SANDLAND
さんどらんど
概要
サンドランドは鳥山明の漫画作品
COWA!やカジカに続き、週刊少年ジャンプに短期集中連載された作品で2000年23号~36・37合併号まで連載。
老人と戦車を描きたいと言う思いから生まれた作品で全14話。巻数は全1巻。
全1巻と短い巻数ながらも人気は高く、複数の国の言葉に翻訳されて出版されたほか、じわ売れしたのか2014年に重版がかかった程。
また、元から14話と言う事は最初から決まっていた。
これは一人で描いた方が作者的には楽なのだが、長期連載になると疲れてしまうので、この位が丁度良いとの事。
その為アシスタント無しで鳥山明本人のみで作品が描かれている。
なお、戦車が出てくるシーンは結構面倒だったとの事。
作者お気に入りの作品のひとつで、COWA!と並んでお気に入りの作品。
なお、ストーリー全編見渡してもほぼ女っ気ゼロの作品でもある。
あらすじ
戦争と天変地異が続き、世界の大半が砂漠となってしまった世界でのお話。
水が貴重品となり、干からびた世界で魔物の王子ベルゼブブは水を独占する国王軍から水を脅し取っていた。
そんな時に普段人が近寄らない魔物の村に一人の老人がやってくる。
彼の名は「ラオ」。
砂漠のどこかに「幻の泉」があると言う確信を得た彼だが、過酷で荒廃した地を人間だけでは進めないと結論づけ、屈強な魔物に協力を依頼しに来たのだった。
ベルゼブブは手下の魔物「シーフ」を引き連れ、ラオと共に幻の泉探しに向かったのだった。
登場人物
ベルゼブブ
魔物たちの王子にして悪魔。
強靭であり、銃弾がほぼ効かない。(痛い程度)。
仮にダメージを受けても回復が早くすぐ治る。
暴れ者で有名なのか、荒くれものや国王軍にすら知れ渡っていた。
反面、どこか心優しく困っている者を見捨てられない少年でもある。
体と体毛は赤い(表紙を見る限り濃いピンク)
夜が来ると「闇のパワー」を体内に貯める事が出来る。
年齢は大体2500歳くらい。
夜ふかし、朝寝坊、歯磨きをしないとワルの限りを尽くすワルの中のワル。
悪魔だけあり様々な能力を持ち、体が強靭な他は驚異的な怪力(1.5トンを持ち上げる)や、テレパシー能力がある。
視力や聴力も人並み外れている。
また人の心を読む事も出来、ラオに協力したのも信用出来る人間と見込んだから。
シーフ
魔物の一人で、ベルゼブブが旅のお供に選んだ。
一見すると小柄で白髪の老人。
物知りな上、その名前の通り盗みが得意。
年齢はベルゼブブよりちょっと上位との事。
臆病であり、ベルゼブブのお供を理由をつけて辞退しようとしたり、国王軍との戦いを逃げてでも避けようと意見を述べる。
ぶつくさ文句を言う事が多い物の、要所要所で活躍を見せる。
また運転に適性があるのか、戦車の操縦をあっという間にこなして見せた。
盗みに入る時は、「万が一見つかった時にごまかしが効くから」と言う理由でサンタの服装をする。
ラオ
魔物の村の近くにある「アパト」と言う町の保安官で年齢は61歳。
酷い水不足に耐えかねる中、「ウォーター・フィンチ」と言う鳥が空を飛ぶのを見て、誰にも発見されていない「幻の泉」があるのでは無いかと思い至り、魔物たちに助力を要請した。
国王軍に対する忠誠は無く、国王の事は「どうしようもない王」と言い切る。
もし幻の泉を見つけた際は自分たちは定期的に水が手に入れば良いから、泉の近辺は魔物たちの住居にしても良いとかなり譲歩した提案をして協力を取り付けた。
武器はトンファーと拳銃だが、拳銃は弾が高く脅しのために持っている飾り。
トンファーだけでも複数の相手を圧倒できる程の腕前を持つ。
(ベルゼブブ曰く、今まで見た人間の中でも1,2番に強い)
かつての戦争で従軍していた経験があり、戦車の操縦に長ける。
戦争は嫌いだったが、戦車は好きだった、との事。
昔のセクシー女優のピンナップをお守りにしている。
一行の中では一番常識的で、仕方のない状況とは言え、シーフに食料と水を盗ませるのを躊躇した。
(一方でろくでもない国王軍のものなら構わないと国王軍の戦車を奪っている)
国王
サンドランドを治める王だが、褒められた王では無く、水源を独占し敢えて水の値段を釣り上げて暴利をむさぼっている。
国政にも大して興味が無い様で、ゼウ大将軍の言いなり状態の愚王。
肥満体であり、水源を握っているのを良いことに水を潤沢に使ったプールに入ったりしている。
ゼウ大将軍
国王軍の大将軍で、高齢の将軍。
体の大半を機械化しており、宙に浮く事も出来る。
狡猾であり、様々な策謀でベルゼブブ達を追い回す。
人の生存に必要不可欠な水を支配する事でサンドランドを「平和」にしていると嘯くが、やってる事はこいつと一緒である。
アレ将軍
国王軍の将軍で水の輸送を行っていた中、ベルゼブブ達が奪った戦車を追い、戦闘になった。
かつてピッチ人たちとの戦闘で父を亡くしている。
国王軍側としてベルゼブブ達と戦うが、その中でかつて自分の父が亡くなった事の真相に近づいていく。
国王軍の中では良識的な人物であり、魔物たちの情報を安易には信じなかったが、真相を確信すると自分が出来る範囲での協力をベルゼブブやラオ達に行った。
かなり有能であり、ゼウ大将軍にもその腕前を買われている。
シバ将軍
かつての国王軍の英雄。
天才軍人としても名高く、正々堂々とし、敗者にも情けをかける武士の様な人間だった。
30年前にピッチ人たちがサンドランドを破壊する為に兵器を開発している情報を手に入れた軍により、
兵器の破壊を命じられ、攻撃したが大爆発が起こりそのまま戦死した。
今なお国民にも高い人気を誇り、妻はセクシー女優「テリア」だったが、その妻も大爆発に巻き込まれ亡くなっている。
虫人間
ゼウが開発を命じた生物兵器で、名前の通り虫の様な人間。
強靭な外骨格と戦闘力はベルゼブブ以上で、戦車砲やベルゼブブの攻撃ですら傷つける事は出来ない。
生きている者であれば何でも攻撃対象に入る危険な兵器でもある。
スイマーズ
サンドランドの悪党一家。
全員砂漠の中で海パン一丁と言う格好をしている。
スイマーズと言う名前を名乗るが水不足の事もあり、泳いだことがあるのは「パパ」だけ。
かつてベルゼブブにボコボコにされた事がある。
ラオ達にかけられた賞金を狙ってベルゼブブと国王軍を引っ掻き回す。
パパ
スイマーズの頭領。
「パパ」と言うのは作中そう呼ばれているだけで、本名は不明。
息子たちと共にベルゼブブにかけられた懸賞金を狙う。
筋骨隆々で海パン、水中眼鏡、水泳帽にマントをつけている。
かつては反乱軍に属していたが、シバ将軍に敗北した。
スイマーズと名乗っているのに、息子たちが泳いだことが無い為、息子たちを水で泳がせるのが悲願。
パイク
痩せぎすの男で、海パンに鍋をヘルメットの様に被り、水中ゴーグルを頭上にかけている。
恐るべき視力と聴力、スケッチ力の持ち主で、80km先の人物の顔を克明に描写出来る。
(完成する時間も恐ろしく早い)
そして80km先の戦車の音が聞こえる程耳も良い。
シャーク
痩せぎすで背の低い男で、海パン、帽子に水中眼鏡、背広のジャケットを着ている。
恐ろしく足が速く最高時速180kmで走ることができる。
しかし、発信機付きのペンダントに気付かなかったりと抜けている部分がある。
グッピー
人間戦車の異名を持つスイマーズ一番の大男。
海パンに、水泳帽に水中ゴーグルをしており背中に大きな壷を背負っている。
戦車砲に匹敵する程巨大な銃を持っている。
スイマーズの中では唯一太っている。
ゲジ竜
砂漠にすむ巨大生物で、大きな穴から身を乗り出し地上の生物を食料として追いかける。
ベルゼブブですら「あんな奴倒せない」と言う程。
姿はムカデの様な体に、トカゲの様な頭や足が生えている。
設定
戦車
車高が高めであり、上部ハッチの他に前方と左右にもハッチがあり居住性が高い。
(中で一人位なら寝れる程)
「反石(はんせき)」と言う反重力発生装置があり、車体を軽くしている。
最大まで出力を上げれば1.5トン前後まで軽くなる。
弾は大きめのマガジンの様な物に入っており、一発ごとの装填は必要なく連射が可能。
ベルゼブブ達が奪った104号車は高級な装備の割に砲は小さいが、アレ将軍の戦車は貴重な74ミリ砲弾と言う大口径の弾を放てる。
ペリスコープの様な装置がついている他、金属レーダーなどを装備した戦車もある。
サンドランド
ベルゼブブ達が住む国で、人間たちの戦争により砂漠化してしまった。
それが終わると、ただ一つの水源も干上がり、国王が確保する水源に頼らざるを得なくなってしまった。
シーフ曰く、「世界の全て」と言っているので世界に残った、ただ一つの国の模様。
ペットボトル一本(恐らく500ml)の水が1000円する世界であるが、その水を買わなければ生きていけないほどに追い詰められている。
飛行機の所有や利用は禁じられており、国王軍のみが利用する事が出来る。
かつてのゲーム機等は貴重であり、PS6とDQXIII等が存在する。
主に住んでいるのは人間たちの他に魔物が住んでいる。
以前はピッチ人と言う頭の良い種族もいたが、恐ろしい破壊兵器を製作しようとした為に国王軍の攻撃によって滅ぼされてしまった。