東アジアにおける「上皇」
中国・朝鮮・ベトナムにおいて、退位した皇帝「太上皇帝」や「太上皇」の略称である。
中国での例
朝鮮での例
日本における「上皇」
日本において天皇が皇太子に皇位を譲り、その後の尊号として使われた「太上天皇」の略称。
日本の歴史教科書や歴史辞典などで「〇〇上皇」「△△法皇」と書かれるのは当代の「天皇」が在位中だからであって、系図上では「〇〇天皇」「△△天皇」と書かれることとなる。
過去の太上天皇の例
持統天皇ー「太上天皇」を初めて称する。
後白河天皇ー「日本一の大天狗」。
光格天皇ー近代以前において最後に譲位した天皇。
親王から太上天皇となった例
- 後高倉院・後崇光院・陽光院(誠仁親王)
- 慶光天皇(閑院宮典仁親王)
※後高倉院、慶光天皇とも「歴代の天皇」には加えられてない。
退位特例法における「上皇」
平成28年(2016年)に、譲位の意向を示された(当時の)明仁天皇は「おことば」を表明。ここから、天皇退位の議論が始まった。そして、国民的な議論を経て平成29年(2017年)に「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」が国会において成立公布。
平成31年(2019年)4月30日をもって(当時の)皇太子・徳仁親王殿下に譲位、天皇陛下は退位後に「上皇」陛下(英:His Majesty the Emperor Emeritus=名誉天皇)、皇后陛下は「上皇后」陛下(英:Her Majesty the Empress Emerita=名誉皇后)との称号になられることが定められた。
名称に関しては、当初は「元天皇」や「前天皇」など味気無い案が出ていたが、歴史を鑑みて「太上天皇」とする案が浮上した。しかし、「太上天皇」が過去に院政などを行っていたことや「太上」という字が新天皇より上というイメージを持ち二重権威に繋がるなどの意見が出て、これまでの歴史とは違うニュアンスを込めて略称の「上皇」が選ばれた。
しかし、保守勢力などからは「略称を正式称号にするとは不敬」や「新語を作りたかっただけ」といった否定的な意見も少なくなかった。
現在の上皇は、明仁上皇(第125代天皇)