「のう。お前たち、魔王にならぬか?」
「長く待ったがのう。儂と同じく、深淵に至れるのはお前だけじゃ、ノア。今の魔王では、届かぬ」
「だが、《絶渦》は渦動を止めただけ。いつかまた動き始めるじゃろう。銀海の深淵化が進めばのう」
「滅びるのはよい。だが、儂が滅びれば、深層十二界は深淵世界に引き寄せられ、やがて彼の世界に飲み込まれるだろう。この海の深淵化が進むのだ」
穏やかにジニアは語る。
けれども、その言葉の一つ一つに、決して無視できぬ重みがあった。
「どうなるのだ?」
じっとジニアは俺の目を見つめた。
その朱い魔眼で、深淵を覗きながら、彼は言うのだ。
「この銀海の全ては《絶渦》に飲み込まれ、消え去るだろう」
概要
深層十二界を支配し、銀海史上初めて深淵魔法に到達した魔導の覇者。銀水聖海の覇者とも表現される。
人物
容姿
長い白髪と長い白髭を生やした老人の姿をしており、ゆったりとした白い装束を身に纏っている。
後継者候補たる魔王たちですら畏怖する強大な人物であり、その凄まじさたるや第一魔王ジゼルを滅ぼした当時のアムル・ヴィーウィザーをして、声を掛けられるまでその場にいたことにさえ気が付かない程で、その際、アムルに「もしも、彼がその気ならばやられていた」と確信させた。また、「戦えば、確実にやられるだろう」とも思わせていた。
その魔眼は全てを見透し、第五魔王ホルセフィをして〝大魔王の魔眼を欺くことなど不可能だ〟と言わしめている。実際にアノスの前世を一目で看破している。
その反面、性格は極めて温厚であり均衡を重んじる。アノスからは、事前に知らなければ闘いを好む人物とは思えないと評されるほどに、穏やかで穏和な老人。
本人曰く、「善に偏ろうとも悪に偏ろうとも、滅びる生命は皆同じ」とのことで、均衡を重んじるようになった理由として、銀水聖海を滅ぼす大災厄《絶渦》が原因だと思われる。
《絶渦》
《絶渦》とは銀水聖海の遥か底、深淵に至った世界にあるとされる万物を飲み込む渦のこと。
一度渦動してしまえば、小世界すらも容易く飲み込む「銀水聖海の大災厄」と言われている。
現在は、後述のとある魔法によって小康状態を保ってはいるものの、その大災厄を止める代償として、彼は寿命のほとんどを失っている。
その為、《絶渦》の渦動は小世界はおろか、いつしか銀水聖海の全てを飲み込む運命にあるとされる。
如何なる悪性を有した人物でも、《絶渦》による全ての世界の滅びを前にしては、誰もがその滅びに抗うだろうという考えから、均衡を重んじるようになった。
その為、彼の後継者候補たる「魔王」は強ささえあればその人格を問わずに魔王になれたとされる。
描写※近日中に加筆予定
能力
魔眼
大魔王ジニアが有する朱き魔眼。
あらゆるものを永遠の闇の中に幽閉することが可能で、万物を闇に呑み込んで無力化することが出来る。この昏き闇には許容量が存在せず無尽蔵であり、幽閉されたものを途方もない圧力で押し潰すことが可能。
単純な防御や相手への牽制、攻撃への補助も出来る。
アノスの「混滅の魔眼」と拮抗する強大な力を持つ。
魔法
闇の光球を放つ魔法。
その光球に触れるだけで、並の小世界ならばたったの一発で滅亡しかねない程の極めて強大な威力を誇る。
「常闇の魔眼」による魔眼の効果を上乗せできる。