旭日の艦隊
きょくじつのかんたい
『旭日の艦隊』とは荒巻義雄原作の小説。コミック、OVAなどのメディアミックスも行われた。
概要
作品解説
『旭日の艦隊』は荒巻義雄原作の架空戦記。笠原俊夫によって漫画化されたほか、1997年 - 2002年にOVA化されている。OVA版は全15話で、他の艦隊が大西洋に進出するあたりで『紺碧の艦隊』OVAに統合される形で終了している。
『紺碧の艦隊』とは世界観が共有されていて、また同時期の話として英独ソ各陣営の戦史を編纂したという名目で構成された『旭日の艦隊 後世欧州戦史』シリーズがある。続編は『新・旭日の艦隊』および『新・紺碧の艦隊』。
小説版は中央公論新社より新書版(本編16巻+「後世欧州戦史」6巻)が発売されているほか、2005年2月より順次文庫化された。
ストーリー
運命の開戦から4年目、紺碧艦隊をはじめとする日本陸海軍はアメリカを牽制し続けていた。照和20年8月15日を迎えるも大戦は終結せず、ヒトラーの台頭を許してしまい、ヨーロッパはナチスに占領されつつあった。窮地に追い込まれたイギリスは日本と単独講和を果たし、日本は超戦艦日本武尊を旗艦とした、40隻からなる「旭日艦隊」を英国援護の派遣軍として出撃させる。
登場兵器
旭日艦隊
後世日本が大西洋に派遣した、英国救援を目的とした新鋭艦隊。
「日本武尊」以外のほとんどの艦が英国企業に発注された。
- 戦艦「日本武尊」
旭日艦隊旗艦を務める最新鋭戦艦。詳細は項目を参照。
- 装甲空母「信長」
艦隊の中核をなす装甲空母。アングルドデッキを備えた近代的な空母の姿をしている。
対地攻撃に華々しい戦果を上げたが、大戦末期にドイツ空軍の超重爆撃機アースの猛攻を受け沈黙。自沈に追い込まれた。
原作の挿絵では舷側煙突だが、コミック版・OVA版では傾斜煙突になっている。
- 航空戦艦「信玄」、「謙信」
全通飛行甲板を持つ航空戦艦。右舷に艦橋と41cm連装砲三基を備える特異な外観を持つ。上部構造物の形態が妙高型重巡洋艦に似ている。
この構造は実際には横風を遮る形となり、甲板上に乱気流を発生させ着艦が困難となる欠点を持つ。
後にこのことを読者に指摘された荒巻は「基本的に発艦のみで、別の艦や陸上基地に着艦・着陸する」と設定を追加している。
大戦末期に独巡洋艦「ポツダム」以下第十一機動艦隊と激突、これを撃破するがダカール沖で超重爆撃機アースの猛攻を受け「謙信」が損傷。撤退を試みるがトリスタン・ダ・クーナ島で追撃を受け「謙信」が撃沈され、「信玄」も損傷を負った。
続編の「新・紺碧の艦隊」、「新・旭日の艦隊」には「信玄」は一切登場せず、軍縮に応じて退役したことが示唆されている。
- 航空母艦「尊氏」
長10cm連装高角砲および15cm成層圏単装高角砲を備える防空軽空母。マダガスカル島奪還作戦では坂元艦隊に随伴して行動していた。
大戦末期に超重爆撃機アースの猛攻を受け撃沈された。
- 航空巡洋艦「虎狼」
旭日艦隊の主力を務める航空巡洋艦。船体の両側面にV字に張り付いた飛行甲板と、前面に集中配置された36cm三連装砲が特徴。同型艦に「海虎」、「海狼」がいる。
大戦末期に高杉艦隊に随伴して行動中、独軍の猛攻を受け「海狼」が沈没。生き残った二隻も続編に登場しないことから退役したことが示唆されている。
コミック版では「尊氏」沈没の穴を埋める形で「日本武尊」に随伴する場面がある。
OVA版では主砲が連装砲に変更されているほか、劇中ではほとんどの場面で二隻のみが登場している。
- 利根型巡洋艦
史実の同名艦とは別物(史実の利根型重巡洋艦は「紺碧の艦隊」で撃沈されている)。
長10cm連装高角砲および15cm成層圏単装高角砲を備える防空巡洋艦で、旭日艦隊には6隻が配属された。
その中には「紺碧の艦隊」で撃沈された描写の無い艦と同名である「羽黒」、「熊野」も含まれていた。
ちなみにこちらの「羽黒」、「熊野」は超重爆撃機アースの猛攻を受け大破している。
- 神風型駆逐艦
史実の同名艦とは別物。後述の秋月型駆逐艦の対潜水艦戦闘に特化したタイプで、61cm4連装魚雷発射管一基と32cm3連装短魚雷発射管二基を備える。
旭日艦隊には10隻が配属されたほか、輸送船団護衛艦隊にも配属されている。
このうちの1隻「桐風」が独Uボートの雷撃を受け撃沈されている。
- 秋月型駆逐艦
「紺碧の艦隊」に登場したそれとは違い比較的史実の同名艦に近い形態をしている。
旭日艦隊には11隻が配属された。
- ア号潜水艦
旭日艦隊の前衛を務める潜水艦で二等潜水艦(ロ号潜)クラス。
当初は水上の敵艦を雷撃することを前提に長魚雷を装備していたが、後に短魚雷に換装している。
OVA版では巡航噴進弾の発射筒も備えている。
その他
登場人物
(声はOVA版)