「この海の正義は十分と言えるかな?」
「今、この海において、正義とは悪なのだ。最も大きな問題は、我々は正義の名のもとに、この海に嵐をもたらす」
「かつて、私は人々の正義に期待した。だが、それは裏切られた。だめだったのだよ。この銀水聖海の正義は不十分であり、つまり不完全だ。ゆえに──
──今度こそ、私は完全なる正義を実行する。それこそが絡繰世界デボロスタの元首、正帝ヴラドの使命だ!」
※この記事では、聖王レブラハルド・ハインリエルに成り代わっている正帝を中心に記述する。
概要
絡繰世界デボロスタの元首。正帝の称号を持つ。
また、銀水聖海の強者たちに成り変わり、隠者エルミデを騙って、絶渦の絡繰神を使い学院同盟パブロヘタラで暗躍している。
初登場
第十二章《災淵世界》編、§8.【パブロヘタラの法】にて初登場した。
描写
《渇望の災淵》の底に潜んでいた絡繰神は、災淵世界イーヴェゼイノに聖剣世界ハイフォリアを捕食させようとしていた。
また、大提督ジジ・ジェーンズに成り代わった正帝は、《絶渦》に対抗するため銀滅魔法を開発していた。
それから、第三魔王ヒース・トニアに成り代わったと思われる正帝は、融合世界ボルムテッドの元首でもあったロンクルス・ゼイバットに、かつて親友だったからで片付けることができないほど異常な執着心を見せていた。
そして、聖王レブラハルド・ハインリエルに成り代わった正帝は、聖剣世界ハイフォリアに存在する虹水湖を、《淵》──《虹路の泉淵》に進化させることで、深淵化を進めた。
このように、人によって行動にバラつきがあるように思われるため、具体的な目的が不透明である。
容姿
正帝ヴラド本人の容姿は不明である。
しかし、成り代わった正帝はその人物と全く同じ容姿をしている。
人物
ヴラドは、現在の銀水聖海の正義は不十分であるとし、そして、その不十分で不完全な正義こそが、銀海に嵐をもたらす悪であると主張している。
そのため、銀海に真なる正義をもたらすことを大義としており、自身のことを正義を実行する者と称し、また、今度こそ完全なる正義を実行すると宣言している。
能力
正帝ヴラド本人の能力は不明である。
しかし、成り代わった正帝はその人物と同等の力を持っている。
関連用語
絶渦の絡繰神
隠者エルミデが秩序ではなく、魔法によって創ったといわれる、人工の神族。固形化された水銀の体を持っており、絡繰り人形のような姿をしている。
それから、《絡繰淵盤》にて具象化された石板には、〝――其は、人が創り出した絡繰。其は、進軍する強き兵。其は、深淵へ至る帆船。名を、絶渦の絡繰神という――〟と記されており、絡繰神は《絶渦》を突破し、深淵世界を攻撃し、そこから火露を奪うために創られたと予想されている。
そして、それはフレアドールが《絡繰の淵槽》に《絡繰淵槽水銀創造(ラジナ・ノウズ・リエスト)》を行使することで創ったものである。
また、フレアドールはそれを用いて創った首無しの絡繰神を、奪った首と融合させることで、その首の持ち主の力や記憶、外見を写し取り、成り代わらせていた。
しかし、完全に写し取ることはできず、特に想いが強い大切な記憶などは欠落すると思われ、また、正帝レブラハルドは絵画世界アプトミステに出現した絡繰神との戦いまで霊神人剣エヴァンスマナを抜くことができなかった。
しかし、そうして出来た偽物は、姿も魔力も根源すら本人と見分けが付かず、それは成り代わった人物の世界の主神をも欺くほどであり、更には大魔王ジニア・シーヴァヘルドの魔眼さえ騙していると思われる。