概要
火露を手に入れるために起こる争いを避けるべく、平和的に火露を分配するために、学院同盟に加盟する各世界の主神により作られた同盟であり、多くの小世界の学院が加盟している。
銀水学院パブロヘタラにて講義が行われ、そこでは、異なる小世界同士の者が切磋琢磨し、学び合い、銀水聖海の凪──平和を理念に、代理戦争を行っている。
裁定神オットルルーがパブロヘタラの裁定を司っており、常に中立の立場で様々なことを行っている。
また、彼女曰く、生かすべきは神ではなく、人ではなく、火露。それがパブロヘタラの理念に繋がるのだという。
そのため、深き世界の住人は、浅き世界の住人から何を奪っても構わず、銀水序列戦のルールに則れば、一つの世界を滅ぼすことさえ正当化されるのである。無論、やり過ぎれば聖上六学院からの風当たりは強くなるが、逆に言えばその程度で銀泡が奪えてしまうということでもある。
これらのことから、二律僭主の執事ロンクルス・ゼイバットは、〝パブロヘタラは古く巨大な、そして悪しき階層制度の象徴であり、泡沫世界を一方的に搾取し続けている〟と言っており、第五魔王ホルセフィも「銀水学院……か。あれは悪しき階級制度の表れだ」と発言している。
そして、二律僭主ノアはパブロヘタラで暗躍している正帝を監視するため、パブロヘタラ大陸が停泊している小世界に、樹海船アイオネイリアこと幽玄樹海を置いていた。
形状
銀水学院パブロヘタラは巨大な浮遊大陸であり、都市中央にある巨大な宮殿──パブロヘタラ宮殿の周囲には、ミッドヘイズの十倍以上の敷地面積をもつ都が形成されていて、大陸は常に魔法障壁に覆われている。そして、パブロヘタラに入る際には、魔法障壁の一部が解除される。
また、宮殿に隣接する湖が船着き場となっていて、そこにある船の形に合わせて変化する白の魔法陣に着水することで、水泡が船を包み込み、それが船を水底に幾つもある洞窟に入らせ、そこを浮上した先にある格納庫に移動させる。
入学
パブロヘタラに入れるのは、学院同盟の関係者のみであり、そこへ入るには、同盟に加盟しなければならない。ただし名目上、銀水学院に入るには、まず小世界における代表的な学院の生徒である必要がある。そのため、各学院に所属する者は、その小世界でも名だたる実力者である。
そして、パブロヘタラの門番に仮入学の手続きを取ってもらい、自世界の主神と元首の同意があれば仮入学が完了する。その後、学内で一定の条件を満たせば、正式に学院同盟の一員に迎えられる。
正式加盟条件の詳細は、銀水序列戦において、登録する生徒の数だけ敵軍から校章を奪えば、パブロヘタラへの学院同盟へ正式に加盟する権利を得ることができる。
役割
パブロヘタラの領海内にて放出された火露は、一旦、学院同盟が回収する。そして、パブロヘタラ内で行われる銀水序列戦や銀水将棋の勝者に、その火露を分配する。また、学院間の紛争は銀水序列戦にて決着をつけるのがパブロヘタラの習わしとなっている。
それから、パブロヘタラは海域内の治安を守っており、特に泡沫世界や浅層世界に無断で入ろうとすることは、侵略行為と見なしている。そのため、海域内にある未加盟の泡沫世界なども守護の対象である。
パブロヘタラ学院条約一覧
第一条
銀水聖海に嵐を起こした小世界は主神を滅ぼし、その火露のすべてをパブロヘタラのものとする。聖上六学院にて異議が出なければ、これを実行する。
第三条
学院間に発生した紛争は、これを銀水序列戦の結果において解決する。勝者の主張が認められ、敗者の弁は意味をなさない。
第四条
不可侵領海への対処は聖上六学院の元首及び主神が行う。
第五条
パブロヘタラへの敵対表明ないしは明確な敵対行為を行った小世界は、当学院同盟を除名される。
第七条
法廷会議における証人、参考人、被告人は発言に偽証がないことを誓い、違えた場合は自らの一切を放棄する。ただし、黙秘の権利を有する。
関連用語
銀水序列戦
パブロヘタラ内にて行われる、各世界同士の力を比べ合う学院別の序列戦。自由海域にて行われる火露の争奪戦であり、模擬戦争である。パブロヘタラが回収した火露が対戦する両学院に渡され、これを奪い合う。相手の全ての火露を奪取するか、敵軍を戦闘不能、あるいは殲滅、元首及び主神が降伏を申告することで勝敗を決する。また、生死は問わない。
そして、銀水序列戦で主神が滅びた場合、その小世界は火露を維持できなくなり、銀海に溢れ出す。その火露を回収する権利は滅ぼした学院にあり、平たく言えば火露の所有権が移る。
勝者は、相手の小世界を自世界の秩序に書き換えることで植民地とするか、その火露の全てを自世界に取り込み、より深層を目指すかを自由に選択することができ、また、相手の小世界を植民地とし、半分の火露を自世界に取り込むといったことも可能である。
また、小世界を植民地にする利点は、パブロヘタラにおいては、序列の向上に有利に働くという点と、銀水序列戦では銀泡の所有数が多い方の自由海域が舞台となるという点である。
しかし、対戦する両世界の所有する銀泡の数が同じ場合は、序列が上の小世界で序列戦が行われる。
そして、何も知らない者からすると、銀水序列戦は模擬戦争ではなく、本物の戦争のように思えるが、銀水聖海において真の戦争とは、一つの銀泡が消滅の危機に曝されるのである。
銀水将棋
パブロヘタラ宮殿の最深部にある《絡繰淵盤》上で行われるもので、創造魔法を使い、駒を生産し、それを奪い合う模擬戦争である。勝利条件は敵軍の王の校章を奪うこと。
そして、術者と創造される駒はいずれも兵であり、持てる力全てを駆使して勝利を目指す。駒への直接攻撃も可能で、ルール違反は存在しない。
火露を使い、《創造建築(アイリス)》にて硝子、帆、人形を創り、それを《三位一体(ジルクセイド)》にて融合させ、駒──銀水機兵をつくる。
そのため、銀水将棋は、小世界そのものを駒にするといっても過言ではない。
浅層講堂
主に浅層世界の学院の生徒が講義を受ける場所。中央に円形の教壇があり、席は全方位に設けられていて、教壇をぐるりと取り囲むように、椅子と机が整然と並べられている。
中層講堂
主に中層世界の学院の生徒が講義を受ける場所。また、講堂の選定は序列によっても左右されるため、浅層世界の生徒が序列を上げ、中層講堂での講義や訓練を経て、中層世界に進化するというのが一般的である。
深層講堂
主に深層世界の学院の生徒が講義を受ける場所で、聖上六学院の生徒が講義を執り行う。また、講堂の選定は序列によっても左右されるため、中層世界の生徒が序列を上げ、深層講堂での講義や訓練を経て、深層世界に進化するというのが一般的である。
洗礼
新しく深層講堂に来た学院が受けるパブロヘタラの伝統。
オットルルーが展開する《異界講堂(ゴゾット)》の中で行われる。
『構築者』を一人選び、その者は任意の魔法陣を構築する。その他の生徒は『行使者』となって、『構築者』が展開した魔法陣を使って魔法を行使する。構築者が見本を見せ、それと同じ魔法を発動できたら成功となり、できなければ失格となる。失格した者を除き、構築者を変更して洗礼を続けるというルールで行われる。それを三周して失格にならなければ合格で、不合格なら序列五十位、中層講堂からやり直しとなる。
また、他人が構築した術式で魔法を使うのは難しいが、他者が構築した魔法陣というのは、術式の構築を補助されているに等しいため、難度は高いが独力では行使できない魔法も、そのやり方なら行使できる。
つまり、魔力の制御と魔法技術を試されるというわけである。
しかし、難しいのは、異なる世界の魔法を使うという点で、自らの世界より深い世界の魔法を行使するとなれば、普通ならば知識が足りない。
そのため、新しく深層講堂に来た学院には不利なものとなっている。
第一浅層講堂
浅層講堂の一つ。
第二深層講堂
深層講堂の一つ。
第三深層講堂
深層講堂の一つで、全学院が参加する特例の六学院法廷会議の際に使われる。闘技場の観客席のように、円形階段状になった席が設けられており、中央の教壇は六角形となっていて、格式高い机と椅子が設置されている。それは、周囲の席からは教壇を上から覗くような格好になっている。
聖道三学院
第二深層講堂のトップである三つの学院のこと。
聖上六学院
パブロヘタラの序列六位までを指す。最近まで序列第一位は魔弾世界エレネシアだったため、パブロヘタラ宮殿は第七エレネシアに停泊していた。第二位が聖剣世界ハイフォリアであり、この二界に、長らく三位以下の小世界は追随できていなかった。しかし、様々な事件を経て序列が変動し、序列第一位がハイフォリアになったため、パブロヘタラ宮殿は第四ハイフォリアに移動した。
また、聖上六学院に浅層世界の住人から声をかけるのは礼を失するため、聖上六学院から声が掛かるのを待つのが習わしであり、あるいは序列が十位以内にまで上がれば、その機会も与えられる。
六学院法廷会議
聖上六学院が参加し、パブロヘタラ全体の様々な意思決定を行う。議題によって全会一致か多数決かが変わる。また、法廷会議中の退出は認められておらず、強行した場合は、パブロヘタラの法に反した罰として、小世界の火露が一割徴収される。
それから、序列第一位の世界の権限によって、緊急決議を行うことが可能であり、多数決によって結果が決まる。
聖上大法廷
六学院法廷会議が行われる場所で、パブロヘタラ宮殿の下層に位置している。六角形の部屋となっている。周囲には角ごとに格式高い机と椅子が用意されていて、法廷会議に招致された証人、参考人、被告人は六角形の中心に立たされる。また、部屋のどこにも扉や窓はなく、転移の固定魔法陣でしか出入りできないようになっている。
起源
パブロヘタラは、銀水世界リステリアが唯一残した学院であり、オットルルーが《絡繰淵盤》と火露と銀水を用いて、パブロヘタラ宮殿の廃墟を具象化させ、その際に火露の力を使って修繕したものが、現在あるパブロヘタラ宮殿である。
かつては浅層世界や中層世界が中心であり、リステリアはパブロヘタラとその理念のみを提供し、自らは決して表に出ようとはしなかった。
なぜならば、隠者エルミデの理想は、皆で話し合い、皆で決定する同盟であるため、深層世界の存在が明らかになっては、上手くいかないと考えたからである。
そして、一万四千年前に正帝と子爵フレアドールが銀水世界を落とし、名実ともに銀水学院をパブロヘタラに改造して、その千年後に魔弾世界を加盟させて他の深層世界を呼び込んだことで、現在の学院同盟となった。
同盟世界一覧
聖上六学院
ここでは、聖上六学院に入っている小世界、並びにその学院について記述する(元を含む)。
序列第一位、聖剣世界ハイフォリア。狩猟義塾院
詳細は小世界を参照。
序列第二位、転生世界ミリティア。魔王学院
詳細は小世界を参照。
序列第三位、鍛冶世界バーディルーア。よろず工房
詳細は小世界を参照。
序列第四位、傀儡世界ルツェンドフォルト。人型学会
詳細は小世界を参照。
序列第五位、呪歌世界ディメディオン。呪術音楽院
詳細は小世界を参照。
序列第六位、教育世界ローデンヌ。啓蒙学府
詳細は小世界を参照。
元序列第一位、魔弾世界エレネシア。深淵総軍、魔潜軍士官学校
詳細は小世界を参照。
元序列第四位、夢想世界フォールフォーラル
詳細は小世界を参照。
元序列第五位、災淵世界イーヴェゼイノ。幻獣機関
詳細は小世界を参照。
聖道三学院
ここでは、聖道三学院に入っている小世界、並びにその学院について記述する。
序列第七位、聖句世界アズラベン。聖句寺院
詳細は小世界を参照。
思念世界ライニーエリオン。百識学院
詳細は小世界を参照。
粉塵世界パリビーリャ。道化一門
詳細は小世界を参照。
深層講堂
ここでは、聖上六学院と聖道三学院を除く、深層講堂に入っている小世界、並びにその学院について記述する。
序列第十三位、水算世界サイライナ
詳細は小世界を参照。
序列第十一位、瘴気世界ヒンズボル
詳細は小世界を参照。
絵画世界アプトミステ
詳細は小世界を参照。
不明
ここでは、在籍している講堂が不明の小世界、並びにその学院について記述する。
銀城世界バランディアス。虎城学院
深層世界だが、敢えて序列を低く調整していたため、どの講堂に在籍していたのかは不明だが、中層講堂だと思われる。また、転生世界との銀水序列戦に敗北した際に、泡沫世界に転落したため、現在の講堂も不明である。
詳細は小世界を参照。
鋼鉄世界ドルケフ
どの講堂に在籍しているのかは不明だが、パブロヘタラの構造から考えるに、中層講堂か深層講堂のどちらかだと考えられる。
詳細は小世界を参照。