川崎殺傷事件
かわさきさっしょうじけん
概要
2019年5月28日に川崎市多摩区登戸新町で発生した、私立小学校行きのスクールバスを待っていた児童の一団に、男が刃物で襲い掛かり児童や保護者を殺傷した事件。
2人の死亡者と18人の重軽傷者を出した。
犯人の男は現場で自ら首を切って自殺し、被疑者死亡として不起訴処分となった。
死亡者のうち1人は同校に通う6年生の女生徒で、もう1人は別の生徒の父親であった。
死亡した男性は外務省勤務でミャンマー外交のスペシャリストとして知られた存在であり、ミャンマー語にも堪能で皇族や政府要人の通訳を任されるほどの実力者でありミャンマー人達からの信頼も厚かった。
このため、河野太郎外相や岸田文雄元外相、ミャンマー国家最高顧問府大臣のチョウ・ティン・スエがお悔やみのコメントを述べ、上皇ご夫妻も遺族にお見舞いの書簡を贈った。
犯人像とその過去
犯人は51歳の男性で、幼少期に両親が離婚。伯父(父方の兄)夫婦に預けられて育てられていたという。近年では自室にこもりがちで、同じ屋根の下に住む伯父夫婦とも顔をあわせることもなく簡単な連絡事項の手紙をやり取りするのみで、時折買い物で外出はするものの携帯電話も持たずインターネットすらやっていた形跡はなかったという。
事件の前の時期、伯父夫婦が80過ぎと高齢になったこともあり、介護サービスの準備をしたり、男に対して自立への働きかけ目的で市の担当者が自宅に出入りして手紙でコンタクトを取ろうとしたことに「自分のことは自分でやっている。食事や洗濯も自分でやっているのに、ひきこもりとはなんだ」と激昂していたという。
しかし、犯行に出かける前にこれと言った声明文などを残していたわけでもなく、現場で自ら命を絶ってしまったこともあり、犯行動機はわかっていない。
事件の余波
このしばらくのちの2019年6月1日に、元農水相事務次官の高齢男性が息子を殺した事件が発生。
逮捕された元事務次官の供述によると、彼にも引きこもりの息子がおり最近攻撃的な言動があったため「川崎の事件のようなことを起こしてしまうのでは」という恐れから殺してしまったということである。