概要
元首(げんしゅ、英語:Head of State)は、国の対外的代表権を有する人物。詳細については国家元首を参照して欲しい。
各国の例
ロシア連邦
大統領は国家元首であると共に軍の最高司令官として、政治・軍事・外交において強力な権限を有している。首相・閣僚を任命できる他にもアメリカの大統領には無い立法権を有しており、議会が制定した法案を拒否するだけで無く、自分に都合の良い法案を立案する事も可能である。首相は内政のみに責任を負い、外交・国防の関連省庁を所轄する権限を保持しない。
スウェーデン
国王は国家元首であると共に国の象徴であり、1974年2月に国民主権と議会制民主主義を基本原則とする新憲法が制定され、ここには「政府が王国を統治し、政府は国会に責任を負う。」と明確に記載された。これで国王は大権の大半を失い、儀礼的・国の代表的な権能の行使のみが保障された。政府の運営は首相が執行し、この他にも内閣の他の閣僚を任命する。
アメリカ合衆国
大統領は国家元首であると共に軍の最高司令官として強力な権限を有し、厳格な3権分立によって権限が完全に分離している。立法権を一切有していない為、議会が制定した法律に従って行政権を行使するしか無いが、一応拒否権は発動できる。副大統領は大統領が死亡・辞任・免職などで欠けた時に昇格し、一時的に職務を遂行できなくなった時は臨時に権限を代行する。
日本
憲法などでは国家元首が明確に規定されていないのでしばしば議論の的となるが、対外的には天皇が儀礼的な国家元首として扱われる事が多い。
古代ローマ
最高権力者を指すプリンケプス(Princeps)という呼称があり、ラテン語で指導者・第一人者という意味である。これはローマ皇帝の事だが、創設者のオクタウィアヌス(アウグストゥス)が自分に突出した権限を与えつつ、その権限を元老院や民衆に専制君主制を連想させない穏当な名称として複数の職権を組み合わせて作った立場である。これで3世紀の混乱を経たディオクレティアヌス帝による専制君主政が確立するまでの政治体制を元首政(プリンキパトゥス)と後世称している。
元首の称号の例
君主国
共和国
その他
教皇またはローマ教皇・国家主席・国家評議会議長・最高会議幹部会議長などがある。
主権者と元首
しばし同一性があるものと考えられる事があるが、主権と元首は異なる概念である。主権とは実際の権限を行使する事が出来る主体であり、元首とは対外的な代表者を意味する権威あるいは象徴的なものである。
大日本帝国憲法での日本では、主権を元首たる天皇が保持するものとされ、臣民の権利は天皇によるとされていた。今日ではこのように君主大権としての主権を有する君主の例は減少しており、主権者である国民の総意によって、元首たる君主を成立させる厳格な立憲君主制が主流となりつつある。日本以外でも例えばベルギーなどは元首を国王・主権者を国民と明記しており、両者が異なるものである事が分かる。
共和国では元首が主権者から選出される国も数多いが、あくまで主権者の中から元首が選出されるというだけであり、全ての主権者が元首である国は2023年9月時点では存在しない。