あらすじ
古代人は人間の身体能力を遥かに超えた存在「鍵人」と呼ばれる人間兵器を開発。しかしやがて鍵人同士の争いが起こり文明は崩壊した。主人公・ツバメは仲間達と砂海で古代文明の遺物を掘り起こし、資源として金に換える「サルベージ」を生業として暮らしていた。そこへ、流砂に飲まれ遭難したガッビア帝国の女性少佐・チルダがやって来る。脱獄死刑囚「58番」の捜索と信じてやってきた彼女だったが、ツバメ達と接する中で、軍の真の目的と「鍵人」の力を目の当たりにする。
主要キャラクター
ツバメ
鍵人で、「断空」の鍵の唯一の適合者。鍵穴は右手首。一部だけ赤い前髪と右半身のみツバメ柄の上着が特徴。サルベージ団のボス的存在。趣味は読書。その正体はガッビア帝国の脱獄死刑囚「58番」であり7年前の処刑前日に逃亡して以来行方を眩ませていた。自分と同じ名前の渡り鳥・燕のように自由に生きたいと願っている。
チルダ・ポートマン
ガッビア帝国軍の少佐。黒いショートヘアに褐色の肌で、騎士道めいた言葉遣いも特徴的。肩と太ももを大きく露出したボディスーツが一部のファンに好評。ポートマン家はガッビア帝国に対しての発言力が大きく、彼女もまた若くして少佐の階級を与えられている。「58番」の捜索・抹殺の任務を負い砂海へやって来るが流砂に飲まれて遭難してしまい、ツバメによって助けられる。元々任務について疑問を抱いていたが、ツバメやサルベージ団のメンバーと出会ったことで隠された真実に触れる。
絵について
カラーページや見開きページで見られる、広大な空間をとらえる感覚が突出している。
キャラクターのコミカルな部分としての表情の抜き具合もうまい。
前作の『瞳のカトブレパス』から大きく変化しており、アシスタントを務めていた荒木飛呂彦譲りの骨太さは影を潜め、特に人物には田島昭宇のような線の細い描写が目立つようになった。
描きどころ
砂海にほぼ埋まっているもののちょっとだけ姿が見えている建造物(ビルや電柱や地下鉄)や、
砂海の終点などで見られるディフォルメ感のあるT字型の建造物。
その他
ツンデレを内包したチルダを始めとする魅力的なキャラクターや、女性ファンに好まれそうな繊細な絵柄、「鍵」の設定など、化ける要素はあったものの惜しくも人気を得るには至らなかった。
単行本はジャンプ作品には珍しく上下巻で発売される予定。
上巻 12月4日(金)
下巻 2月上旬