概要
世界が内包する力そのものであり、あらゆる根源の元となるもの。根源に作用する理が可視化されたもの。
敢えて表現するならば、〝世界の根源〟とも呼べる。
世界の秩序の強さは、その世界が内包する火露の総量にほぼ等しく、またそれは小世界全体の魔力の多寡に直結する。それ故に、火露の保有量が多いほど世界は深層へと沈み、それに比例して世界やそこに住む者たちはより頑強に、より強大になっていく。
そのため、銀水聖海では度々、小世界同士の火露の奪い合いが発生しており、戦火に焼かれた両世界が共に消滅する事態も起こる。
裁定神オットルルー曰く、火露は誰のものでもなく、それは銀水聖海にあまねく秩序であり、火露は海を渡り、様々な泡の中を旅するものなのだという。
転生世界ミリティアでは、火露が神々の蒼穹の深奥にある樹理廻庭園ダ・ク・カダーテにて循環している。
移動
火露の移動は自然には起こらない。なぜなら、小世界においては主神がその秩序を保ち、火露が外へ漏れることがないようにしているからである。
そして、主に火露の移動が起きるのは泡沫世界であり、その世界は未進化、つまり主神と元首がいないため、秩序の整合が取れず、それ故に火露を留めておく秩序が存在しないので、火露が勝手に漏れ出てしまう。
そうして漏れ出た火露の受け皿となるのが、進化した銀泡であり、より多くの火露を抱えた小世界は更に深淵へと沈んでいくのである。
輪廻
根源が滅びると、それは火露となって、どこかでまた新たに根源を得て生きてゆく。
それは、銀水聖海では一般的に新生とされており、原初が同じなだけの別人というのが常識だが、転生世界が成立してからは、浅きから深きへ流れるという銀海の秩序により、第一層世界以下全ての世界に転生の秩序が行き渡って行った。
その結果、あらゆる人々は姿を変え、力を変え、記憶を失っても、想いだけは残るようになった。
そして、その者が真に望むのなら、大切な人と再び巡り合うことができるかもしれない。
汚染、消失
現時点においては、火露を人為的に滅ぼす手段は存在しないが、銀滅魔法にて汚染──火露としての働きをなくすことができる。
また、オットルルー曰く、泡沫世界に戻すことで、火露の消失を招くとされるのだという。
つまり、火露を汚染、間接的に消失させることは可能だが、火露自体を直接的に滅ぼすことは現時点では不可能なのである。