黒桐幹也の妹。
略歴
小学校中学年の頃に幹也への恋心を自覚し、以来幼いながらにその想いを成就させんと様々に画策する。病弱であるかのように周囲を騙し、都会の空気は合わないので田舎に引っ越す、という理由をでっち上げて有名画家であった叔父の家に養子に出る(父親の兄弟にあたるので姓はそのまま)。勿論、血縁である事実は変わらないので戸籍を移したからといって結婚できるようになるとかそういうことではないが、このまま近くにいては幹也は自分を妹としてしか認識できなくなる、という危機感ゆえである。それによって一旦距離を置き、中学に入った年の正月、いよいよ攻勢でるぞと勢い込んで黒桐の家へと乗り込んだ鮮花が目にしたのは、幹也の隣にいる両儀式だったというオチ。彼女にとっては「とんびにあぶらあげ」であった。どうせ幹也はずっとひとりものだろうから、と油断しているうちに式に幹也を持っていかれた悲劇のヒロインである。
その後、式が事故で昏睡状態になって安堵した(一応、式の事は気の毒には思っていたが)ものの、二年後に式は覚醒。これはマズい、と高校卒業後の大学進学時に上京する計画だったものを前倒しにして、幹也の傍にいたいがために礼園女学院に転校する。
人物
起源が「禁忌」であることから実の兄を一人の男性として愛する。計算高く、兄に自分を「妹」でなく「女」として見てほしくていろいろな工作を巡らせる、羊の皮を被った狼を地で行く少女。だが式一筋の幹也にしてみれば最初から眼中にないため、空回りばかりで何かと苦労が絶えない。狙った獲物は逃さないたちであり、一途で可憐でちょい歪んだ愛情は、ちょっとやそっとでは消えやしないので、諦めるつもりなど毛頭ない。
なお、幹也への好意を自分では隠しているつもりらしいが、式や橙子には筒抜け。
全国模試に十位以内に入るほど成績優秀で更に容姿端麗と非の打ち所のない優等生……の仮面を被っている。実際には目的のために手段を選ばないところがあり、度々寮を抜け出す(勿論形式上の許可は得てだが)など、学院にとって必ずしも模範的な生徒とは言えない。もっとも、礼園女学院経営陣にとっての鮮花は家柄のよいお嬢様として入学を許したわけではなく、「学院からは毎年名門大学へ進学する生徒がいる」という箔をつけるためにいる、鮮花いわく「傭兵」のような生徒であるがゆえに見逃されている。
能力
「発火」の魔術が唯一にして最大の得意技。炎で対象を焼くのではなく、対象自体に発火してもらう、という攻撃方法。実は鮮花には魔術師としての才能(魔術回路)はない。しかし、先天的な属性として発火現象を持っていた為、その発動・制御のために火付けの魔術を習っているというのが実態。まだ魔術の組み立てが未熟な為、戦闘時には師の蒼崎橙子からもらった火蜥蜴の皮手袋をはめる。発動用の詠唱には音楽記号を用いる。これは鮮花が魔術と戦闘を楽曲だと捉えている為。
当然、その一芸に特化して汎用性がない。「魔術師見習い」ではなく「魔術使い見習い」。しかし鮮花は別に魔術師になりたいわけではなく、式への対抗手段として魔術を習っているので、そのことを気にはしていない