「人の物を盗んではならない。人を騙してはならない。人と絆を作ってはならない。子どもでも知っている道徳の話ですよ」
「私が言っているわけではありませんよ。世界の常識でしょう」
「家族とは滅びの一歩、甘い甘い毒なのです」
「ミネアさん。その剣で世界貢献を行ってください。三人の集団を解体し、一人の誇り高き孤影族を取り戻すのです。勿論、誰を選んでもけっこうです」
「人は孤高でなければなりません。あなたは他者に残酷な夢を見せる不適合者。ゆえに、ここで死ぬのです」
「世界を救う孤高なる英雄か、世界を堕落させる衆愚か。選ぶのはあなたです」
概要
大魔王ジニア・シーヴァヘルドの継承者候補の一人。称号は第一魔王であり、第一魔王アムル・ヴィーウィザーの先代である。
そして、個別世界グラウヴェノアの前元首でもある。
初登場
第十六章《深層十二界》編 §プロローグ 【心力】にて初登場した。
描写
一万七千年前にアムルの父親と母親のミネアを殺害した。
その五年後、リニョルの樹海にて集落を作っていた者たち間引こうとした所をアムルに妨害され、戦闘となるが、不適合者を許さないという彼女の憎悪をアムルの《心火の魔眼》に吸い込まれ、それによって力を大幅に増した彼によって腹を貫かれ、滅ぼされた。
また、彼女が滅ぼされた際に現れたジニアの「ジゼルを滅ぼす子どもがいるとはのう」という台詞から、アムルが台頭するまではジニア以外には敵無しだったと思われる為、当時の最有力候補だったと推測される。
容姿
女性ということ以外は不明である。
人物
冷酷な人物であり、また、典型的な秩序の走狗で、〝孤高〟であることを絶対としている。
そのため、集団を作る住人たちを〝衆愚〟と呼び、間引いて回っていた。
そして、その際には、住人の一人にその集団を解体──つまりは、家族や仲間を殺させ、孤高を強制した。
また、彼女は集団を解体する行為を〝世界貢献〟と称しており、〝家族とは、自分たちを滅びに向かわせる甘い毒〟なのだと主張している。
しかし、アムルはその行動を〝自らの力が衰えることを怖がっている〟からだと指摘しており、また、彼に〝腐っているのはお前だ〟と言われた際には、「腐っている? 私の心がですか?」と心底不思議そうにしていた。
能力
主に、自らが創り出した魔剣を用いて戦っている。
魔法
ここでは、ジゼルが扱う魔法について記述する。
詳細は魔法一覧(魔王学院の不適合者)を参照。
- 《孤斬魔滅掌(グヴェリニア)》
第一魔王ジゼルのみが行使できると推測される深層大魔法であり、あらゆるものを最小の大きさに切り刻む分断の刃を発生させる。
そして、この魔法を行使しようとするだけで深層十二界である個別世界が震撼するほどの桁違いの魔力を秘めており、格下の者が受けるとまず間違いなく滅びは免れず、同格の者でも相殺するのでやっとか、また相性が悪ければ防げないと考えられる。
また、読者の間ではこの「あらゆるもの」の定義は物体のみならず、魔力や秩序にさえ及ぶのではないかと考察されている。