メタルスキンパニックMADOX-01
めたるすきんぱにっくまどっくすぜろわん
概要
『メタルスキンパニック MADOX-01』とは、1987年にリリースされた日本のOVA。
製作はアートミック。1987年12月16日にポニーキャニオンからVHSおよびベータのビデオテープで発売。1988年1月21日にレーザーディスク。2003年9月26日に東芝デジタルフロンティアからDVDがそれぞれ発売された。
近未来に、日本の企業、自衛隊、および米軍が共同でパワードスーツを開発、それがひょんなことから一般人が乗り込んでしまい、騒動を起こす……という内容である。
主役パワードスーツ・MADOX-01は、日本企業・自衛隊・アメリカ軍の共同開発品という設定であることから、作中に登場する当時の自衛隊の演習風景が映像特典として収録されている。
物語
近い未来。
自衛隊と、日本の某企業は、米軍と共同で、対戦車用新型陸上兵器「スレイヴ・トルーパー」を開発していた。
その試作一号機「MADOX-01」は、コンテナに積載されていたが、秘密裏に輸送していた運搬車両が事故を起こし、失われてしまう。
ある日、自動車整備工場で機械工として務める青年・杉本紘二は、「MADOX-01」を積載していたコンテナを発見。内部のMADOX-01を発見し、うっかり乗り込んでしまう。
そこで不完全なプログラムが作動し、起動したMADOX-01から降りられなくなってしまった。
起動し、作動開始したMADOX-01。なんとか止めようとする紘二だったが、一介の整備士に過ぎない彼に機体の扱い方がわかるはずもなく、彼は軍に追われる羽目となる。
異形な姿のまま、恋人・名倉しおりと会うべく待ち合わせ場所のビルに向かう紘二を、MADOX-01に私怨を持つアメリカ軍人・ギルゴア中尉の戦車が待ち構えていた。
MADOX-01開発者・楠本枝里子のアドバイスを受け、紘二はギルゴアとの戦いに臨む。
登場人物
- 杉本紘二
声 - 松本保典
本作の主人公。自動車修理工のアルバイトをしながら大学に通っている。良くも悪くも普通の青年であり、メカ好き(と言うより、メカオタク)な一般人の青年。
MADOX-01のコンテナを発見し、興味本位からそれを開封。内部のMADOX-01に偶然乗り込んでしまい、劇中の騒動を引き起こす事になる。
ガールフレンドの名倉しおりとの初めてのデートの約束を取り付け、MADOX-01を着込んでもその事を忘れず、彼女の元へと向かおうとする。
一般人ゆえに戦闘には無縁で、本人も好まない。しかし覚悟を決めたら、戦いに向かう勇気も兼ね備えている。
- 楠本枝里子
声 - 麻上洋子
MADOX-01の開発者である、美貌の女性科学者。エリーと呼ばれることもある。
年齢は不詳だが、まだ20代らしい。開発主任であると同時に、テストパイロットも務めている。
科学者らしく、知的かつ論理的思考を有する。絋二のMADOXを止めるため、自らテスト用機体「ST-00」に搭乗。暴走しているMADOXの停止スイッチを外部から切り、停止に成功する。
しかしその直後に、キルゴアによりST-00を中破されたため、MADOX-01と絋二に後を託す。
- キルゴア中尉
声 - 曽我部和恭
在日米軍に所属する兵士。好戦的かつ破壊的な性格。
試作戦車「XM-505」のテストパイロットを務め、MADOXとは米軍の市街戦用次期正式採用兵器の座を争っていた。その競争に敗れたため、MADOXおよび枝里子の事を快く思っていない。
枝里子が暴走したMADOX-01を停止させた事を知りながら、あえて一般人がいる市街地にてMADOX-01との戦闘を望み、XM-505を持ち出して実弾で戦闘行為を行った。
- 名倉しおり
声 - 石田有紀子
絋二の恋人。まだ付き合い始めてそれほど経過しておらず、劇中で最初のデートを絋二から申し込まれ、受けていた。
登場メカ
MADOX-01
劇中に登場する、いわゆる「パワードスーツ」。
日本企業と自衛隊が、米軍と共同開発した市街戦用空挺高機動兵器。
着込む事で、重装甲および重火器を一歩兵が装備し、戦車よりも機敏に移動し戦闘活動を行う事が可能となる。
通常は歩行し移動するが、正座するように足を折り畳み、両肩の翼状のスタピライザーを左右に展開。背中および胴体部のノズルから空気を噴射して、地面から浮上。ホバードライブモードになって、高速移動が可能となる。この時は一般車両とほぼ同じ程度の速度で走行が可能。また、あくまでホバーで地面から少し浮いている程度なので、飛行はできない。
また、両肩のスタピライザー内部にはチェーンソーが内蔵され、接触する事で一般車両を切断・破壊が可能。
頭部はヘッドカバーを展開する事で、頭を露出させる事が可能。
武装は、腕部分に装着したガトリング砲。アタッチメントになっており、設定上は様々な火器を左右の腕に装着または装備が可能。
また、手首は五指のマニピュレーターだが、右手のそれは三本指のクローになっている。このクローは、接近戦で武器に用いられる。
設定上は五指の右手も存在し、その手首に交換すれば、通常のトリガーが付いた銃器も手に握って用いる事が可能。
ただし、当然ながら三本指クローでは箸を使えず、劇中で絋二はコンビニで海老天弁当を購入した後、左手で箸を用い、苦労して口に運んでいた。
実戦テストをするために、演習場へと輸送中。事故でコンテナが落下し、絋二の元に来てしまう。機体には戦闘用の自動プログラムが内蔵しているが、絋二が着込んでしまったために不完全な状態で起動。絋二のコントロールを受け付けず、勝手に迎撃してしまった(絋二はこのせいで、追われる事になる)。
ST-00
MADOXの動力テストベッドとして、先行開発されたパワードスーツ。いわゆるテスト用の機体であり、MADOX-01よりも若干大柄。また、反応速度も試作タイプゆえMADOX-01より鈍い。
そのため、市街地の狭い場所、特にビル内部などでは動きが若干鈍くなるため、より装着車の身体にフィットするように改良されたのがMADOX-01である。
MADOX-01と異なり、ヘッドカバーは無く完全にフルクローズド。右手首は五指のマニピュレーターだが、左手首は大型の三本爪。こちらは手首と一体化しているため、交換は不可能。ただし左手の中心部には、接近戦用のブレードが内蔵されている。
また、右手には銃器の装備も可能。
発見したMADOXの暴走を止めるため、枝里子自らが搭乗し交戦。MADOXの停止スイッチを押して暴走を止め、絋二から事の次第を聞く。
しかしその直後にキルゴアから攻撃を受け、機能停止してしまう。
XM-505「タランチュラ」
MADOXことスレイヴ・トルーパーと、次期正式採用機の座を争っていた軽戦車。MADOX同様に市街戦用空挺高機動兵器として開発された。
前後に四基のクローラーを装備し、市街地では高機動および変則的な移動が可能。高速で移動し、車体に装備した主砲で攻撃する。
キルゴアは市街地にも関わらずこの機体を持ち出し、絋二が乗っている事を知りながらもMADOXに対して戦いを挑んだ。
スタッフ
原案・監督 - 荒牧伸志
テクニカルアドバイザー - 西森明良
キャラクターデザイン - 田村英樹
作画監督 - 合田浩章
オープニング原画:庵野秀明
メカニックデザイン - 荒牧伸志、山根公利
美術監督 - 南郷洋一
撮影監督 - 沖野雅英
音楽 - 矢島賢
音響監督 - 本田保則
制作プロデューサー - 榎本歩光、柳田滋夫、内山秀二
制作 - AIC、アートミック
製作 - 創映新社、ポニーキャニオン
余談
- アメリカ合衆国では、「AnimEigo」がライセンスを取得した。
- ウェブサイト「The Best Page in the Universe」の作者であるジョージ・ウズニアン (George Ouzounian) は、本作に登場するMADOX-01の名を取って筆名を「マドックス」とした。
- サイバーコミックス4号から6号まで、秋本行治によるコミカライズが掲載された。
- 登場人物のうち、楠本枝里子は同じく創映新社作品『プロジェクトA子3』にハウスマヌカン役でゲスト出演している(声優も同じく麻上が担当)。なお、当作品には杉本紘二とキルゴアもカメオ出演している。