概要
2017年に公開された下村雄二監督作品。
今作は狂武蔵以降、俳優引退を表明していた坂口拓氏の復帰作として作られたもので、所謂自主製作映画の部類の作品ではあるがキャストが拓氏の人脈によって豪華な面々が揃えられていたりと色々と異色な作品である。
本作の特徴的な要素の一つとして「ゼロレンジコンバット」という稲川義貴氏が作り上げた戦闘術を用いており、稲川氏も俳優として参加している。
あらすじ
とある山奥の演習場で、訓練していた国防軍の特殊部隊が、正体不明の敵1人に全滅させられる事件が起こる。そこで行われていた訓練とは「対ゴースト戦」と称した一個小隊30名で一兵士を殲滅することを目的とした、一対多数の制圧作戦であった。
かつて選りすぐりの傭兵達を集めたある特殊部隊に所属していた黒田敏郎は、現在は石川県加賀市でコンビニの店員をしながらサチという少女と、表向き仲睦まじく暮らしていた。しかし、身に潜む破壊と殺戮の衝動を薬とカウンセリングで抑え込み安穏とした日々を送る中、敏郎の精神は徐々に限界を迎えつつあった。
ある日、不穏な空気を感じ取った敏郎は町で自分を狙った殺し屋を返り討ちにする。それは、過去に敏郎が壊滅させた部隊のリーダーであったファントムと呼ばれる男からの刺客だった。ファントムは自分を裏切った敏郎を処刑すべく、敏郎の元相棒であり彼と同等の戦闘力を誇るアビスウォーカーを雇い、数々の刺客を差し向ける。闇に紛れそれを淡々と処理していく敏郎に、傭兵時代の元同僚で後輩の真壁健二から動けない自分の代わりにと、2人の部下マックスとマサルが助っ人としてやって来るが、健二もまた戦えない自分に鬱憤を抱えていた。日常の裏での戦闘が続く中、健二は「戦って死にたい」と敏郎に懇願するも、一喝される。
そんな中、サチが拉致されてしまう。
登場人物
- 黒田敏郎
演:TAK∴
元特殊部隊の隊員であり元傭兵。
かつてはファントム指揮下の元でアビスウォーカーと共に戦っていたが、ファントムが子供を使った非人道的な実験を行っていたことがキッカケで離反し、自分の所属していた部隊を壊滅させた。
現在は助け出したサチと暮らしながら片田舎でコンビニ店員として働いていたが、かつての闘争心と殺戮衝動がくすぶっており、それを薬やカウンセリングで抑えていたが、ファントムによって刺客が差し向けられる。
- サチ
演:近藤結良
10代ほどの少女で明るい子だが、車に轢かれた猫の死体を表情を変えずに抱えたりとどこか異質な面を持っており、かつてファントムの洗脳実験の実験台にされていた一人。現在は敏郎と共に暮らしているがファントムによって拉致される。
- 真壁健二
演:斎藤工
敏郎が特殊部隊に所属していた時期の同僚で、敏郎が離反した際、彼を庇って爆発を受けたことで視力を失い、下半身不随になる大怪我を負っている。
現在は車椅子生活だが、それでも自分を慕っている部下二人を瞬時に拘束できるなど、その技量は衰えていない。
「戦って死にたい」という願望を持ち、敏郎に自分を一緒に戦いに連れて行くように言うが一喝される。
敏郎が物語後半に使っているカランビットナイフ、クレッセント・ブレイド・シャイニングは彼が自分の体のリハビリも兼ねて作り上げた敏郎専用の物。
- アビスウォーカー
演:稲川義貴
敏郎を狙う刺客の一人。
かつて敏郎と同じ部隊に所属していた隊員で彼とは相棒で光と影の関係だった。
彼も敏郎同様に高い実力を持ち、数十人の一個小隊を単独で制圧できるほどの力を持つ。
基本的に誰とも組まず単独で動き、敵味方問わず殺害する。
また、ファントムの洗脳を受けていた節が見られる。
彼が終盤に敏郎との戦いで使うカランビットはクレッセント・ブレイド・ダークネスと呼ばれるもので人毛等が編み込まれた不気味なナイフである。
全編通して声が加工されており、マスクが脱げた時もそのままだった。
- ファントム
演:大塚明夫
敏郎が所属していた特殊部隊の指揮官で元上司である。
過去に子供を使った実験を行っており、それが原因で敏郎に離反され自分の部隊を壊滅させられた。
敏郎を殺すためだけに大量に刺客を送り込み、復讐を果たそうとしている。
特殊な催眠術の様な技を持っており、それを使って敏郎やアビスウォーカーを追い詰めていた。
また、病に侵されているようで劇中では血の混じった咳を何度も吐いている。