時透有一郎
ときとうゆういちろう
「だけどな無一郎 どれだけ善良に生きていたって神様も仏様も結局 守ってはくださらないから
俺がお前を守らなければと思ったんだ」
概要
無一郎の双子の兄。享年11歳。
双子だけあって無一郎と見分けがつかない正に瓜二つな容貌をしており、腰に届くほどの髪を伸ばした小柄で中性的な少年。髪色は黒から毛先にかけて青のグラデーションになっている。
人物
弟の無一郎に比べ冷酷とも言える程厳しい性格で、正論ながら何かとキツイ物言いが目立つ少年。
しかしそれは全て家族や弟を思いやり、人の為に身を削りがちな彼らを守りたいと思うからこその言動であり、本人もひどい物言いが多い自分を気にしていた。
記憶喪失だった無一郎の「概ね正しくも残酷」と評される言動は彼に似ていたらしく、兄弟の死を無意識に忘れたがった無一郎が有一郎と自分を同一視したがった為とも取れる。
最期
本編の時間では既に死亡している為、全ては無一郎の回想となる。
十歳の頃、体調が悪いのを黙って働き通した母が風をこじらせて肺炎で死亡し、父もまた嵐の中を薬草を探しに出て崖から転落死した。
有一郎は母に何度も休むよう言い、嵐に構わず出ていこうとする父を止めたが、そんな息子の心配を余所に両親は死んでしまった。どれだけ善良に生きても神も仏も助けてくれない。なら自分が弟を守るしかないと、鬼殺隊に二人を勧誘しに来たあまねのことを「なにか企んでるに決まっている」と追い返した。有一郎を鬼殺隊に誘う無一郎にも、「人を助けるなんてのは選ばれた人間にしかできない」「俺達にできることは犬死にと無駄死に」と厳しい言葉で反対する。
しかし、ある夏の夜に戸を開放して寝ていた兄弟を鬼が襲い、有一郎は左腕を切り落とされ致命傷を負ってしまう。無一郎は怒りのままに鬼を殺し続け朝日で灰にした後、瀕死の体で兄の元へ戻り、必死で手を伸ばす。
既に命もろとも意識も失おうという有一郎は今際の際に「無一郎の無は無限の無」「お前は自分ではない誰かのために無限の力を出せる選ばれた人間なんだ」と言い残し、弟の目の前で果てた。
無一郎は兄を冷酷な人で自分を嫌っていると思い込んでいたが、「どうか弟だけは助けてください 弟は俺と違う心の優しい子です 人の役に立ちたいというのを俺が邪魔した」と今わの際で祈り、優しくしてやれないことを申し訳なく思いながらも、それでも家族を守りたかったのだ。
余談
単行本14巻のおまけにて、幼い有一郎がべそをかく無一郎と手を繋いでいる様子を、洗濯中の母が笑みを浮かべて見守っている様子が描かれている。