と伝承に従い、皇族主義の魔界を作るべく不適合者のアノスを滅ぼすことを宣言。自らの意思を植え付ける効果をもつ《闇域(デメラ)》でミッドヘイズの七魔皇老を始めとした二千年前のアノスの配下や皇族の魔族を洗脳。理滅剣を掌握する時間を稼ぐ為に策略を巡らす。
終盤、玉座の間でアノス、レイと交戦。レイに霊神人剣の秘奥によって根源をミサのものと分断され、消滅の危機に陥るも、理滅剣を掌握し、その理を滅ぼすことで再度立て直す。掌握した理滅剣でアノスを滅ぼそうとするも、滅紫の魔眼で理滅剣の権能を無効化され、根源を消滅させられる。《根源再生》で再度復活し、自身の魔力を全て理滅剣に注ぎ込み、《破滅の太陽》サージエルドナーヴェを復活させアノスを消滅させようとするも、自分のみが消滅させられ失敗に終わる。
これにより、ミサは消滅の危機に陥るも、アノスとレイの手により噂と伝承に続きが書かれることにより善良な精霊として生まれ変わることになる。